単位が取れないのなぜ? 大学の知能検査で知った「自分」 困りごとの背景に発達障害
知らなかった自分の姿
ウェクスラー式は世界で最も普及している知能検査で、言語の理解力、情報の処理スピードなど四つの指標と、それらを総合した指標をIQとして測定する。 健太さんのIQは平均を上回っていた。一方、四つの指標の得点を比べると、得意なものと不得意なものに大きな差がみられた。IQの高低にかかわらず、この差が大きいほど、困りごとにつながりやすい。 「言葉のつながりを思考し、文章で表現することが得意」 「時間制限があると見落としが多くなる傾向」 検査がとらえた自分の姿。「やっぱり」よりも「知らなかった」が多かった。 中島さんに告げられた。「発達障害でみられるような特性がある。この検査で診断はできないが、医師に診てもらうのも選択肢だと思う」
サポートと処方薬の効果
発達障害は、生まれつきの脳機能の障害によって、社会生活に支障が出る状態をいう。ミスが多い、落ち着きがないといった特性がある注意欠如・多動症(ADHD)と、コミュニケーションが苦手でこだわりが強いといった特性がある自閉スペクトラム症(ASD)は、その代表例だ。 母親に相談し、医療機関を受診したのは半年後。ADHDと診断された。ASDの傾向もあると言われた。 大学のサポートは、診断を待たずに始まった。課題の見落としを防ぐため、学生生活の支援をするキャンパスソーシャルワーカーと毎月面談し、連絡事項を一緒に確認してもらった。電話やメールでは毎週、課題の状況や締め切りを守れたかを報告した。 ADHDには、集中力を高めるなどして困りごとを軽減する処方薬がある。これが効いた。「今までの自分は、眠くてぼんやりしていたんだ」。すぐにエンジンがかかる、初めての感覚だった。 ハードルが見えるようになり、どう越え、どうよけるか、対策を取れるようになった。高さを下げてもらうように配慮を求める選択肢もあると知った。特性に実感が伴った頃には、単位も取れるようになっていた。