いつでもおいで「こどものこころ外来」
医療・健康・介護のコラム
7歳息子が発達障害 子育ては腹八分目で お母さんの心のゆとりが子どもの心を育てる土壌になる
過ぎたるは及ばざるがごとし
お母さんが自宅で取り入れていることの一つ一つは間違いではないかもしれません。でも、過ぎたるは及ばざるがごとし、です。いろいろなことをやり過ぎた結果、息子さんの気持ちに余裕がなくなり、そのために不安定になっているように思われました。
私がそのことを指摘すると、お母さんは「やっぱりそうですよね……」とポツリ。実はお母さん自身も同じように感じておられたようです。「発達障害関連の書籍を読むと、やった方がいいとか、この方法をしないと後で困ることになるとか、いろいろ書かれていますよね。そういうのを読んでいると全てやらなきゃいけないのではないか、と不安になってしまいます」と話してくださいました。お母さんのお気持ち、よく分かります。
今はたくさんの情報があふれています。「やった方がいい」と書いてあると、「やらないとダメなのか」と思い込んでしまいます。それに、書いてある情報も微妙に違うところがあって、混乱してしまいます。専門家と言われる人たちは様々なことを言っています。このコラムもそうかもしれません。
気付けた時が支援のスタート
さらにお話を聞いていくと、「発達障害は早期に診断して療育を始めることが大事だとされています。でも、私は子どもを小さな時から見ていたけれど気付けなかった。今思えば、いろいろな特性があったな、と思って。私のせいで息子の支援の開始が遅くなってしまったかもしれない。もっと早くに自分が気付いてあげていたら、もっと早く障害の支援に結びついていたのではないか。その機会を失わせてしまった気がして……せめてそれを今からでも取り返してあげたい、という焦りもあるのかなと思います」と明かしてくださいました。
発達障害の特徴は、家庭内や少人数の集団内では見えにくいことがあり、ある程度大きな社会の中で初めて障害に気付かれることもあります。
みなと君の場合も、なかなか気付けなかったのはお母さんのせいではないことと、気付けた時が支援のスタートで良いということをお知らせしました。
また、みなと君だけでなく、お母さん自身もスケジュールを詰め込みすぎて、心の余裕がなくなってしまっているようでした。思い通りにならない時にイラッとして、つい息子さんにきつく当たってしまうこともあるとのことでした。
お母さん自身が心にゆとりを
そして、私は、親も子も気持ちにゆとりを持って過ごせることが一番大切であるとお伝えしました。腹八分目、といいます。あまりにも多い食べ物は消化不良を起こし、体にも良くないのと一緒です。スケジュールを見直し、まずは学校や放課後デイサービス中心でやっていただくことにしたのです。また、お母さん自身が気持ちにゆとりを保てるような心がけをお願いしました。
余裕のない、焦った気持ちでやっていては、それがどれだけ正しいとされることだったとしても効果が半減してしまいます。そのためにも、お母さん自身が自分の時間を大切にし、自分を犠牲にするのではなく、自分の感情を大切にすること。また、お子さんとの遊びについても、療育的なことも大事ですが、そこでの親子の交流も大切です。難しいことはあまり考えずに、楽しく遊ぶということを目標にしていただくことにしました。
その後、少しずつお母さんにゆとりがみられるようになっていきました。みなと君とお母さんとの遊びも、楽しめる関係に変化していきました。みなと君がかんしゃくを起こす頻度も少しずつ減っていきました。
お子さんと心のゆとり、余裕を持って関わるというのはとても大切なことです。完璧さよりも程良さを目指すということ。それは子どもの心を育てる土壌になります。
(宮﨑健祐 精神科医)
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