「日本人ファースト」はなぜ支持されるのか 一時のブームか、巧みな戦略か。外国にルーツを持つ日本在住の3人に聞いた
今回の参院選で大幅に議席を増やした参政党が掲げる「日本人ファースト」とのスローガンについて、排外主義的な主張であるとの批判が根強く出ている。そうした懸念のある主張がなぜ有権者に支持され、その背景には何があるのか。そして、今後の日本社会にどういった影響を与えるのか。外国にルーツを持つ日本在住の識者3人に「日本人ファースト」への見方を聞いた。(共同通信編集委員・佐藤大介) 【写真】「植民地みたい…」 日本であることを忘れてしまうかのような光景 ラーメン2千円、中国人の男性「普通の値段」 物価高のしわ寄せは…
▽差別や排除、大衆暴力に火―人材育成コンサルタント・辛淑玉さん 参政党の支持拡大を「一時のブーム」と軽視する見方もありますが、最も恐ろしいのは「日本人ファースト」というスローガンによって、大衆の暴力に火がつけられたことです。被害を受けるのは、外国人からマイノリティーへと広がっていく。「良い外国人」と「悪い外国人」とを分けようとしていますが、そんな線引きはすぐに意味を失います。 今回の選挙期間中、アジア系の外国人から「街を歩けなくなった」という相談を多数受けました。外国人を差別する主張が連呼される中、民族名で生きている人たちは、病院で名前を呼ばれたり、電話で何かを注文したりすることにも恐怖を覚えます。そういう現実がこの国に存在しているということを、どれだけの人が想像できるでしょうか。 「日本人ファースト」は、これまでの差別的な言葉とは質が違います。大衆の連帯感を生み出すキーワードとして機能したのです。「私たち一番だよね」「私たちがこんなに苦しいのは外国人のせいだ」と再確認したい大衆の連帯感が可視化されたのです。差別や排除を正義と信じる人々が集い、権力と結びつく。それはナチス・ドイツの初期と極めて似た構図です。
▽恐怖心抱くマイノリティー なぜこんな事態になったのか。政治の責任は重いと思います。安倍政権で排外主義の種がまき続けられ、参政党はそれを受け継いだとも言えます。そして今や、参政党でさえ制御不能なレベルで、差別の炎が広がっているのです。 メディアは評論に終始し、現場の声を拾わない。差別におびえる子どもたちの姿を、私はテレビで見たことがありません。声を上げたマイノリティーが、さらにたたかれる構造が放置されています。差別の連鎖を止められるのは、日本社会で多数派の日本人だけなのです。 参政党は交流サイト(SNS)などの新しいメディアを使いこなし、洗練された形で差別を社会に流通させてしまいました。リベラル勢力が十分な対応を取ってこなかったことのつけが回ってきたと言えます。 こんなにも広く、軽やかに、暴力が日常化される時代は初めてです。この状況にあらがい続けることが、今最も必要なことだと思っています。