(社説)東電の再建計画 原発頼みの苦境 直視を
東京電力ホールディングスが再建計画にあたる「総合特別事業計画」を約4年半ぶりに大幅に見直し、公表した。再建の柱に他社との提携を据えたのは、東電の力だけでは福島第一原発事故の賠償や廃炉などに必要な資金の確保が難しくなっているからだ。原発依存を脱せずに今日の苦しい経営状況に至った現実を、直視する必要がある。
新たな計画は、再建の切り札と期待した新潟県の柏崎刈羽原発6、7号機が再稼働しても、経営状況の「抜本的な改善にはつながらない」と明記した。再稼働直後に制御棒の警報トラブルで停止した6号機は、原子炉を再起動。3月に営業運転を始める予定だが、同原発の再稼働だけでは「盤石の財務基盤が整備されたと評価することは難しい」という現状認識も記した。
危機感の背景には、廃炉費用の膨張への懸念がある。
溶け落ちた核燃料(燃料デブリ)の本格的な取り出し作業は、着手が当初予定の2030年代初頭から、37年度以降にずれ込んでいる。国や東電がめざす51年までの廃炉完了は難しそうだ。廃炉作業が長引けば、8兆円と試算される費用は膨らみ、経営の重しになりかねない。
新電力との競争激化で本業の稼ぎが減る一方、原発の安全対策や送配電への投資が増えている。物価高や人件費の上昇も響き、手元の現金収支は7年連続の赤字だ。福島への責任を果たし続けるには営利事業の収益拡大が必要だが、廃炉と企業価値の向上を独力で両立させるのは難しくなっている。他社との提携が「最も有力かつ実効的な選択肢」として、国内外の企業や投資ファンドから出資を受けることを念頭に、3月末と期限を切って提携の提案募集を始めた。大規模な事業再編につながる可能性もある。
他社との提携を軸に成長をめざす方針は過去の計画でも掲げられてきた。再建を監督する国の認可法人、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の増田寛也運営委員長代理は、提携の必要性は「一段も二段も高まっている」と述べた。
だが、中部電力と火力事業を統合したJERA以外に目立った提携の成果はない。巨費を投じても、稼ぎを生まない廃炉事業への責任を負う提携に乗り出す有力な相手が見つかるかは、不透明だ。
原子力に依存せず、他の事業を深化させて新たなビジネスモデルを築くという前の計画がめざした企業変革は進んでいない。提携を通じた資金の確保を含め、再建への道筋を抜本的に描き直して具体化させることが東電の責務だ。