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カバー株式会社による米国での著作権侵害訴訟(「マリアのVTuberにうず」)

米国の裁判資料を検索していたら、おもしろい資料を見つけたので、紹介します。

VTuberプロダクション「ホロライブプロダクション」を運営するカバー株式会社によって米国カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所で、カバー株式会社から日本に居住する男性に著作権侵害を理由とした訴訟が提起されています。

裁判名は「COVER Corporation v. YAMASHITA」、Case番号は5:26-cv-01117です。

この訴状を取得しましたので、紹介します。なお、この訴状はPACERから誰でも取得できるものですが、念のため個人情報にはマスキングを行います。

免責事項

本記事は、公開されている裁判資料に基づき、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の個人または団体を非難、攻撃、評価または法的判断をすることを目的とするものではありません。また、本記事に記載されている内容は、いずれも訴訟における当事者の主張、または公開資料に記載された情報の紹介であり、裁判所による判断や事実認定を示すものではありません。

本件訴訟は現在係属中であり、今後の裁判の進行や判断により、原告または被告の主張の一部または全部が認められない可能性があります。本記事の内容は、そのような将来の結果を予測または保証するものではありません。

本記事で引用または参照している情報は、米国連邦裁判所の公開資料(PACER)等、一般に入手可能な第三者が作成した資料に基づいています。これらの資料の内容は筆者が作成または管理しているものではなく、その正確性、完全性、適法性等について、筆者はいかなる保証も行うものではありません。

なお、個人情報の保護および著作権等への配慮のため、氏名の一部、連絡先、その他識別性の高い情報や資料の一部については、マスキング等の処理を行っています。

本記事の内容の正確性、完全性、最新性について、筆者はいかなる保証も行うものではありません。本記事の情報を利用したこと、または利用できなかったことにより生じたいかなる損害についても、筆者は一切の責任を負いません。

また、本記事は法律上の助言を提供するものではありません。

本記事の内容について問題があると考えられる場合や、訂正等の要望がある場合には、こちらよりご連絡ください。

DISCLAIMER

THIS ARTICLE IS PROVIDED FOR INFORMATIONAL PURPOSES ONLY AND DOES NOT CONSTITUTE LEGAL ADVICE OR EXPRESS ANY OPINION OR JUDGMENT REGARDING ANY PARTY. IT IS BASED ON PUBLICLY AVAILABLE COURT RECORDS AND OTHER THIRD-PARTY MATERIALS THAT WERE NOT CREATED OR CONTROLLED BY THE AUTHOR. THE AUTHOR MAKES NO REPRESENTATIONS OR WARRANTIES AS TO THE ACCURACY, COMPLETENESS, OR CURRENCY OF SUCH MATERIALS. THE CASE DISCUSSED HEREIN IS ONGOING, AND ALL DESCRIBED ALLEGATIONS ARE SUBJECT TO CHANGE OR REJECTION BY THE COURT. THE AUTHOR ASSUMES NO LIABILITY FOR ANY DAMAGES ARISING FROM THE USE OF OR RELIANCE ON THIS ARTICLE.

すべてのマスキングは筆者によって行われたものです。黒のマスキングは文字、緑のマスキングは画像を隠しています。

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2/11 14:15追記:召喚状

"Summons in a Civil Action" も取得可能になっていたので、同様に掲載します。こちらもPACEから閲覧できます。

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(2枚目:PROOF OF SERVICEは省略)

"A lawsuit has been filed against you."という一文と、下記のような記載もあります。

… you must serve on the plaintiff an answer to the attached complaint or a motion under Rule 12 of the Federal Rules of Civil Procedure.
(中略)
If you fail to respond, judgment by default will be entered against you for the relief demanded in the complaint.

(参考訳 ※翻訳の正確性を筆者は保証しません。)
……あなたは、原告に対し、添付の訴状に対する答弁書、または連邦民事訴訟規則第12条に基づく申立てを送達しなければなりません。
(中略)
これに応答しない場合、訴状で求められている救済について、あなたに対する欠席判決が言い渡されます。

コメント

まだ訴訟は始まったばかりなので訴訟がどうすすむかはわかりませんが、2月11日現在の進行状況はこのように公表されています。

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https://cand.uscourts.gov/cases-e-filing/cases/526-cv-01117/cover-corporation-v-yamashita
マスキングは筆者によるもの

これによれば、Initial Case Management Conferenceが裁判所によって5月8日 午後2時にオンライン会議(開催地はサンフランシスコ)で行われることが決定したようです。

訴状によれば、カバー株式会社はまず最初にYouTubeを通じて(恐らく米国デジタルミレニアム著作権法(DMCA)に基づく)侵害の申し立てが行ったところ、被告はこれに対して異議申し立て通知を行ったようです。

DMCAに基づく異議申し立て通知(Counter Notice)は、異議申し立て通知という名前から誤解しやすいのですが、れっきとした法的手続きです。DMCAに基づく異議申し立て通知では、通常、米国居住者でない場合プラットフォームの所在地の連邦地方裁判所の管轄に合意をすることが必要事項となっています。

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https://support.google.com/youtube/answer/2807684

これは、YouTubeの場合、カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所で提訴されたとしても文句はない、という意思表示になります。

そして、DMCAに基づく異議申し立て通知を送付された権利者側は、コンテンツの復活を防ぐためには、訴訟を起こした証明をプラットフォームに提出することが必須となります。今回の訴状でもこれは触れられています。

Despite providing YouTube with evidence regarding Plaintiff’s registered copyright and Defendant’s willful infringement, because Defendant has submitted counter notifications denying infringement, Google/YouTube has taken the position that proof of legal action is required in order for the infringing content to remain removed. Accordingly, Plaintiff hereby brings this action for copyright infringement.

P.6 17段落目

(参考訳 ※翻訳の正確性を筆者は保証しません。)
原告は、自己が登録した著作権の存在および被告による故意の侵害についての証拠をYouTubeに提出してきた。しかし、被告が侵害を否認するカウンターノーティフィケーションを提出したため、Google/YouTubeは、侵害コンテンツを削除した状態のまま維持するには法的措置が取られたことの証明が必要であるとの立場を取っている。

そのため、原告はここに、著作権侵害を理由として本訴を提起するものである。

P.6 17段落目 参考訳

しかしながら、時折DMCAに基づく異議申し立て通知は、プラットフォームからコミュニティガイドライン違反で動画を削除された時の異議申し立てと同じくらいの軽さで扱われているように感じます。

今回の被告の状況がどうだったのかはわかりませんが、通常日本に住む個人であれば、米国の裁判所での訴訟に直面すれば相当な負担になると考えられます。弁護士を雇うにしても、米国連邦法に精通している米国弁護士を雇わなければならないとなれば、簡単にできることではないでしょう。

特に、米国に拠点を持っていて、米国弁護士を雇うことも容易にできる上場企業や大企業相手に個人が争うのはそもそも分が悪いと思います。

一般論として、DMCAに基づく通知は軽くは扱わず、特に異議申し立て通知を提出する場合は、予め専門家に相談されるのが得策だと思います。

余談ですが、基本的にプラットフォーム側はDMCAに基づく申し立てや異議申し立て通知について形式的な部分以外は審査を行いません。正しい請求を受理しなければプラットフォーム側が責任を取らされる可能性があるからです。そのため、DMCAの不正利用が問題となっていますが、かといってDMCA通知の重大性を矮小化していいわけではないと思います。

なお、再三申し上げますが、まだこの訴訟は始まったばっかりです。今後裁判がどのように進行するかわからず、場合によっては、引用している原告(カバー株式会社)の主張の一部または全部が認められない可能性があることを改めてご留意ください

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。もしよければいいねを押してくださると励みになります。

※この記事は2025年2月11日現在の情報で執筆・公開しています。今後裁判が進行したり、引用資料に訂正が加えられたとしても、筆者は更新の義務を負いません。
※本ページは、関係者の方からご連絡をいただいた場合や、筆者の判断で削除をする可能性があります。お問い合わせはこちらからお願いいたします。

この記事内で著作物が引用されている場合、その権利は各権利者に帰属します。

【訂正・おわび】
2026/02/12 22:10頃:「カリフォルニア州北部地区連邦裁判所」と記載がありましたが、「カリフォルニア州北部地区連邦地方裁判所」が正確です。また、「2025年2月11日現在の情報で執筆・公開」と記載がありましたが、「2026年2月11日現在の情報で執筆・公開」の誤りです。訂正してお詫び申し上げます。


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temp

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コメント

33
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destinychi

この公開記録と、1月に退任されたある同業他社の代表の方を、同姓同名というだけで紐付ける陰謀論が一部に存在するようなのですが このような『氏名の重複』による無関係な第三者への風評被害を防ぐための、本人確認や情報のフィルタリングといった仕組みは現状整備されていないのでしょうか?

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りひと

ご指摘のような投稿を確認していませんが、基本的にSSN(社会保障番号)など特に機微な情報を除き、個人情報が隠されるなどの措置は取られていないようです。被告の名前と住所(とメールアドレス)だけしか情報がないので、裁判上は本人確認は行えるのでしょうが、風評被害のリスクを免れることはでき…

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note00234のプロフィールへのリンク
note00234

マリアさん、訴えられたのが原因で全てのアカウントで「活動終了」表記になったことをお知らせいたします

3
りひと いいね
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reddish heart

ハッキリ個人が特定できる名前や住所が隠されることなく、そのままpdfが公開されるのはお国柄なんでしょうかね 「異議申し立て(裁判を覚悟)をするからには正々堂々とそれくらい出せるよな?」的な

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りひと

個人のプライバシー保護より裁判の透明性を重視しているんですかね。アメリカの行政手続きはそう言う例も多い気がします。

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野次馬ですがざっくり分かりやすく興味深かったです 最後の最後…!笑 > ※この記事は2025年2月11日現在の情報で執筆・公開しています。

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りひと いいね
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りひと

あっ!! 大変失礼しました。まだ心が2025年にいました。 訂正をさせていただきました。教えてくださり、ありがとうございます。🙇‍♂️

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カバー株式会社による米国での著作権侵害訴訟(「マリアのVTuberにうず」)|りひと
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