総死亡率が一番少ないのは血圧160の人、認知症が一番少ないのはなんと血圧185の人だった【医学常識のウソ④】
百寿者の研究に学ぶ
和田 百寿者の研究は、慶応大学が行った有名な研究ですね。 大櫛 そうです。私は総合健診医学会の70万人の健診データを分析していたんですが、そこでは80歳以上のデータが集まりにくいんです。 和田 80歳を超えるとなかなか健診は受けませんからね。 大櫛 はい。健診を受けないし、もともとの人口も少ない。だから一応データはあるんだけど、統計解析して意味を持つほどのデータにはなりにくい。ところが慶應の先生たちが100歳以上の長生きな人のデータを集めてくれたんです。一人一人訪問して丹念に聞き取り調査をした非常に貴重なデータです。 和田 素晴らしい研究ですよ。 大櫛 百寿者研究の中に血圧と自立度に関するデータがありましてね。血圧を4段階に分けて、それぞれの自立度を比較するんです。すると血圧の高い人ほど点数が高い。自分でできることが多いんです。逆に血圧が低い人は自立度も低い。明確にデータに現れているんです。 和田 やっぱり血圧が元気の素ということですよね。 大櫛 それはもう間違いないでしょうね。具体的な血圧で言うと、上の血圧が90~124の群は自立度35。125~139の群は自立度43。140~155の群は自立度48。156~220の群は自立度57。低い群と高い群ではまるで違いますからね。 和田 100歳以上の人だけでなく、他の高齢者にも当てはまります。自立度はもう少し高くなるのかもしれないけど。 大櫛 実はね、アメリカの医師会雑誌でも同じような調査が報告されています。調査対象者の平均年齢は74.5歳ですが、1万7000人のデータが集まりました。 和田 興味深いですね。 大櫛 やはりアメリカでも、血圧の高い人のほうが死亡率は低い。認知症になる人も少ない、という結果が出ました。 和田 なるほど。 大櫛 総死亡率が一番少ないのは血圧が160前後の人たちでした。だけど認知症が一番少ないのはなんと185前後の人たちだったんですよ。これは2022年に発表された調査報告です。 和田 高齢者医療に長年従事してきた僕の実感とも一致しています。薬で血圧を大きく下げている人は、やはり認知症にもなりやすい。元気がなく自立生活も困難になりやすいんです。