松屋フーズが回転寿司業態に乗り出していることをご存知だろうか?
「すし松」という屋号で現在、関東・大阪で20店舗を展開している。松屋フーズの寿司業態への挑戦は意外に古く、2006年に回転寿司店等12店舗を営業譲渡で獲得した頃にまで遡る。同年、高級寿司割烹の看板を掲げた「福松」を2店舗、2007年に「すし松」1号店を出店し、本格的に寿司への挑戦が始まった。
20年の年月を経て、ついに本格参入へ
私も開店当初の「福松」に何度か訪れたことがあるが、内装やサービスなどに感心した記憶がある。しかし、あまり出店をしてこなかったのは、獲得した店舗に寿司職人が必要であったことも一因だろう。
回転寿司は誕生から70年近く経つが、大手回転寿司チェーンが登場するまでは寿司職人が客前で握るスタイルの店しかなかったのだ。この業態はグルメ系回転寿司と呼ばれ、「金沢まいもん寿司」や「根室花まる」などインバウンドにも人気が高い店が多く存在している。ちなみにだが、大手チェーン以外では職人が寿司を握って提供する店がいまも主流で、回転寿司企業の8割以上がこのスタイルである。
よって、業界的には慢性的な寿司職人不足と職人の高齢化問題に悩まされ続け、店舗展開をしていく上での大きな足枷となっている。グルメ系の中では数少ない上場企業である「すし銚子丸」も劇場型と呼ばれる寿司職人のパフォーマンスやサービスが大人気となり90店舗以上も展開しているが、3年前に寿司レーンを撤廃し、客前で握るスタイルをやめてしまった。それも職人不足や労働の負荷が課題となっていたからだ。
「すし松」も多店舗展開していく上では寿司職人不要の業態を目指すことが必須であり、一からシステムを構築する必要があった。時間は掛かったが20年を経て完成形を迎えたことでここにきて急速な店舗展開に踏み切ったのではないか。
その原動力となっているのが、松屋フーズお得意の駅前や繁華街立地にこだわった小中規模の店作りだ。他の回転寿司大手チェーンもコロナ以降、駅前立地を増やしてはいるものの、あくまでも主力はファミリー層をターゲットにした郊外の大型店舗。出店立地により「すし松」は大手チェーンとの差別化を図っていこうとしている。