トランプの暴走を止める方法は「抗議」ではなく「サブスクの解約」である
この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 【画像】トランプの暴走を止める方法は「抗議」ではなく「サブスクの解約」である 元CNNキャスターのドン・レモンが今日、逮捕された。ジャーナリストを標的にするのは法の執行ではない。現実を作り変えることだ。歴史が示す真実は残酷だ。ジャーナリストを逮捕しはじめた国は、怒りに満ち、貧しくなる。 ミネソタ州でアレックス・プレッティとレニー・グッドがICE(移民・関税執行局)に殺されたあと、多くの人々が無力感を抱いている。テック企業のCEOたちに称賛され、取り巻きに囲まれ、数百万ドルの和解金に勢いづき、ホワイトハウスへの返り咲きで私腹を肥やし※1、トランプは誰にも止められず突き進んでいる。 だが米国人は、手元にある強力な抵抗の武器に気づいていない。 まず知っておくべきことがある。大統領は怒りに動じないし、抗議にも心を動かされない。では何を気にするか? 答えはマーケットだ。つまり最善の戦略は「降りる」ことである。 あなたに呼びかけたい。1ヵ月間の全国経済ストライキに参加してほしい。テック企業とAI企業を標的にし、消費者への影響を最小限に抑えながら最大のダメージを与える、組織的なキャンペーンだ。
波及効果
抗議者たちは重要な役割を担っている。トランプの「内なる敵」との戦いに異議を唱え、覆面をかぶった重武装・訓練不足の準軍事部隊の活動を記録することだ。だが共和党がワシントンの支配力を失い、大統領の追従者たちが責任を問われるまで──場合によっては裁判にかけられるまで──野党には大胆な新しい手法が必要だ。 これは労働ストライキの話ではない。他人に仕事をやめろ、クビになるリスクを取れと言うのは簡単だ。だがそんなものは中小企業を痛めつけ、失業を増やすだけだ。地元の企業に売り上げを犠牲にして1日だけ店を閉めろ※2と促しているのでもない。象徴的ではあっても、結局は効果がない。 わたしたちの提案は、ケーブルテレビで終日放映されるデモより地味で、絵にならない。だがトランプ政権にとってははるかに厄介だ。1日の減速は苛立つ程度だが、1ヵ月の低迷は恐怖である。 ICEの廃止を求める声が高まっている※3。超党派の反発を受け、トランプはミネソタ州でせめて融和的な姿勢を装わざるを得なくなった※4。いまこそ圧力をかけるときだ。 運動に加わるきっかけが欲しいなら、2025年9月の会合※5の写真を見てほしい。OpenAIのサム・アルトマンやAppleのティム・クックをはじめとするテック業界のCEOたちが、代わる代わる大統領に媚びへつらっていた会合だ。 この連中こそ大統領の耳元にいる人間たちだ。彼らの企業の成長がほんの少し鈍るだけで、完璧を織り込み済みのバリュエーションは大きく揺らぐ。2月1日を起点とする消費者行動のささやかな変化が、ホワイトハウスにまで届く巨大な波及効果を生みうる。