東京国立博物館



 国宝室





昭和28年(1953)国宝指定

十六羅漢像(第十尊者)


平安時代・11世紀/絹本着色

滋賀・聖衆来迎寺に伝来した

現存最古の十六羅漢像の一幅です。

仏堂に向かって舎利供養する

羅漢の姿が描かれます。

視線の先には壺形の舎利容器が

豪華な台座に置かれています。

舎利は釈迦の遺骨です。

舎利容器は光を放ち

透明なガラスで作られていることが

うかがえます。

建物の外に見られる

美しい花々が盛られた器も同様に

ガラスで作られています。

舎利容器の隣には獅子形の香炉が置かれ

今にも動き出しそうです。

画面の下からは雲が湧き出し

羅漢の住まう不思議な世界に

見る者を誘います。


羅漢は仏教を開いた釈迦の教えを守り伝える

聖者です。

画面右上には色紙形と呼ばれる区間があり

「三十三天第十半託迦尊者」と記されます。

「三十三天」が住所

「半託迦尊者」が羅漢の名前です。

明るい色調で整えられた優美な彩色や

様々な文様

柔らかな輪郭線が生み出す穏やかな雰囲気が

本作品の見どころです。

11世紀の貴族たちの美意識が感じられる

平安仏画を代表する名品です。







 仏教の美術ー平安〜室町


 
飛鳥時代の豪族たちを担い手とした仏教文化は

奈良時代になると

天皇を中心とする国家主導のもと

全国に広がります。

平安時代になると

個人的信仰が宮廷貴族の間にも広がり

豊かな財力にささえられた高度な技術と

高い美意識による繊細優美か造形を

生み出します。

平安時代前期では

唐の影響を強く受けていますが

しだいにその影響を脱して

日本的美意識が生まれていきます。

さらに武家政権が成立した鎌倉時代になると

優美さや華やかさよりも

現実味や平明さ、躍動感のある造形が

好まれるようになっていきました。


日本の仏教は 時代が進むにつれて

日本古来の神道との融合をすすめ

民間信仰なども取り入れて

多様な展開をしていきます。





仏舎利と宝珠



仏舎利は

インドで仏教を開いた釈迦の遺骨のことで

中央アジア、中国、朝鮮半島を経て

我が国にもたらされ 尊崇されました。

舎利は塔に祀られるのが

インド以来の習わしですが

容器に納めて礼拝・供養することも

行われました。


また宝珠は中世日本の密教において

舎利と結び付き

願いを叶える霊力を持った珠として

崇拝されました。

舎利と関連深い宝珠の遺例を紹介します。






金銅火焔宝珠形舎利容器 重要文化財


鎌倉時代・13〜14世紀

基壇の蓮台上に輪宝を乗せ

その上に五鈷杵を立て

円相内の蓮台に舎利を納める

火焔宝珠を置いた特異な形式の舎利容器です。

西大寺流律宗を中興した叡尊の思想を

反映したもので

密教の祈祷に使用されたものと考えられます。

同類の舎利容器の中でも

作技が優れ 形姿も雄大です。








銅宝珠形経筒 重要美術品


京都府京丹後市久美浜町
宝珠山如意寺旧境内出土

平安時代・12世紀


橋の欄干などに取り付ける擬宝珠(ぎぼし)に

似た銅製品で内部は空洞になっています。

底板とこれを留めていた釘、経巻や経軸の

残欠を伴っており

経塚に経典を埋納するための経筒として

使用されたと考えられます。

京都府北西部の久美浜湾の西岸に位置する

観音山より出土しました。






八字文殊曼荼羅 重要文化財


鎌倉時代・13世紀/絹本着色


日蝕や地震など天変地異の際に

それらの災いをしずめるために行う

密教の儀式(修法)で用いられた作品です。

各像の丸みのある大きめな頭部と

華奢な体つき、

服飾や蓮台の柔らかな彩色などに

平安仏画の余韻が感じられる

鎌倉時代前半の優品です。








宝塔絵曼荼羅


室町時代・16世紀/絹本着色


日蓮の門弟たちは

文字による曼荼羅本尊を絵画化しました。

本図は釈迦・多宝の二仏が座る宝塔を中心に

四菩薩、十方化仏、鬼子母神、十羅刹女などが

描かれます。

画面下部には正面向きの日蓮と

妙政寺を創建した

水野忠重重臣、上田正勢夫妻とみられる

肖像が描かれています。








遊行上人縁起絵巻


鎌倉時代・14世紀/紙本着色


時宗の開祖一遍(1239〜89)と

彼の教えを引き継いだ

二祖他阿(1237〜1319)の事跡を描く絵巻です。

他阿が存命中に制作され

その後多くの作例が作られました。

この巻は一遍の事跡を中心に

尾張国の甚目寺で

毘沙門天が出現した話などを描きます。

















聖徳太子立像 


鎌倉時代・13〜14世紀


ふっくらとした幼児らしい体つきながら

凛々しい表情で立つ聖徳太子立像です。

二歳の春、東方を向いて合掌し

「南無仏」と唱え

手から釈迦の遺骨である仏舎利を

出現させた伝承にちなむ姿で

南無仏太子と呼ばれます。

鎌倉時代後期以降盛んに造像され

篤く信仰されました。







法華経 安楽行品 (久能寺経) 重要文化財


平安時代・12世紀/彩箋墨書


平安時代後期を代表する装飾経「久能寺経」は

鳥羽法皇と中宮・待賢門院璋子を中心に

周辺人物が結縁者となり

贅をこらして作られました。

待賢門院に仕えた女官が結縁者の本巻は

蓮華のような下絵を施した

金銀の装飾料紙に

流れのある力強い字姿で経文が墨書されます。








法華経 法師功徳品(ほっしくどくほん)
重要文化財

平安時代・12世紀/彩箋墨書

『法華経』の読誦や書写などの功徳を説く

「法師功徳品」を背景に

平安時代中期以降、盛んに法華経が書写され

次第に装飾が凝らされました。

料紙に撒かれた砂子や切箔の

銀の酸化具合が均等ではなく

かえって鑑賞上の美点となって

玄妙な趣を添えています。











蝶鳥下絵法華経断簡


平安時代・11世紀/彩箋墨書

香と防虫の効果がある丁字(クローブ)の汁を

吹きつけた料紙に

蝶・鳥・折枝・草花などの

可憐な下絵を金銀泥で描きます。

江戸時代の古筆鑑定家は

奈良時代の光明皇后を筆者としますが

和様の楷書で書写された字姿から

平安時代11世紀半ば頃の筆跡と推定されます。






 宮廷の美術ー平安〜室町



平安時代の初めころ(9世紀前半)まで

日本は中国をはじめとする

外来文化の影響を強く受けていました。

しかし平安時代の半ば(10世紀ころ)以降

日本的な美意識に基づく「和様」の文化が

成熟していきます。

こうした美術を担っていたのが

宮廷貴族社会の人びとです。

天皇や貴族たちの美的な営みが

以後の日本美術の根幹を形作りました。

鎌倉時代以降、政治の実権が武士に移っても

宮廷文化は衰えることなく

江戸時代まで連綿として受け継がれました。

貴族たちによって記された美しい仮名や

きらびやかに装飾された料紙。

日本独特の発展をとげた絵巻や

日本の風景・風物を描く「やまと絵」。

意匠を凝らし

貴族の調度として用いられた様々な工芸品。

ここではこうした宮廷ゆかりの美術を

見ることができます。





午年のお正月 厩図屏風

馬の年のお正月に

馬のたくさん描かれたおめでたい屏風を。

馬小屋である厩につながれた6頭の馬が

描かれています。

右の3頭はおとなしくつながれていますが

左の3頭は脚を跳ね上げ

躍動感あふれた姿です。

この絵師は様々な馬の姿を

見せたかったのでしょう。

画面の手前では 囲碁や将棋、双六を楽しむ人

寝ている人などもいます。

犬や猿の姿も見えます。

猿は厩の守り神、犬は猟犬でしょうか。

厩の外の鳥や花木もおめでたいものばかりです。




厩図屏風 重要文化財


室町時代・16世紀/紙本着色

厩舎に繋がれた6頭の馬を中心に

その前には囲碁、将棋、双六に興じる人々、

犬や猿も見えます。

屋外には右隻に松、藤、鷺、亀

左隻に桜、柳、鶴、鴛鴦など

おめでたい動植物も添えられています。

馬は富の象徴でもあり

多くの馬を描いた屏風は

室町時代に流行しました。




















催馬楽抄(さいばらしょう)  重要文化財


平安時代・11世紀/紙本墨書

催馬楽とは

平安時代に庶民の歌った歌に起源を持つもので

やがて音曲を伴って

貴族たちの遊宴などで歌われたものです。

本作は天治2年(1125)の奥書を持ち 

さらに別紙には

この内容が藤原道長の次男頼宗から

その子俊家、孫宗俊に

伝えられたものであることが記されています。










平安貴族と「歌」


平安時代の貴族たちは

どんな歌を歌っていたのでしょうか。

平安貴族と言えば、

華やかな遊宴をしているイメージが

あるかと思います。

そんな時、彼らが口ずさんだのが

「催馬楽」と呼ばれる歌謡です。

節をつけ、楽器を奏で

日常生活や四季の折々をリズムに乗せて

歌いました。


また神々に芸能を奉納する際にも

歌は歌われました。

日本の神様は芸能や音楽が大好きです。

そうした神様をなぐさめるため

神前で歌った歌を記したのが「神歌抄」です。






神歌抄(しんかしょう) 重要文化財


平安時代・10世紀/紙本墨書


神歌抄とは

神々に舞を奉納する際に

歌われる歌のことです。

この作品は神楽歌を写した最古のもので

醍醐天皇の曽孫で笛の名手だった

源信義筆と伝わります。

よく見ると裏面にも文字が書かれていますが

これは「毛詩並毛詩正義」という

唐時代の写本で、こちらも貴重です。













続きます。




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画像はお借りしました。




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