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公認心理師による認知行動療法が保険適用へ―その意義は #エキスパートトピ

筑波大学教授
写真:イメージマート

 中央社会保険医療協議会(中医協)の答申により、公認心理師が実施する認知行動療法(CBT)が、新たに保険適用となる見通しとなった。これまで医師や看護師に限定されていた医療保険下のCBTが、心理療法の専門職である公認心理師によって提供可能となる意義は大きい。メンタルヘルスが五大疾患の一角を占める現在、エビデンスに基づく治療を専門性の高い担い手が担う体制整備は、質とアクセスの双方の向上につながることが期待される。

ココがポイント

中央社会保険医療協議会(中医協)は(中略)2026年度診療報酬改定案を了承し、上野賢一郎厚生労働相に答申した。
出典:日経メディカル 2026/2/13(金)

公認心理師による認知行動療法的アプローチに基づく心理支援に対して新たに評価を行う。
出典:厚生労働省 2026/2/13(金)

うつ病以外にも、不安症や強迫症など多岐にわたる疾患に治療効果と再発予防効果があると言われています。
出典:NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

エキスパートの補足・見解

 中医協の答申は、質の高い精神医療を提供する目的で、国家資格である公認心理師が実施する認知行動療法(CBT)を新たに診療報酬上評価するという重要な転換点です。これまで保険診療としてのCBTは、医師または看護師が30分実施し、医師が5分程度の診察を行う枠組みが中心でした。今後は、心理療法を専門的に訓練された公認心理師が主体的に介入を担うことが可能となり、治療の専門性と一貫性が高まります。

 うつ病や不安症などの疾患に対して、たしかなエビデンスがある構造化された技法を十分な時間で提供できる体制は、治療効果の向上だけでなく、医師の業務負担軽減やチーム医療の推進にも資するでしょう。

 メンタルヘルスが五大疾患の一つとされる現状を踏まえれば、科学的根拠に基づく心理療法を適切な専門職が担う仕組みの整備は、国民の精神保健の底上げに直結する政策的意義を持ちます。

 同時に、十分な研修やスーパービジョン体制の整備による質の向上、質評価の指標化などを進めることが、制度を形骸化させないための今後の課題となります。

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筑波大学教授

筑波大学教授。博士(保健学)。専門は, 臨床心理学,犯罪心理学,精神保健学。法務省,国連薬物・犯罪事務所(UNODC)勤務を経て,現職。エビデンスに基づく依存症の臨床と理解,犯罪や社会問題の分析と治療がテーマです。疑似科学や根拠のない言説を排して,犯罪,依存症,社会問題などさまざまな社会的「事件」に対する科学的な理解を目指します。主な著書に「あなたもきっと依存症」(文春新書)「子どもを虐待から守る科学」(金剛出版)「痴漢外来:性犯罪と闘う科学」「サイコパスの真実」「入門 犯罪心理学」(いずれもちくま新書),「心理職のためのエビデンス・ベイスト・プラクティス入門」(金剛出版)。

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