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ブルームーンの観察/Novel by 天牙 翔

ブルームーンの観察

3,032 character(s)6 mins

きみのまちサンドロックの二次創作。
フォロワーの誕生日が続いていたので、その二人の推しであるアンスールとペンのはなしになります。
ブルームーンで会話する二人を見ているオリジナルビルダーとミアンいます。
ねつ造、キャラ崩壊、解釈違い、ネタバレを含むため、なんでも許せる方向け。

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ご飯時になると、町の人はブルームーン酒場に行ってご飯を食べる。私もその一人だ。
自分でも作れるけれど、自分じゃない誰かに作ってもらったご飯というのもたまに食べたくなるものだ。
今日は『もの作りのエキスパート』としてミアンと一緒に、盗賊ローガンに壊された給水塔を直したから、くたくたなのだ。商業ギルドからボーナスの五十ゴルも出たことだし。正直、ボーナスなんてくれると思ってなかったから、五十ゴルでもありがたい。
それに、依頼料はたくさんもらったから夜くらいは贅沢してもいいだろう。


ブルームーンに入ると、あちこちから楽しそうな話し声が聞こえてくるのと同時に、いろんな料理の香りも漂ってくる。この香りだけでお腹がなってしまう。

「ビルダー、いらっしゃい」

「こんばんは」

入ってすぐに、オーナーのオーウェンが私に声をかけて、好きな場所に座ってと手で合図してくれた。とはいえ、観光客も少しいるようで、店内は結構人がいる。いつもは使われていないソファー席も大抵が埋まっていた。
相席を頼もうかとキョロキョロと席を見回していたら、奥の方でミアンが手招きしてくれていた。

「ビルダー、こっちこっち」

ミアンのいる方に向かうと、奥に詰めて席を開けてくれた。

「ありがとう、ミアン」

向かい側の席にお客さんがいたから、挨拶をすると、私とミアンの事を知っていて驚いた。滅びようとしているサンドロックに、二人の『もの作りのエキスパート』が降り立ったと新聞記事になっていたらしい。しかもその記事を受けてサンドロックへ旅行に来ていたこのタイミングで、盗賊の襲撃を目撃して、さらに私たちの活躍を目の当たりにしたことに興奮しているようだった。
話を聞くと、アタラから来たルポライターだと教えてくれた。根掘り葉掘り聞いて来るのがなんとも困る・・・そうか・・・ミアン、この人の質問責めに困って私を呼んだのかな・・・?

「アタラのルポライターさん?この二人にスポットを当てるのもいいけれど、あっちで食べているペンって男が、給水塔を壊した犯人を撃退したヒーローなの、知ってた?」

私の注文を聞きに来たグレースが、向こうのテーブルでなぜかアンスールと食事をしているペンを指差した。
アンスールとペン・・・?あまり見ない組み合わせた。未だにブルームーンは混んでいるから、私とミアンみたいに相席になっただけかもしれないけれど、ものすごく面白い組み合わせ・・・

「え、アンスールも食事に来てるのね?」

ミアンはそっちに驚くのか。確かに、アンスールはあまりブルームーンに来ているイメージはない。土曜日のストーリーナイトには来ていたように思うけれど、食事している記憶はない。
ああ、テーブルをよく見れば、アンスール側にあるものは、ヤクメルミルクだけだ。

「え!盗賊ローガンを撃退したヒーロー!?」

今の今まで私たちを質問責めにしていたルポライターは、グレースの言葉に私たちの事など一瞬で忘れ去ったようだった。ペンとアンスールのいるテーブルに走っていった。そんなに走るほどブルームーンは広くないけど、まあ、いいか。

「余計なお世話だったかしら?」

グレースが少し困ったような顔で私とミアンを見た。

「困ってたの解っていたんでしょう、助かったわ、ありがとうグレース」

「さすがだよね。ミアンの言うとおり、困ってたんだ。ありがとう」

「それならよかったわ。しばらくしたら、あの二人のところにも行かないとね。その前に、ビルダー、あなたの注文を聞いていくわね」

「えーっと・・・」


注文を聞いて、グレースはキッチンの方に戻っていった。

「ねえ、さっきの人」

「ん?」

ちゃっかりアンスールの隣に座って、二人の話を聞いているようだ。とはいっても、ペンがほぼ喋っていて、アンスールはヤクメルミルクを静かに飲んでいるように見える。少し離れているけれど、頑張れば会話も聞こえるかもしれない。そっちに耳をすませてみよう。

「オレの活躍を聞きたいってアタラからわざわざ来るとはなあ」

「・・・貴方の今日の活躍は、まだ届いていないと思いますよ?」

「ん、確かにそうだな?じゃあなんでこいつはここにいるんだ?」

「さっき、旅行中に偶然事件に遭遇したと言っていましたよ」

「そうだったか、話が長くて聞いていなかった。はは、悪いな」

「はい」

・・・・・ボケとツッコミかな?

「なんだか、あそこのテーブルの会話を聞いているとうずうずしちゃうんだけど・・・」

「だよねえ、私もさっきから首突っ込みたくてしようがない・・・」

とはいえ、会話が成り立っていない訳ではないのだ。ルポライターの質問に頓珍漢な答えをしようものなら、アンスールから鋭い指摘のようなものが入るし、二人でボケ倒していたりする。その時は質問者のルポライターがツッコミしている。
聞いていると笑ってしまいそうで辛い。

「で、盗賊ローガンをどうやって追い払ったんですか?」

「ああ、あれはあいつが給水塔を壊して、この町をも破壊しようとしたその瞬間に、オレが目の前に降り立ってな・・・」

「さすが、この町で自分の事を「サンドロックの守護者」と呼ばせているだけありますね」

「この町には、正義って名乗っている奴が既にいるからな。オレのこのプロテクターに書かれた言葉を冠する、あのジャスティス・・・それはもう名乗れないからな」

「ジャスティスはジャスティスですからね。名前の通りものすごい正義感の持ち主なんですよ」

「おいおい、アンスール。今日はオレの話を聞いてもらう会だろ?ジャスティスの話はまた今度にしてくれよ?」

「そうでした、すみません」

首を突っ込みたい!ボケとボケの応酬のように聞こえる会話に、ものすごく首を突っ込みたい!

「はい、おまたせ」

ワナワナしていたタイミングで、グレースが料理を運んできてくれた。

「ゆっくりしていって」

苦笑しながらそう言ったグレースは、アンスールとペンのテーブルに向かった。

「ねえ、ルポライターさん?あなた、今日のうちにアタラに戻りたいって言っていなかった?最終列車、そろそろ出る頃よ?」

「なっ!?うわあ!確かにその通りだ!お二人とも、話してくださってありがとうございます!サンドロックのルポ、楽しみにしていてください!ああ!『もの作りのエキスパート』であるおふたりも!それじゃあ、またどこかで!」

ルポライターは、あわただしくブルームーンを出ていった。

「おい、揚げ物屋・・・」

「なによ?」

「そろそろ、私は失礼します。ペン、楽しいお話をありがとうございます」

「あ?あ、ああ、楽しめたならよかった・・・」

アンスールがグレースにヤクメルミルクの代金を払って帰っていった。それによって、ルポライターを帰してしまったグレースに怒りをぶつけようとしていたペンの怒りもどこかに行ってしまったようだ。

「はあ、もう、いい」

ペンも同じように、グレースに食べたものの代金を払って出ていった。

「・・・・・・ふふ」

「ふふふ」

一部始終を見ていた私とミアンは、しばらく笑いがとまらなかった。
あまり関わりがないと思っていたアンスールとペンが会話をしているという、ものすごく珍しいところを見られて、今日はラッキーだ。

おわり

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