自維連立政権が打ち出す自衛隊の階級「国際標準化」、なぜ日本語名を変更するのか
自衛隊の階級は主に「1佐」や「2佐」と数字を使って表記されている。これに対し、海外の軍隊は「大佐」や「中佐」と表現するのが一般的だ。自民党と日本維新の会の連立政権は自衛隊の階級の「国際標準化」を打ち出し、2026年度中に海外に合わせる方針だ。なぜ、日本語名を変更するのか。
ルーツは警察 治安維持目的に発足
自衛隊の陸海空それぞれのトップとなる幕僚長や司令官には「将」が就任する。「将補」は旅団長などを務め、「1佐」は最大1000人規模の部隊を指揮している。
自衛隊のルーツは1950年に発足した警察予備隊だ。朝鮮戦争に米軍が派遣され、手薄になった日本国内の防衛を担うために組織された。目的は主に治安維持で、米国陸軍の歩兵師団にならい、15階級とした。防衛研究所の伊藤大輔2佐は「『ファースト』や『セカンド』を使って序列を示す米軍にならったため、自衛隊は数字で階級を表記するようになった」と話す。
サンフランシスコ平和条約署名により、日本が国際社会に復帰を果たすと、警察予備隊の重武装化が求められた。警察予備隊と海上保安庁の一部を合わせた「保安隊」を経て、54年に防衛庁と自衛隊が発足。昇進機会を増やしたり、士気を高めたりするため、「曹長」「准尉」が追加され、現在の形となった。
自衛隊創設以前には国会で「国防省」の設置を求める動きがあったほか、防衛庁や自衛隊内では当初から、日本軍のように階級を「大佐」などに変更するよう求める声が出ていた。自衛隊は「海外に出れば軍隊」との認識からだが、戦争の記憶が残る当時の世論が慎重だったこともあり、変更に至らなかった。
「誇り持って任務」
一方、数字による階級表記のままでは、市民は「1佐」と「2佐」のどちらの階級が高いのか分からないといった指摘もあった。自衛隊OBらで組織する「隊友会」などが呼称変更の提言をすることもあったが、こちらも実現しなかった。
与党の階級の国際標準化に向けた合意は、こうした経緯の延長線上にあり、木原官房長官は「自衛隊員が高い意識を持って、任務に当たることができる環境を整備する」と強調した。
日本周辺の安全保障環境が変化し、自衛隊の軍事的な側面に注目が集まる中、「『旧軍回帰』的なイメージを持つ表記に変える必要があるのか」(自民党国防族)との声もくすぶる。ただ、「隊員が誇りを持って働けるようになり、自衛官の応募が増えるかもしれない」(海自幹部)との見方もある。