小学校の「算数」の教科名を、次期学習指導要領では変更し、中学校や高校と同じ「数学」にすべきではないか――。そんな議論が、2月13日に開かれた中教審の算数・数学ワーキンググループ(WG)の第6回会合で行われた。WGで議論すべき論点として、文部科学省が教科の名称を新たに追加したためだ。この日の会合ではあくまで論点の提示のみにとどまり、結論を出すものではなかったが、委員からは慎重な意見が相次いだ。

 国語や理科などと異なり、算数・数学は小学校が算数、中学校と高校が数学と教科名が異なっている。文科省によると、日本以外では、各学校段階でも共通して「数学」としている国が多い。

 現行の学習指導要領では、小学校の算数に「数学的活動」という、数学の学びを他の学習や生活で生かす観点を指す言葉が登場する。次期学習指導要領では学習内容の一貫性や系統性、連続性を持たせようと、小学校の算数と中学校・高校の数学で目標や見方・考え方、学習内容の分野・区分を統一する予定だ。

 これまでのWGでの議論でも「児童生徒が算数と数学を別のものと認識しており、その解消が必要だ」といった意見があった。こうしたことを受けて文科省は、算数・数学の教科名称が異なることについても、論点の一つとして加えることにした。

 もしも小学校の算数の教科名が変われば、「算術」から「算数」に変わった1941年以来のこととなる。

 清野辰彦委員(東京学芸大学教育学部教授)は、教科名としての算数を維持すること、算数を数学に変更することのどちらにも、メリット・デメリットがあるとした。その上で「子どもや教師が数学への名称変更により、難しさを感じたり、距離を感じたりすることが考えられる。今回改訂しようとしている学習指導要領は、誰一人取り残さないという考えを大切にしている。その一人というのは、児童生徒はもちろん、教師一人一人も意味していると捉えられる。子どもや教師の受け止め方も踏まえて、名称変更は総合的に考えていく必要がある」と話した。

 清水宏幸委員(山梨大学大学院総合研究部教育学域教授)は、小学校の算数と中学校の数学では、同じ単元であっても捉え方や扱い方が異なるものもあると指摘。「それぞれの発達段階において、子どもたちの理解できる範囲の中で指導していこうということを意図している。これが伝統的に行われているのが日本の算数教育で、このことに関しては大切にしなければいけないと考えている。単に名称変更だけということではなく、今回の改訂の趣旨を踏まえて内容も検討する中で、慎重に扱っていくことが必要ではないか」と述べた。