アタシの人生はなにかから逃げる人生だった。人から逃げるために走り、走るだけでは追い付かれるから強くなり、強くなったら目立つから隠れるようになった。もうなにから逃げているのかもわからないまま、ただ、平和に生きるために。
「そうだ、騎士団の一員になりませんか?」
体が問題なく動くようになった騎士さんからそんな言葉をかけられた。本当に軽い雑談の延長のような口振りで。思わず正気を疑ってしまってじっと目の前の人を眺めてしまう。
「あ、あの騎士団っていつでも人手不足で...もしよければ...なんて...というかそれ以外だと逃げてもらう以外方法がないと言いますか...」
なんというか、その口ぶりがアタシがいることの問題を本当に考えていなさそうで。本気で言っているのが否応なしにわかってしまった。
「アタシでよければ...」
「本当ですか!?安心してください。出来るだけ希望は通せるように桃井さんにも掛け合いますから!!」
それだけだった。こうしてアタシの騎士団入りは決まってしまった。その時は本当に深くなにも考えずに口から言葉が漏れていた。でもこの会話だけでアタシは自らに課していた逃亡生活を辞める事になった。
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「咲希」
「あれ、しほちゃん。もしかしてアタシの助けが必要だった?」
「ううん、こっちは大丈夫。それより、大丈夫?」
今回はしほちゃんだ。いっちゃんが動けなくなった時、アタシを一人にしないように誰かが様子を見に来る。もちろん新入りな上にアタシを監視するという役割もあるのだろう。でもそれ以上にアタシを想って耳を傾けてくれるのがわかる。心配されるというのは思ったよりもくすぐったい。
「うーん。どうだろう」
今は心がざわざわとした感じ。だけど同時にどこか一歩引いてひどく落ち着いている気もする。前にほなちゃんに思った事は正直に話すといいという風に言われた。でも上手く言葉にできない。
「大丈夫、ではないんだけど」
「けど?」
「慣れちゃった自分もいる気がするというか」
三回目だ。無茶したいっちゃんを治療するのは。まだ治せた。じゃあ次は? わからない。
「どこかいっちゃん無理をしてるのを止められないアタシがいるの」
「一歌のアレは考えるより先に動いてるから止めるの無理だと思うよ」
「アタシが本気を出せばできると思うよ」
本当に手段を選ばなければ方法はいくらでもある。いっそのこといっちゃんを一時的に動けなくするとか。そこまでしなくとも無理をさせないようにさりげなく眠らせたりして力を使えないようにさせることだってできる。違う方法を考える事だってできた。
「でもなんか流されちゃってるんだよなぁ」
「一歌ってそういうところあるから」
「ねー。アタシもいっちゃんのそういうところに救われてるからなぁ」
今回だってそうだ。いっちゃんの迷いない行動で救われた命がある。だからいっちゃんは迷わず動けてしまう。同じことを繰り返す。
「でも一歌の手柄だけじゃないでしょ。人質の救助、保護、運搬は咲希でしょ。一歌が生きて帰れたのは咲希が最速でそっちを片付けたからなんでしょ」
「そうだけど」
アタシが人質を最速で救出して、いっちゃんが時間を稼ぐ。自然とその形になってしまう。適性としては正しいし、実際に上手く行っている。ただ、いっちゃんが怪我をすることを考慮しなければ、だけど。
「いっちゃんがアタシと組んでるせいで危険な場所に送り込まれてる気がして」
「まあ、咲希と組んでが増えはしたね」
「結局いっちゃんを巻き込んで危険な目に合わせてるなぁって」
もしアタシがいなかったら危険な任務に出ずに済んだのではないか。そう思わずにはいられない。散々他人に不幸をばらまいてきたアタシの体質は変わることがないらしい。
「一歌はそんなお利口さんじゃないよ」
「しほちゃんってば、なに言ってるの」
「少なくとも一歌は危険な目に合わせられる側じゃなくて合わせにくる側だよ」
一歌のせいで何回迷惑被ったか...なんて小言が放たれる。なんというか、非常に実感のこもった言葉だった。
「ま、そのおかげで救われる人がいるのは確実だからいいけどさ」
「それいいの?」
「いや、良くはない。でも一歌に治す気がないし」
「そうだよねー」
「今日も仮にやり直せても一歌は全く同じ選択をするよ」
アタシはどうだろうか。今回は結構上手くやれた。少なくとも油断はしていなかった。それでも結果はいっちゃんの怪我。
「あとこれは一歌だけじゃない事だけど、私達が巻き込まれてるなんて事はない」
「そんなのわかんないじゃん」
「いいや、わかる。私達は騎士だから」
騎士だから。この言葉の重みを上手くとらえきれないままでいる。
「とっくのとうに死ぬ覚悟なんて出来てる。だからこそ重要な任務を任せられるのは誉だし、誇りに思う。危険に巻き込まれたなんて考えはあり得ない」
「...それで命を落としても?」
「少なくともそれで他の人が助かるならね。特に一歌はまっすぐそういうことをできるタイプだし」
「確かに...」
一人でも真っ直ぐ、迷いなく。反射的に人を助ける方に動く。だから人を救える。アタシを救えた。
「ま、それでも一歌のあれは問題だよ。咲希もわかってるでしょ。無鉄砲すぎる」
「あいりさんも同じこと言ってたね」
「命を捨てる覚悟はあってもいいけど、身を危険に曝せばいいわけじゃない」
しほちゃん的にも、いっちゃんのあれは問題視されるべき事らしい。それでも命を捨てる覚悟はあったほうがいいのか。自分が生きるためにしか生きてこなかったアタシには難しい考えだ。ただ、なんというか、こう、
「アタシは...」
「... ... ...」
「騎士じゃないからその気持ちがわからない」
騎士団に身を置かせて貰っておいてこの言い方はダメだろう。でも率直にそう思ってしまった。
「もっと自分を大切にしてほしいって思っちゃう」
少なくとももう少し、無茶を減らしてくれればな。出来れば危険な事をしないでほしい。アタシが治療できるとはいえ専門ではないし、怪我をしないでくれたらそれが一番だ。でも騎士にそんなことを言うのはおかしい話だ。
「いいんじゃない?」
「え...」
「なんで意外そうな顔するの」
「だ、だってアタシだって騎士団の一員だし。こんな心持ちじゃダメかなって...」
「ダメな事はないでしょ。皆が皆一歌みたいだったら騎士団はなくなってる」
いっちゃんは騎士として騎士らしくありすぎる。そしてそれを無自覚に行えてしまえる。
「あのバカは自分を知らなさすぎるからね」
「いっちゃん、自分の怪我はいつもなんて事ないように話すもんね」
「死にかけても治らないんだから本当にどうしようもない」
反論しようとして、止めた。多分そうだろうし。というか自分を大切にするということを知らない。だから平気で突っ込める。これはダメだと思う。
「だから期待してるよ咲希。一歌が少しはまともになることを」
「...うん。わかった」
「へぇ、いい顔できるじゃん」
ふっと力の抜けた微笑みが返される。うん、アタシもすっきりした。
「アタシにとっていっちゃんは守りたい人だもん」
「...一歌に対してそう言えるんだ」
「ま、アタシが出来ることは多いからね」
「よろしく、マホウツカイサマ」
「ちょっと、しほちゃんからかわないでよ」
アタシはアタシが思う以上にいろいろと出来るはず。ただ、アタシはどうなりたいかがわからない。
「とりあえず重度の怪我をしたら一時的に体が固まって石になるお守りとか渡していいかな...?」
「... ... ...ちゃんと一歌に話すんだよ。一歌そういうのあんまり好きじゃないと思う」
「だよねー」
一般的には呪いと言われる類いの魔法ではある。制御出来れば便利な防御手段にもなるけど。とりあえずよしとは言われない提案は置いておいて、どうするか。今のままではダメだ。いっちゃんの隣にふさわしい人はどんな人だ。
「ありがとう志歩ちゃん」
「...一歌の古い友人として忠告はするけどあれと付き合うのは大変だよ。あれは一種の問題児だよ」
「だいじょーぶ。アタシも似たようなものだし」
「そ、じゃあ頑張って」
角持ちのアタシの方がよっぽど問題児だ。まずはいっちゃんが怪我をさせない方法を考えないと。考え事をするのに涼しい夜風がちょうどよかった。
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咲希は強い。強いだけではなく、柔軟で頭もいい。機転が利いて、人を勇気づけるような明るさ。そして誰より強く優しい心の持ち主。少なくとも私が知ってる魔法使いで一、二を争う人だ。一騎当千の言葉にふさわしい。
「出来すぎるというのも考えものだなぁって」
「また頼み事を引き受けちゃってる感じ?」
「そういう訳じゃないっぽいんだけど」
無理はしてない、と思う。長いとは言えないかもしれないが、常に隣にいるんだ。ある程度の事はわかる。だから私が首を突っ込む事でもない。そう頭ではわかってる。
「穂波の所には来てないの? みのりとか遥の所には行ってたっぽいんだけど」
「咲希ちゃんが? 魔法部隊の方には顔を出してたけどわたし個人の所には来てないかな」
「そうなんだ...最近いろんな人に騎士の心得とかを聞いてるんだって」
「咲希ちゃんが?」
「そう、あっちこっちで聞き回ってるみたい。それで多分原因が私にありそう」
「一歌ちゃんに?」
「なにもなかったら最初に私に聞きにくると思うんだよねだよね...」
「聞きに来られてないんだ...」
「うん、だからなにかやっちゃったのかなーって」
「でも最近は大きな怪我もしてないよね?」
「咲希のおかげでね」
咲希のおかげで本当に減った。というか本当に咲希が万能過ぎるのだ。大概の事は咲希を中心に進めれば上手く行く。確かにその過程で何回か死にかけたのは事実だ。その度に咲希に助けてもらった。すっかり頭が上がらなくなってしまった。
「避けられてる感じとかはないから気にしすぎだとは思うんだけど...」
そんな咲希になにか大きく変わったということはない。ただ、なにか余裕がなくなったというか、焦っているというか。ほとんど難癖のようなものだが、確かに変わった気がするのだ。
「なんというか、自分を省みていない?感じがする」
「それを一歌ちゃんが言うの?」
「いや、そうなんだけど...最近はそんなにムチャしてないから.........」
いけない、話題が悪い。特に穂波には咲希以上に迷惑をかけた回数が多い。取り敢えず一回横に置いておいてもらおう。それに私はいたずらに自分を犠牲にしたりしないから、と心のなかでだけ言い訳を添える。
「とにかく咲希が来たら少し気にしてあげて」
「もちろんだよ。でも一歌ちゃんが直接聞いたらダメなの?」
「...まだ、気がするってぐらいだから」
別になにか問題があるわけではない。なんなら思い過ごしなだけでお節介な気しかしない。今咲希に聞いたらダメな気がした。
「一歌ちゃんも悩み事?」
「そういう訳じゃないけど...」
悩みというにはどうしようもないことだ。けど引け目がないと言ったら嘘になる。だって咲希に居場所を作って欲しくて誘ったのが始まりだったから。
「別に咲希を騎士団に呼んだのは騎士をしてもらう為じゃなかったんだけどね...」
騎士として、少なくとも私と一緒に危険な仕事に狩り出すつもりはなかった。安心できる場所でゆっくりして欲しくて咲希を誘った。それが実現可能なのは騎士団だけだと。
一応いろいろな選択肢はあったはずなのだが。とはいえ咲希自身が望んでいるんだから仕方ない。それに助けられている自覚は誰よりもある。咲希がいなかったら冗談抜きに私は死んでいるだろうから。
「甘えちゃってるのはよくないよね」
「一歌ちゃんの場合は少しは甘えるぐらいがいいと思うよ。今まで他の人を振り回した分ぐらいは」
「志歩になんか言われた? 」
「ふふ、ひみつ」
「しょうがないなぁ」
振り回した自覚はあるので甘んじて受け入れよう。
「魔法使いとしては治療を当てにして怪我をしてくる騎士さんは困っちゃうなぁ」
「うぅ...そうだよね」
「でもそんな騎士さんが自分を頼ってくれるのも嬉しいって思うよ。だから一歌ちゃんも遠慮はしちゃダメだと思うよ? 」
「別に遠慮してることもないと思うけど...」
というかむしろ好き放題やってる方だとは思うけど。私、というか咲希が想像以上に好奇心旺盛にいろいろと首を突っ込むたちであるのも関わってきそうだが。
「それならいいけど。はい、これを愛莉さんに渡してもらえる」
「ん、了解。それじゃ、またあとで」
「あっそうだ」
本来の目的を果たして出ようとしたところを、珍しく呼び止められる。
「咲希ちゃんはもっと甘えて欲しいって思ってると思うよ」
やけに確信したような口振りだ。これが咲希ならいつもの冗談で済むんだけど、穂波ともなるとそうはいかない。
「占いでもした?」
「ううん。ただわたしがそう思っただけだよ」
「わかった。覚えておくよ」
「そうしてもらえると嬉しいな」
意味深な顔で柔らかく微笑む穂波。いや、よく見たらいつもの優しい顔かもしれない。それとも同じ魔法使い同士、思うところがあるのか。
(命まで預けてるけどこれ以上ってなんなんだろうなぁ)
ぼんやりと言われた事と一緒にそんな事を考えていた。
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「あー、いっちゃん?」
「なに、咲希」
「無事そうだねー」
「これで無事に見える?」
「返事を言える状態なら大丈夫でしょ」
「そんな信頼は得たくなかったかな...」
本当によく口が回る。先ほどまでいつ死んでもおかしくないような戦いを繰り広げていたとは思えない。久しぶりに濃厚な死の気配を感じた。大きな怪我をしていないのが不思議でたまらない位だ。自分の止血を済ませて部屋のど真ん中で仰向けに寝転ぶ咲希に近寄る。
「外傷は腕だけ? 応急手当てだけはするけど」
「ありがとー。多分骨いっちゃったと思う」
「自分では治せないの?」
「出来なくはないけど、魔力がもったいないかな。利き腕じゃないしいいよ。本当に必要だったら治すけど」
「...痛いよ」
「もう痛いもわかんないし気にしなくていいよ」
本当に応急措置だけだ。添え木と包帯で固定だけする。止血だけは魔法を使って行ったらしい。器用なものだ。ここまでやったならすべて治療しきればいいものの。
「やっぱり敵のホームグラウンドで魔法戦なんてやるもんじゃないね~。不利すぎる」
「本当、よく生きてたよ」
「でもこれで終わりだね。敵対反応は全部消えたよ」
「他も上手くいったようでなによりだね。研究成果は消し炭になってるだろうけど」
死霊術師の無力化及びその研究成果の確保。要は禁術に手を出した人の始末をつけるという話だ。想定以上に相手はやり手だったが、目の前に倒れこんでいる魔法使いのフルパワーの方が上回ったようだ。
「いっちゃーん、だっこー。この体制、角のせいで頭いたくなる」
「はいはい」
折れた腕をできるだけ動かさないようにゆっくり抱え上げる。毎度のことながら軽すぎて不安になる。この体のどこから炎やら雷やら風が出てくるのか。鼻歌まで歌い出して呑気なものだ。本当にさっきまで死闘を演じていた人なのだろうか。
「やけに嬉しそうだね」
「いっちゃんの隣にいれるなって感じてるの」
「よく二人とも五体満足で終われたよね」
「それもそうだけど」
正直腕の一本ぐらいは覚悟していたのだが、重傷だけで済んでいるのは咲希のおかげだなぁ。
「いっちゃんとようやく並べた気がする」
「.........咲希の方が何歩も先に行ってると思うけど?」
純粋なパワーでは万に一つも勝てないぐらいの出力差がある。近距離ならどうにかなるとは思うが、そういう話ではないだろう。
「今回いっちゃん初めてアタシより自分を優先させたでしょ」
.........どうだろう。いや、本当にどうだろう。一応、咲希が万全を期せるようにサポートに徹してはいた。今回は私ができること限られてたし。ただ、終始必死に捌いていたというのが実情。そこまで考えていたかというと、わからない。
「わかんないけど、咲希なら大丈夫だったでしょ」
「そう!!それなの!!」
「ちょっと咲希暴れないで」
この怪我人元気すぎる。せめて折れた腕だけは庇いながら動いて欲しい。
「自分より他人の命を助けるのを優先するいっちゃんが!!アタシはいいってなったの!!」
「そうなの、かな? 」
「一緒に戦ったアタシは誰よりも解ってるよ。いっちゃんが普段過剰にアタシを守ろうとしてるのわかってるんだからね!?」
「怪我もしないレベルだったらね...」
「前までだったら今日の戦いでもいっちゃんは命捨ててでも特攻か、かばって死にかけてたと思いまーす」
「........まあ、そうかもね」
「でも、今日は違った!!」
咲希の方が多くの人を救える残るべき駒であることは明白だ。だからこそいつも先に死ぬなら自分というつもりでいた。ただ、今日はそんな事を一切考えていなかった事を自覚させられた。そしてそんな自分に驚く。咲希の方が優先するべきなのは変わらないはずなのに。
「ふふ、釈然としてなさそー。でもアタシはわかるよ」
「そうなの? 」
「うん。アタシの命も一緒にかけられるようになったんでしょ」
そんなわけない。そう言うつもりだった。今までだったら言えたと思う。ただ、言えなかった。
「アタシは騎士じゃないからさ、いっちゃんの誰でも守れるだけ守るっていう精神はあんまりわかんない」
いろんな人に聞いてもわからずじまいだったよという咲希の声は、そういう割には楽しそうだった。
「わかるのはアタシにとっていっちゃんは誰よりも守りたい人ってことだけだから」
咲希の温かい手が頬を撫でる。
「アタシを守る一人の中に入れないで、一緒に戦えたの嬉しかったよ」
やってやったぞと笑う咲希は今までで一番満足げだったと思う。怪我を無数に作って片腕が使えない状況で笑う魔法使い。少なくともあのとき絶望を抱えて泣いていた魔法使いではなかった。
「そっか」
「そうだよ~だからこれからはアタシをもーーーっと頼ってね。死線をくぐり抜ける時は特にね。アタシの事はマストアイテムだと思ってね」
「わかったよ、魔法使い様」
「名前で呼んでよー」
「はいはい、咲希」
そう名前を呼ぶと満足そうにむふーと満足げに息を吐く。なんというか咲希は思ったより単純なのかもしれないというのは失礼だろうか。
「というかそんな事戦いながら思ってたの? 」
「意識してもしなくてもやってたらわかるでしょ。アタシはやりやすかったよ。確かに相手も強かったけど負ける気がしないぐらいには。いっちゃんもそうでしょ? 」
「確かに」
私に大した怪我がないのがなによりの証拠だ。今日また死にかけて咲希のお世話になることだってあり得たのだ。それを今気づかされるとは。私もまだまだ未熟だな。
「私、もう咲希がいないとダメかもしれないね」
本当、騎士として恥ずかしい限りだ。咲希が相方でいることに慣れすぎて、咲希にいろいろと預けすぎて、自分の事も気づかないなんて。
「どうしよう、アタシ今、腕を治していっちゃんに力一杯抱きつきたい...」
「.........好きにすれば? 」
「でも治したらいっちゃんに看病して貰えなくなっちゃう...」
「ちょっと待ってそんな事で治してなかったの!?」
いや、残存魔力量的にセーブモードなの!!アタシよりひどい怪我をしていたらその人を助けるために使う分もあるし!!という咲希の非常に常識的な返答がされたが、やけに虚しく響くだけに留まった。
シ、シリーズ化…ですと!? すごく嬉しいです……