【地域未来派】タウン誌発行富山の「グッドラック」会長 中村孝一さん(78)
2023年1月16日 05時05分 (1月16日 10時15分更新)
「水の都」松川に描く
県内のタウン誌「月刊グッドラックとやま」が昨年秋に創刊四十五周年を迎えた。発行する「グッドラック」(富山市丸の内)の中村孝一会長(78)は、市中心部を流れる「松川」を観光地にしようと長年尽力し、遊覧船の運航も三十五年にわたる。タウン誌の成長とともに「水の都・とやま」の挑戦は今年も続く。 (聞き手・坂本正範)
−松川を観光名所にしようと考えた理由は。
小学五年生の時、遠足で行った金沢市の兼六園でガイドが旗を持ち、観光客がぞろぞろとついていた。それを見てはっとした。見て楽しむ兼六園は何とすばらしいんだと。このとき閑散とした富山城址(じょうし)公園を思った。何と悔しいことだと。衝撃だった。
創刊して五、六年で市民が何を求めているか気づいた。雑誌の座談会で若い女性が「友達が東京から来ても連れて行く場所がない。金沢や岐阜県高山市へ連れて行った」と発言した。友達は富山のまちを見たかったが、女性は「富山城址公園は恥ずかしい」と悲しそうに語った。そのとき、兼六園の思い出がオーバーラップし、何とかしないとと思った。
−遊覧船を始めたきっかけは。
神通川や富山城など富山のことをいろいろ調べた。子どものころ、ベニスの風景画を見たことがあり、松川の歴史を生かして遊覧船をやったらいいと思った。県や市へ相談したが「行政ではできない」と言われたので民間会社をつくった。その年の五月ごろ、神通川の漁師が船で松川を下っていて、乗せてもらった。橋の上から見る景色と一緒だと思っていたのでびっくりした。水面から見上げる景色が新鮮に見えた。富山ではない景色だった。
当初から遊覧船の採算は厳しいと思っていた。ある経営者から「花見のシーズンだけやればどうか」と言われたが、私の目的は年間を通して観光客に来てもらい、歴史や伝統を誇れるまちにしたいこと。花見の一週間だけのイベントでは私の考えと違うと答えた。遊覧船はだんだん定着してきた。コロナで売り上げは八割減に落ち込んだ。
−雑誌で松川や富山城址公園を取り上げている。
ここまでくると自分の進む道が見えてくる。二〇〇一年ごろから表紙に松川の遊覧船を使うことが多くなり最近はほとんどが松川だ。町の歴史や文化を検証し、市民が歴史や文化に誇りを持てるような雑誌が地方で求められているのではないか。市民としっかり共有して磨きをかけたい。
−松川の将来像をどう描いているのか。
川沿いの遊歩道(リバーウオーク)を残して土手にレストランやカフェをつくりたい。大雨でも増水しないようにすればできる。遊覧船乗り場の松川茶屋に階段式のカフェテラスがある。富山の人は何げなく見ているが、全国では富山だけだと思う。自然の美しさと商業的なにぎわいをつくりたい。
なかむら・こういち 1977年11月に「月刊グッドラックとやま」を創刊。富山市中心部を流れる松川で遊覧船を運航する「富山観光遊覧船」を87年10年に設立し、社長を務める。2013年に富山市表彰(産業経済功労)、21年に第23回「日本水大賞」(国土交通省など主催)の審査部会特別賞を受賞。富山市出身。78歳。
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