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辻村みよ子(つじむら みよこ)

◆経歴
1972年一橋大学法学部卒。同大学院博士課程・助手、成城大学助教授・教授、1999年より東北大学大学院教授・同大学ディスティングイッシュトプロフェッサー、パリ第二大学比較法研究所招聘教授等、2013年より明治大学法科大学院教授を務めた。現在、東北大学名誉教授。
日本学術会議会員、全国憲法研究会代表、ジェンダー法学会理事長等を歴任。国際憲法学会理事、日本公法学会理事、内閣府男女共同参画会議員なども務めた。

◆専門
憲法学、比較憲法学、フランス憲法学、ジェンダー法学。法学博士。
学位論文『フランス革命の憲法原理』(日本評論社)で1990年度渋沢 =クローデル賞、『憲法とジェンダー』(有斐閣)で2010年度昭和女子大学女性文化研究賞受賞。

刊行にあたって

Ⅰ 憲法研究者としての50年の歩み

 フランス人権宣言230周年、日本国憲法制定73周年にあたる2019年に古稀を迎え、約50年にわたる憲法研究の足跡を振り返る機会を得た。
この間に上梓した著作は、数の上では膨大なものになり 、研究分野もフランス憲法史研究、憲法理論研究から、比較憲法、ジェンダー法学などに拡がった。とくに2003年からの10年間は、文部科学省21世紀COE・グローバルCOEプログラムの東北大学拠点リーダーを務め、「ジェンダー平等と多文化共生」等の研究に注力した。このため、憲法学者からジェンダー法学者に転向したのではないかと言われたことさえあったが、決してそうではない。この点を含め、憲法研究者としての研究意図や研究経過、著作の相互関係等を明らかにしておきたいと思ったことが、この著作集刊行の背景にある。

 もともと、大学院当時から、フランス革命期の1793年憲法(ジャコバン憲法)や1789年人権宣言の研究を進め、人民主権原理や選挙権権利説につながる憲法理論や民衆の憲法思想を検討対象としてきた。また、その間に「フランス革命と『女権宣言』」」(法律時報48巻1号、1976年)、「フランスにおける選挙権論の展開1~3完」(法律時報52巻4-6号、1980年)など、女性の人権や選挙権に関する論稿を公表する機会も得た 。
 一橋大学助手・成城大学専任講師・助教授・教授(フランス法・憲法担当)を経て1999年に東北大学法学部・法学研究科の憲法学教授にて移籍した後も、フランス憲法史、1793年憲法研究、選挙権・主権論研究、女性参政権・女性の権利、人権史・人権論研究から、ジェンダー法学・ジェンダー人権論、比較憲法学、憲法解釈論など、研究対象を拡大しながら進めてきた。とくに2004年の東北大学法科大学院開校以降、初めて「ジェンダーと法」という科目を担当し、2013年以降は明治大学法科大学院で同種の科目を6コマも担当した時期もあった。しかし、フランス憲法史研究以降のこれらの課題は、自分のなかでは、これらは決してバラバラなテーマではない。
 基本的には、①フランス憲法史・比較憲法、②主権・選挙権、③人権・女性の権利(ジェンダー法)・家族、④日本国憲法解釈論という「4本柱」を中心に、その4つの柱の周りを螺旋階段で上るようなイメージを持って、計画的に研究を連結させることを目指してきた。1992年に名古屋大学大学院で集中講義を担当する機会を得たとき、当時まだ40歳代初頭であったにもかかわらず、慣例に従って最初に「人と学問」と言うテーマで話すことを依頼され、このとき、略図を用いて「4本柱と螺旋階段」の説明をしたことを、鮮明に記憶している。
 もっとも、2000年代以降の著作については、時代の要請や、研究環境の変化によってテーマが拡散した印象は否めない。とくに、前記2003年~2013年の21世紀COEとグローバルCOEプログラムの「ジェンダー法・政策」「ジェンダー平等と多文化共生」等の共同研究は、厳しい競争を勝ち抜いて文科省の巨大プロジェクトとして採択された偶然の結果であって、当初から計画していたものではない。オランプ・ドゥ・グージュの伝記翻訳(1995年)や『女性と人権』というタイトルを掲げた単著(1997年)を刊行していたとはいえ、当時まだ学問領域として十分に確立されてはいなかったジェンダー法学の領域に入り込む困難さと成果については、とても予測ができるものではなかった 。実際には、2004年に創設されたジェンダー法学会の理事長や、日本学術会議科学者委員会男女共同参画分科会委員長、内閣府男女共同参画会議議員等の仕事を長年経験することになり、研究成果もジェンダー法学関係のものが多くなった。このような研究環境の変化が研究者人生を変えた、という一面は否定できない。
 にもかかわらず、現時点で著作全体を分類してみれば、やはりフランス憲法史、主権・選挙権、人権・女性・家族研究、日本国憲法解釈論という当初からの上記「4本柱」が不変であることがわかる。そして、このような研究経過や意図を十分に理解して共有して下さった元同僚や研究会グループの皆さんを中心に、2019年7月に古稀記念論集 を刊行して頂くことができたのは、研究者としてこの上ない光栄であった 。

Ⅱ 共同研究・古稀記念論集に触発されて

 古稀記念論集の巻末に著作一覧をまとめる作業を行ううち、論文の相互関係や、単著にも収録しなかった多数の論稿の存在などが気懸りとなった。そこで、手元にある旧型(1980年頃発売の富士通オアシスの)フロッピー・ディスク等の内容が消失・散逸してしまう前に、何とか、研究テーマごとに再構成して、研究成果をまとめておくことができないか、と考えるようになった。幸い7巻程度の予定で、テーマごとにまとめた著作集の刊行を出版社さんから薦めて頂いたことから、さっそく、フランス憲法史研究を中心とした第1巻を2020年にまとめることにした。
 ただし、現在公刊中の書籍も多いことから、できるだけ初期の雑誌論文など入手困難なものを中心に集め、書店で購入できる単行本等については、全編を丸ごと収録することは避けることとした 。また、単なる著作集(編纂本)ではなく、現代憲法学の展開にとって多少とも意義あるものにするため、各章末に「補遺」を付し、脚注のなかにも「†」印を付して、当該論稿発表以後の研究状況等がわかるようにした。
それにより、上記古稀記念論集や東北大学退職記念論集 、「法律時報」連載 の共同研究会の成果として刊行された共編著書 等によって種々の問題提起をしてくださった多くの研究者仲間の皆様に対する感謝の気持ちを添えて、批判や疑問に答える機会を確保したいとも考えた。
 出版状況が困難な時代にあって、信山社さんのご厚意によりこのような機会を与えて頂き、日本評論社、岩波書店、三省堂、有斐閣、勁草書房、有信堂他の出版社さんからも快く転載許可を戴いたことに対して心から感謝するとともに、それに恥じない内容にして憲法学研究の進展に寄与できるよう、可能な限り編集上の補完 に努めたいと思っている。

 幸い、歴史的な実証研究や権利の本質論に迫るような論稿が多いため、「歴史は枯死しない」ことを信じて、執筆当時の理論状況を記録にとどめる意義を重視しつつ取り組むことができた。もともと、私の研究歴の重要な要素となっている1970年代主権論争(杉原・樋口論争)、それに先行した大塚史学をめぐる経済史論争、フランス革命をめぐるマルクス主義史学とアナール派の論争や、1980年代からの選挙権論争(選挙権権利説の展開)、さらには、2000年代からのジェンダー法学視点にたった研究(ポジティヴ・アクション、クオータ制等)についても、それ自体、今後もなお、学界や次代の研究者にとって大きな研究意義を持ち続けるものであると考えている。たとえ、今日ではそれらの議論の実益がないように見えたり、私の拙い検討結果が後の研究によって乗り超えられたりするとしても、実際には、「意外にも」、当時の本質論的な問いが未だ解決していない、近未来の課題であることもわかるであろう。
 ここに収めた一研究者の格闘の足跡が、今後の若手研究者にとって、また、日本国憲法の閉塞的な憲法状況・政治状況を好転させるために、何らかの意味を持つ日が来ることがあれば、幸いである。

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全巻構成

1

フランス憲法史と立憲主義

―主権論・人権論研究の源流―

主権論・人権論研究への序章ともいえる、フランス憲法史研究の成果から現代立憲主義の課題を探る

ISBN:978-4-7972-1361-4

定価 11,000円

(本体 1,0000円+税)

2

人権の歴史と理論

―「普遍性」の史的起源と課題―

人権宣言の実証研究から現代的人権の「難問」に挑む。個人の尊重、生存権、生命権、平和的生存権、安全等への飽くなき追究

ISBN:978-4-7972-1362-1

定価 11,000円

(本体 10,000円+税)

3

国民主権と選挙権

―「市民主権」への展望―

国民主権論・選挙権論の基礎研究をふまえ、「市民主権」論への展望と、現在の具体的な選挙問題を検討

ISBN:978-4-7972-1363-8

定価 11,000円

(本体 10,000円+税)

4

憲法とジェンダー法学

―男女共同参画の課題―

方法論から体系化へ、ジェンダー法学の深化を目指し、憲法学研究からジェンダー人権論、シティズンシップ論を考察

ISBN:978-4-7972-1364-5

定価 11,000円

(本体 10,000円+税)

5

家族と憲法

―国家・社会・個人と法―

選択的夫婦別姓、自己決定権、生殖補助医療等、現代の家族の変容がもたらす「家族法の憲法化」を追究

ISBN:978-4-7972-1365-2

定価 11,000円

(本体 10,000円+税)

6

比較憲法の課題

―憲法の普遍性と多様性―

日仏憲法原理の比較から「ブルジョア革命論」や「女性人権史」の学問領域を構築し、「新しい人権」を標榜

ISBN:978-4-7972-1366-9

定価 11,000円

(本体 10,000円+税)

7

日本国憲法解釈と平和

―法解釈の課題と展望―

現在の日本国憲法の解釈論上の問題状況を整理・考究。平和主義に関する論稿も収載し、平和的生存権にも一石を投じる

ISBN:978-4-7972-1367-6

定価 11,000円

(本体 10,000円+税)

8

日本と世界の学際交流

―国際・国内学会報告と研究者の歩み―

憲法学・ジェンダー法学等の広範な学問領域において,多くの学術団体との学際的交流に参加しての基調講演や報告等の主なものを収録

ISBN:978-4-7972-1368-3

定価 13,200円

(本体 12,000円+税)