2日目の夕方の続きから。
前回→ https://agrobio.livedoor.blog/archives/23769218.html
仮眠から覚めて、さあ行くかと支度をしてホテルを出たところ、凄まじいスコール。
とてもライトトラップができるような天気ではない。
だが、ジャングルの雨は激しく降る代わりに数時間で止むことが多い。それに、ここでは降っていてもライトトラップのポイントでは降っていないかもしれない。
そういった理性の部分を押しのけて、ヤル気のメーターがぐんぐん下がっていく。まだあと1週間あるし、今日はもういいか……雨の中を無理に運転して事故したら取り返しつかないし……と自分の心を納得させる言い訳を並べる。
採集欲の旺盛な虫屋諸兄には信じられないことだろうが、先述のとおり自分はどんなに好きな趣味であっても、その趣味に1日に使えるHPとMP(メンタルポイント)の量が決まっている。
今日は日中に十分虫採りを楽しんだので、止むかもわからない雨が降る中で夜採集を続ける気力は残っていないのだ。
ということで、外に夕飯を食べに出かける。
英語の通じない地元の屋台に行く勇気はまだないので、観光客向けの店に行く。食事一回あたり30RM、つまり1000円前後とマレーシアでは高い部類なのだろうが、日本で食べてもそれくらいはかかる。特別高くは感じない。


陽が沈むと意外に冷えるキャメロンハイランドの、それもテラス席で冷たい料理を頼む気にはなれず、温かそうな物を注文。
全くマレーシア料理とは関係なさそうだが、フライドポテトは世界中どこで食べても美味いのだ。
ホテルに戻り、だらだらと過ごして、虫の整理を少しやってから寝る。
翌日、起床。
近くの店で飲み水と昼食の菓子パンを買い、朝から19マイルへ。
今日も村人から虫を買う。相変わらずヤスデだのクモだのといった目的以外の生物も売りつけてくる。
目的の甲虫類、特に大型のクワガタやカブトなんかはほとんどない。
しかし、彼らはこの海外からの観光客がどんな生き物を欲しがっているかを知るはずもない。仕方のない事である。
以下購入品。

サカダチコノハナナフシ。
前回のよりデカい。これでもまだ幼虫らしい。どこまでデカくなるんだか。


lesina blanchardi
デカい直翅その①。
たぶんトゲトゲギスの仲間。名前そのまんまのトゲトゲのキリギリス。
海外の虫は和名やらペットとしての流通名やらが混在していて、どれが正しいやらわからない。コイツも別名ドラゴンヘッドキリギリスとか呼ばれているっぽいし。


arachanacris tenuipes
デカい直翅その②。
人生で出会った直翅の中で1番デカい、と思う。
図体もデカいが脚も長い。迫力満点。

中型カミキリ。たぶんイチジクカミキリの類とミヤマカミキリの類。
カブトクワガタや蝶はともかく、カミキリに関してはマレーシアのものを纏めた図鑑が見つからず、正確な種名が掴めない。見た目からなんとなくの分類群はわかるが。
よって以降もカミキリの学名、和名は一切出てこない。

タウルスヒラタクワガタ Dorcus taurus taurus
顎に毛の生えた小型のアルキデス、みたいなクワガタ。結構数がいるようで、今回一番多く見たクワガタかもしれない。
ドロドロと湧き出た樹液のあるウロに潜っているところを現地の村人は採ってくるらしい。

アクミナートゥスネブトクワガタ Aegus acuminatus acuminatus
東南アジアに生息し、5亜種にわかれるアクミナートゥスネブトクワガタの原名亜種。スマトラやマレー半島、カリマンタン島などにいる。
国産ネブトクワガタのような湾曲した顎ではなく、平べったいヘラのような顎。横から見ると微妙に上方にそりかえっている。
他にも小型のカミキリ類やらをまとめて購入。これらのクワガタやカミキリは一頭300円くらいで買うことができる。
村人に、また明日朝に来ることを伝えて村を去る。
今日は、趣向を変えて1人で山を散策する事にしたのだ。
大学受験で大いに使用した英単語帳を脳内で捲りながら村人とコミュニケーションをとり、さらに虫も採るなんていうマルチタスクは2日連続では続かないからだ。
気持ち的には、仕事で海外の客を連れて西表を案内するのとほぼ同じくらい疲れる。
ので、幕間といった感覚で1人でのんびり散策しながら採集する事にした。
目的地も何もないので、とりあえず適当な駐車スペースに車を停めて、登山道へ入る。

完全に農道だが、これでもちゃんと山頂へとつづいているらしい。
しかし、原生林というわけではないので、それほど虫が見つかるわけではない。

イワサキコノハ Doleschallia bisaltide
日本の迷蝶その①。
インド、インドシナ半島から南アジア島嶼に広く分布し、日本に飛来するのはフィリピン亜種 philippinensis 。マレーシア産は亜種 pratipa らしい。

シロモンルリマダラ Euploea radamanthus
日本の迷蝶その②。
といっても、正式な記録では1973年の沖縄本島のものが唯一で、他の採集記録は真偽不明の噂であることから、迷蝶の中でもトップクラスの珍品だろう。
が、生息地に来てしまえば特に採るのが難しい種ではない。マダラチョウらしく鷹揚と飛んでいたところを難なくキャッチ。
このまま生きて持って帰って、西表で採ったことにしたら大注目だな、と思いながら、そんな事をしても何の意味もないので大人しく三角紙にしまった。
いつか国内で出会ってみたいものだ。

マレーシアは野犬が多い。噛まれれば狂犬病の可能性もある。
今回の海外遠征、当初は南米に行く予定だったため、黄熱とA型肝炎のワクチンは打ってきたが、狂犬病までは手が回っていなかった。
安全のためには打つべきなのだろうが、黄熱と違い3回の接種のために3週間も島を離れるわけにもいかず、加えて持続時間も数年間のみ。1回の接種で生涯持続する黄熱ワクチンを優先したのだ。
幸い、おとなしい犬だったのか、後ろをついて歩くだけだった。

意外と上りが多く、息が切れる。
どうやらこの道は山頂への正規ルートではないらしい。たまに外国人登山客とすれ違うくらいで、人気はそれほどない。
ようやく畑を抜け、森の入り口らしきところに辿り着くが、ここからさらに山頂まで登ることが面倒になり、引き返す事にする。
地図を見ると、もっと楽な登山道があるようなので、後日そちらから登ることにして帰宅。
帰り際に適当にその辺をスイーピングしてカミキリをいくつか摘む。
なんだかんだで戻ったら夕方。仮眠をして、夜採集の前に飯。

三度同じ店での夕食。
マレーシアの米は、タイ米のような細長い形でパラパラとした炒飯に合う。

春巻きも美味いが、ついてきたスイートチリソースらしきものが絶品。
というか、マレーシアまで来て中華料理しか食べていない。
一昨日ライトを行ったポイントで再びライト。


海外だからといって、ライトをつけたとたんに夥しい数の虫が集まる、ということもない。
ライトの威力は十分なはずなので、時期が悪いのか天候が悪いのか。
それでも、初めて見るような虫がぼちぼちやってくる。

甲虫(超同定)。
煌びやかではないが落ち着いた木目調の家具のようなデザインの虫。

その辺にいるトカゲもビックサイズ。
キノボリトカゲに噛まれるのとはワケが違いそうなので、素手で行くのは躊躇われた。写真だけ撮っておしまい。
他にも細々した甲虫やらセミやらは飛んできたが、これといって驚くような虫は来なかった。
雑甲虫やらを適当に摘むことにする。ここは昆虫天国のマレーシアなのだ。なんとなく採っておいた虫がド珍品という可能性も大いにある。
ちなみに、一応蛾を採るためのアンモニア注射セットを持ってきてはいるが、いくら日本にはいなさそうな種とはいえ、細々した蛾を全て採る執念はない。目立つやつ以外は採らないつもりだ。
よって、蛾屋の方には申し訳ないが、今回の採集記に蛾はほとんど登場しない。とはいえ特に期待もされていないだろうが。
ホテルに戻り、ポテチを食いながらYoutubeを見て、適当な時間に就寝。
明日も朝から19マイルだ。
続く。
次→ https://agrobio.livedoor.blog/archives/24943675.html
前回→ https://agrobio.livedoor.blog/archives/23769218.html
仮眠から覚めて、さあ行くかと支度をしてホテルを出たところ、凄まじいスコール。
とてもライトトラップができるような天気ではない。
だが、ジャングルの雨は激しく降る代わりに数時間で止むことが多い。それに、ここでは降っていてもライトトラップのポイントでは降っていないかもしれない。
そういった理性の部分を押しのけて、ヤル気のメーターがぐんぐん下がっていく。まだあと1週間あるし、今日はもういいか……雨の中を無理に運転して事故したら取り返しつかないし……と自分の心を納得させる言い訳を並べる。
採集欲の旺盛な虫屋諸兄には信じられないことだろうが、先述のとおり自分はどんなに好きな趣味であっても、その趣味に1日に使えるHPとMP(メンタルポイント)の量が決まっている。
今日は日中に十分虫採りを楽しんだので、止むかもわからない雨が降る中で夜採集を続ける気力は残っていないのだ。
ということで、外に夕飯を食べに出かける。
英語の通じない地元の屋台に行く勇気はまだないので、観光客向けの店に行く。食事一回あたり30RM、つまり1000円前後とマレーシアでは高い部類なのだろうが、日本で食べてもそれくらいはかかる。特別高くは感じない。
陽が沈むと意外に冷えるキャメロンハイランドの、それもテラス席で冷たい料理を頼む気にはなれず、温かそうな物を注文。
全くマレーシア料理とは関係なさそうだが、フライドポテトは世界中どこで食べても美味いのだ。
ホテルに戻り、だらだらと過ごして、虫の整理を少しやってから寝る。
翌日、起床。
近くの店で飲み水と昼食の菓子パンを買い、朝から19マイルへ。
今日も村人から虫を買う。相変わらずヤスデだのクモだのといった目的以外の生物も売りつけてくる。
目的の甲虫類、特に大型のクワガタやカブトなんかはほとんどない。
しかし、彼らはこの海外からの観光客がどんな生き物を欲しがっているかを知るはずもない。仕方のない事である。
以下購入品。
サカダチコノハナナフシ。
前回のよりデカい。これでもまだ幼虫らしい。どこまでデカくなるんだか。
lesina blanchardi
デカい直翅その①。
たぶんトゲトゲギスの仲間。名前そのまんまのトゲトゲのキリギリス。
海外の虫は和名やらペットとしての流通名やらが混在していて、どれが正しいやらわからない。コイツも別名ドラゴンヘッドキリギリスとか呼ばれているっぽいし。
arachanacris tenuipes
デカい直翅その②。
人生で出会った直翅の中で1番デカい、と思う。
図体もデカいが脚も長い。迫力満点。
中型カミキリ。たぶんイチジクカミキリの類とミヤマカミキリの類。
カブトクワガタや蝶はともかく、カミキリに関してはマレーシアのものを纏めた図鑑が見つからず、正確な種名が掴めない。見た目からなんとなくの分類群はわかるが。
よって以降もカミキリの学名、和名は一切出てこない。
タウルスヒラタクワガタ Dorcus taurus taurus
顎に毛の生えた小型のアルキデス、みたいなクワガタ。結構数がいるようで、今回一番多く見たクワガタかもしれない。
ドロドロと湧き出た樹液のあるウロに潜っているところを現地の村人は採ってくるらしい。
アクミナートゥスネブトクワガタ Aegus acuminatus acuminatus
東南アジアに生息し、5亜種にわかれるアクミナートゥスネブトクワガタの原名亜種。スマトラやマレー半島、カリマンタン島などにいる。
国産ネブトクワガタのような湾曲した顎ではなく、平べったいヘラのような顎。横から見ると微妙に上方にそりかえっている。
他にも小型のカミキリ類やらをまとめて購入。これらのクワガタやカミキリは一頭300円くらいで買うことができる。
村人に、また明日朝に来ることを伝えて村を去る。
今日は、趣向を変えて1人で山を散策する事にしたのだ。
大学受験で大いに使用した英単語帳を脳内で捲りながら村人とコミュニケーションをとり、さらに虫も採るなんていうマルチタスクは2日連続では続かないからだ。
気持ち的には、仕事で海外の客を連れて西表を案内するのとほぼ同じくらい疲れる。
ので、幕間といった感覚で1人でのんびり散策しながら採集する事にした。
目的地も何もないので、とりあえず適当な駐車スペースに車を停めて、登山道へ入る。
完全に農道だが、これでもちゃんと山頂へとつづいているらしい。
しかし、原生林というわけではないので、それほど虫が見つかるわけではない。
イワサキコノハ Doleschallia bisaltide
日本の迷蝶その①。
インド、インドシナ半島から南アジア島嶼に広く分布し、日本に飛来するのはフィリピン亜種 philippinensis 。マレーシア産は亜種 pratipa らしい。
シロモンルリマダラ Euploea radamanthus
日本の迷蝶その②。
といっても、正式な記録では1973年の沖縄本島のものが唯一で、他の採集記録は真偽不明の噂であることから、迷蝶の中でもトップクラスの珍品だろう。
が、生息地に来てしまえば特に採るのが難しい種ではない。マダラチョウらしく鷹揚と飛んでいたところを難なくキャッチ。
このまま生きて持って帰って、西表で採ったことにしたら大注目だな、と思いながら、そんな事をしても何の意味もないので大人しく三角紙にしまった。
いつか国内で出会ってみたいものだ。
マレーシアは野犬が多い。噛まれれば狂犬病の可能性もある。
今回の海外遠征、当初は南米に行く予定だったため、黄熱とA型肝炎のワクチンは打ってきたが、狂犬病までは手が回っていなかった。
安全のためには打つべきなのだろうが、黄熱と違い3回の接種のために3週間も島を離れるわけにもいかず、加えて持続時間も数年間のみ。1回の接種で生涯持続する黄熱ワクチンを優先したのだ。
幸い、おとなしい犬だったのか、後ろをついて歩くだけだった。
意外と上りが多く、息が切れる。
どうやらこの道は山頂への正規ルートではないらしい。たまに外国人登山客とすれ違うくらいで、人気はそれほどない。
ようやく畑を抜け、森の入り口らしきところに辿り着くが、ここからさらに山頂まで登ることが面倒になり、引き返す事にする。
地図を見ると、もっと楽な登山道があるようなので、後日そちらから登ることにして帰宅。
帰り際に適当にその辺をスイーピングしてカミキリをいくつか摘む。
なんだかんだで戻ったら夕方。仮眠をして、夜採集の前に飯。
三度同じ店での夕食。
マレーシアの米は、タイ米のような細長い形でパラパラとした炒飯に合う。
春巻きも美味いが、ついてきたスイートチリソースらしきものが絶品。
というか、マレーシアまで来て中華料理しか食べていない。
一昨日ライトを行ったポイントで再びライト。
海外だからといって、ライトをつけたとたんに夥しい数の虫が集まる、ということもない。
ライトの威力は十分なはずなので、時期が悪いのか天候が悪いのか。
それでも、初めて見るような虫がぼちぼちやってくる。
甲虫(超同定)。
煌びやかではないが落ち着いた木目調の家具のようなデザインの虫。
その辺にいるトカゲもビックサイズ。
キノボリトカゲに噛まれるのとはワケが違いそうなので、素手で行くのは躊躇われた。写真だけ撮っておしまい。
他にも細々した甲虫やらセミやらは飛んできたが、これといって驚くような虫は来なかった。
雑甲虫やらを適当に摘むことにする。ここは昆虫天国のマレーシアなのだ。なんとなく採っておいた虫がド珍品という可能性も大いにある。
ちなみに、一応蛾を採るためのアンモニア注射セットを持ってきてはいるが、いくら日本にはいなさそうな種とはいえ、細々した蛾を全て採る執念はない。目立つやつ以外は採らないつもりだ。
よって、蛾屋の方には申し訳ないが、今回の採集記に蛾はほとんど登場しない。とはいえ特に期待もされていないだろうが。
ホテルに戻り、ポテチを食いながらYoutubeを見て、適当な時間に就寝。
明日も朝から19マイルだ。
続く。
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