海外での採集を決めたのは、思えば大した理由はなく、なんとなくであった。
なんだかんだと長期の休みを利用して、国内ではそれなりに採集旅行をへ行ってきたつもりではあったが、海外はそれこそ小学生の時に家族で行ったオーストラリアが最初で最後である。
特別に英語が堪能な中でもなく、海外に知り合いがいるわけでもない。世界には珍奇で、美麗で、巨大な昆虫が数多くいることは知りつつ、自分の手で生きたそれらを採集することは一生ないのだろうな、と心のどこかで諦観していたのだ。
海外で採集してみたいという気持ちはどこかにありつつ、このままでは何かと理由をつけて先延ばし、一生海外など行く機会はないと思い、決心した。周りに聞いても、実際に行ってみたらなんとかなった、とはよく言われるので、なかば強引に決めた。
当初はマレーシアに1人で行くつもりではなかった。海外旅行経験の豊富な知り合いと、別の国で採集の予定だった。
しかし、現地の採集ガイドの都合であったり、休みの取得の都合でその知り合いとも予定が合わず、海外に行く気持ちは整ったものの、宙ぶらりんのまま1人での遠征を余儀なくされたのだ。
初の1人海外採集、ということで、観光客が多く治安もいいというマレーシアへと行き先を変更した。ちなみにマレーシアは昆虫採集にも寛容で、ポイントもある程度確立されている。
そうしてほぼ初海外で1人旅という、自分の人生の中では割と一大事の旅が始まった。

出発前準備。
宿泊&採集を行うのは、マレーシアでも有名な避暑地、キャメロンハイランド。昆虫採集のポイントとしても有名で、聞いたことのある諸兄も多いだろう。
この地が初心者にもオススメと有名な採集地なのはいくつか理由があるように思う。
まず第一に、治安がいい。
キャメロンハイランドは、マレーシアのイギリス占領地時代に開拓された欧米人の避暑地であり、今でも有名な外国人の観光地のため、他の国と地域と比較して治安がいいようだ。
観光地のため英語も通じるし、ホテルや飲食店も多い。海外初心者にはうってつけであろう。
次に、キャメロンハイランドは周囲を山とジャングルに囲まれた高標高地のため、東南アジアに生息するさまざまな昆虫が一年を通して観察できる点だろう。
キャメロンハイランドの中心地は標高1500mほどだが、そこから山を走る道路沿いに高度を変えることで、異なる気候と気温を好む多様な虫が採れるらしい。
最後に、原住民オランアスリの住む村、通称「19マイル」の存在も大きいだろう。
彼らはジャングルで昆虫を中心に生き物を採り、それらを観光客や虫屋、地元のバタフライファームに売ることで生計を立てている。自力ではとても採れないような昆虫も、彼らから購入できる可能性がある。
そんなわけで、個人的には海外初心者虫屋に優しい国だと思う。
今回持っていく荷物についてだが、初海外ということで不足の事態に備えてあれもこれもと準備した結果、とんでもない量になってしまった。

大体20kgぐらい。
キャリーバッグなどという便利な物は持っていないので、全て登山用90リットルバックパックに詰めた。
実際に山でキャンプをするわけでもなし、キャリーバッグで行く方が絶対楽だろう。
採集道具は、長竿、網、毒瓶、三角紙、タッパー、ビーティングネットくらいで、普段の採集とそれほど変わらない。
が、万が一に備えて長竿の予備一本、ジュラルミンロッド一本、予備のネットとフレーム二つずつ、などを持っていったため無駄に重くなってしまった。
余談だが、この先も持ち前の「深く考えずに決断する癖に細かいところで心配性」という性格が災いして、しなくてもいい準備や無駄な出費が多々ある。
自前でライトトラップもするつもりであったので、灯火セット一式も持ち込んだ。
が、これがなかなか曲者。
詳しく書くとそれだけで記事が一つ書けてしまうので割愛するが、普段ライトトラップで利用するようなポータブル電源や携帯型バッテリーは、リチウムイオン電池の容量の都合で飛行機に積載することができない。
当然、容量が少なければライトの点灯時間は減る。
よって、何個でも持ち込みできる容量の電池を複数持っていく、ライトのワット数を抑えて消費電力を減らす、点灯時間が短くなることを覚悟するなどの用意が必要だ。
今回は、普段使いの設備一式ではなく新たな物を購入した。
というのも、いつもの設備はすでに型式が古く、電池自体にリチウム電池の容量が記載されていないこともあり、国内遠征の際に手荷物として認められず持ち込めなかった経験があったからだ。
付属のポータブル電源は持っていけないものの、複数持ち込み可のサイズの携帯型バッテリーを持っていくことで、使用するつもりだった。
しかし、実際に届いてみると、どうやらライトの点灯開始時は一時的に定規格以上の電力が必要らしく、安定して使用することが難しいようだ。一つ5千円のバッテリーを4つ買ったのだが、無駄になってしまった。
苦肉の策で、車のシガーソケットから電源を取るプラグを購入。
レンタカーにソケットがなかった場合も考え、コンセントから車のバッテリーへ充電を行う機器も購入した。万が一の場合は、現地の車屋でバッテリーを購入し、それを蓄電池代わりにするつもりだ(レンタカーにソケットが付いていたため、結果としてこれも無駄な買い物ではあった)。
6月26日 出発当日
実際にマレーシアは経つのは30日の便ではあったが、その前にやらなければならない事があった。
それは、国際免許の発行だ。
マレーシアは右ハンドル左通行で日本とほぼ同じ。運転しやすいという話だったが、当然現地での運転には国際免許証がいる。
発行自体は免許が発行された各都道府県の警察署等で行えるが、さすがは離島、石垣島では通常より長い3週間ほどの期間がかかる。
当初はレンタカーを借りるつもりがなかったため、このままでは既に間に合わないが、運転免許センターならば即日発行が可能だ。ちなみに沖縄県では沖縄本島にしかない。
石垣空港に着き、あとは13:20発のソラシドエアで沖縄本島へ行く。そこで免許を取得後、次の日に大阪へと飛ぶ予定だ。
しかし、ここで問題発生。
手荷物検査をパスし、ゲートを潜って搭乗機へと案内されるのかと思いきや、なぜか見えてきたのは預け荷物返却のターンテーブル。そのまま到着ロビーへと排出された。
どうやら、機材整備のため欠航となったらしい。これが実はかなりまずい。
予定では、本島までは飛行機で一時間。そこから免許センターまでタクシーで20分。
そして免許センターが空いているのは16時45分まで。
ソラシドエアの次の便は20時とか言っているし、これは完全に間に合わない。
何より問題なのは、今日が金曜日であるという事。
免許センターは土日はやっていない。次の日が平日なら、一泊後の朝にすぐ取得して、大阪へ行く事ができた。
しかし、この土日にはすでに大阪で予定が決まっているのだ。
半ば諦め、予定を終わらせた週明けの月曜日に、また大阪から沖縄本島へ国際免許のためだけに戻る覚悟をしながらチケット再発行の列に並ぶ。
が、急いで行かねばならないという玉砕覚悟の望みを聞いた空港の職員の方が、すぐに出発するANAの本島行きのチケットを手配してくれた。しかも、航空会社の不手際という事で、追加料金はなし。ありがたい限りであった。
こうして無事本島へ辿り着き、国際免許を取る事ができた。
ちなみに発行自体は20分もかからないくらいで終わった。
ソロ遠征の味方、快活クラブでアイスをたらふく食い、漫画を読んで寝た。
次の日、昼の便で大阪へ。
インセクトフェアに参加したり(https://agrobio.livedoor.blog/archives/23625144.html)
なんやかんやあって東京へ。
そこから30日羽田発のフライトで、いよいよマレーシアだ。
次→ https://agrobio.livedoor.blog/archives/23643857.html
なんだかんだと長期の休みを利用して、国内ではそれなりに採集旅行をへ行ってきたつもりではあったが、海外はそれこそ小学生の時に家族で行ったオーストラリアが最初で最後である。
特別に英語が堪能な中でもなく、海外に知り合いがいるわけでもない。世界には珍奇で、美麗で、巨大な昆虫が数多くいることは知りつつ、自分の手で生きたそれらを採集することは一生ないのだろうな、と心のどこかで諦観していたのだ。
海外で採集してみたいという気持ちはどこかにありつつ、このままでは何かと理由をつけて先延ばし、一生海外など行く機会はないと思い、決心した。周りに聞いても、実際に行ってみたらなんとかなった、とはよく言われるので、なかば強引に決めた。
当初はマレーシアに1人で行くつもりではなかった。海外旅行経験の豊富な知り合いと、別の国で採集の予定だった。
しかし、現地の採集ガイドの都合であったり、休みの取得の都合でその知り合いとも予定が合わず、海外に行く気持ちは整ったものの、宙ぶらりんのまま1人での遠征を余儀なくされたのだ。
初の1人海外採集、ということで、観光客が多く治安もいいというマレーシアへと行き先を変更した。ちなみにマレーシアは昆虫採集にも寛容で、ポイントもある程度確立されている。
そうしてほぼ初海外で1人旅という、自分の人生の中では割と一大事の旅が始まった。
出発前準備。
宿泊&採集を行うのは、マレーシアでも有名な避暑地、キャメロンハイランド。昆虫採集のポイントとしても有名で、聞いたことのある諸兄も多いだろう。
この地が初心者にもオススメと有名な採集地なのはいくつか理由があるように思う。
まず第一に、治安がいい。
キャメロンハイランドは、マレーシアのイギリス占領地時代に開拓された欧米人の避暑地であり、今でも有名な外国人の観光地のため、他の国と地域と比較して治安がいいようだ。
観光地のため英語も通じるし、ホテルや飲食店も多い。海外初心者にはうってつけであろう。
次に、キャメロンハイランドは周囲を山とジャングルに囲まれた高標高地のため、東南アジアに生息するさまざまな昆虫が一年を通して観察できる点だろう。
キャメロンハイランドの中心地は標高1500mほどだが、そこから山を走る道路沿いに高度を変えることで、異なる気候と気温を好む多様な虫が採れるらしい。
最後に、原住民オランアスリの住む村、通称「19マイル」の存在も大きいだろう。
彼らはジャングルで昆虫を中心に生き物を採り、それらを観光客や虫屋、地元のバタフライファームに売ることで生計を立てている。自力ではとても採れないような昆虫も、彼らから購入できる可能性がある。
そんなわけで、個人的には海外初心者虫屋に優しい国だと思う。
今回持っていく荷物についてだが、初海外ということで不足の事態に備えてあれもこれもと準備した結果、とんでもない量になってしまった。
大体20kgぐらい。
キャリーバッグなどという便利な物は持っていないので、全て登山用90リットルバックパックに詰めた。
実際に山でキャンプをするわけでもなし、キャリーバッグで行く方が絶対楽だろう。
採集道具は、長竿、網、毒瓶、三角紙、タッパー、ビーティングネットくらいで、普段の採集とそれほど変わらない。
が、万が一に備えて長竿の予備一本、ジュラルミンロッド一本、予備のネットとフレーム二つずつ、などを持っていったため無駄に重くなってしまった。
余談だが、この先も持ち前の「深く考えずに決断する癖に細かいところで心配性」という性格が災いして、しなくてもいい準備や無駄な出費が多々ある。
自前でライトトラップもするつもりであったので、灯火セット一式も持ち込んだ。
が、これがなかなか曲者。
詳しく書くとそれだけで記事が一つ書けてしまうので割愛するが、普段ライトトラップで利用するようなポータブル電源や携帯型バッテリーは、リチウムイオン電池の容量の都合で飛行機に積載することができない。
当然、容量が少なければライトの点灯時間は減る。
よって、何個でも持ち込みできる容量の電池を複数持っていく、ライトのワット数を抑えて消費電力を減らす、点灯時間が短くなることを覚悟するなどの用意が必要だ。
今回は、普段使いの設備一式ではなく新たな物を購入した。
というのも、いつもの設備はすでに型式が古く、電池自体にリチウム電池の容量が記載されていないこともあり、国内遠征の際に手荷物として認められず持ち込めなかった経験があったからだ。
付属のポータブル電源は持っていけないものの、複数持ち込み可のサイズの携帯型バッテリーを持っていくことで、使用するつもりだった。
しかし、実際に届いてみると、どうやらライトの点灯開始時は一時的に定規格以上の電力が必要らしく、安定して使用することが難しいようだ。一つ5千円のバッテリーを4つ買ったのだが、無駄になってしまった。
苦肉の策で、車のシガーソケットから電源を取るプラグを購入。
レンタカーにソケットがなかった場合も考え、コンセントから車のバッテリーへ充電を行う機器も購入した。万が一の場合は、現地の車屋でバッテリーを購入し、それを蓄電池代わりにするつもりだ(レンタカーにソケットが付いていたため、結果としてこれも無駄な買い物ではあった)。
6月26日 出発当日
実際にマレーシアは経つのは30日の便ではあったが、その前にやらなければならない事があった。
それは、国際免許の発行だ。
マレーシアは右ハンドル左通行で日本とほぼ同じ。運転しやすいという話だったが、当然現地での運転には国際免許証がいる。
発行自体は免許が発行された各都道府県の警察署等で行えるが、さすがは離島、石垣島では通常より長い3週間ほどの期間がかかる。
当初はレンタカーを借りるつもりがなかったため、このままでは既に間に合わないが、運転免許センターならば即日発行が可能だ。ちなみに沖縄県では沖縄本島にしかない。
石垣空港に着き、あとは13:20発のソラシドエアで沖縄本島へ行く。そこで免許を取得後、次の日に大阪へと飛ぶ予定だ。
しかし、ここで問題発生。
手荷物検査をパスし、ゲートを潜って搭乗機へと案内されるのかと思いきや、なぜか見えてきたのは預け荷物返却のターンテーブル。そのまま到着ロビーへと排出された。
どうやら、機材整備のため欠航となったらしい。これが実はかなりまずい。
予定では、本島までは飛行機で一時間。そこから免許センターまでタクシーで20分。
そして免許センターが空いているのは16時45分まで。
ソラシドエアの次の便は20時とか言っているし、これは完全に間に合わない。
何より問題なのは、今日が金曜日であるという事。
免許センターは土日はやっていない。次の日が平日なら、一泊後の朝にすぐ取得して、大阪へ行く事ができた。
しかし、この土日にはすでに大阪で予定が決まっているのだ。
半ば諦め、予定を終わらせた週明けの月曜日に、また大阪から沖縄本島へ国際免許のためだけに戻る覚悟をしながらチケット再発行の列に並ぶ。
が、急いで行かねばならないという玉砕覚悟の望みを聞いた空港の職員の方が、すぐに出発するANAの本島行きのチケットを手配してくれた。しかも、航空会社の不手際という事で、追加料金はなし。ありがたい限りであった。
こうして無事本島へ辿り着き、国際免許を取る事ができた。
ちなみに発行自体は20分もかからないくらいで終わった。
ソロ遠征の味方、快活クラブでアイスをたらふく食い、漫画を読んで寝た。
次の日、昼の便で大阪へ。
インセクトフェアに参加したり(https://agrobio.livedoor.blog/archives/23625144.html)
なんやかんやあって東京へ。
そこから30日羽田発のフライトで、いよいよマレーシアだ。
次→ https://agrobio.livedoor.blog/archives/23643857.html
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ばいおの採集日記
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