実現しない新作企画
出所後、長谷川和彦の新作企画が現われては潰れていく。『映画芸術』366号で本人が語ったタイトルを挙げると、『悪童十五人』『つっぱりトミーの死』『連合赤軍』『PSI 光を超えて』『サバイバルゲーム』『禁煙法時代』『吉里吉里人』の7本。
このうち、あさま山荘事件や山岳ベース事件を題材にした『連合赤軍』は田村孟をはじめ脚本家を変えながら長尺のシナリオが作られ、未完のライフワークとなる。新左翼や学生運動とは無縁の“傍観者”という立場から強い興味を示し、ゴジ流の超常現象まで取り入れた「青春戦争映画」を目指して──。
オカルト要素満載の大作『PSI 光を超えて』には、臨死体験やスプーン曲げが登場。これは『太陽を盗んだ男』を手がけた山本又一朗プロデューサーとの企画で、当初は大友克洋のサイキックバトル漫画『童夢』の実写化も検討されたが、長谷川のオリジナル脚本『PSI 光を超えて』となり、最終的に近藤真彦×中森明菜の『愛・旅立ち』(85年)として結実。脚本は笠原和夫、監督は舛田利雄というベテラン勢による怪作アイドル映画へと転生した。
生江有二の不良ノンフィクションを原作にした『つっぱりトミーの死』をはじめ『PSI 光を超えて』『連合赤軍』などについては、『映画秘宝』2014年7月号の未完映画特集にモルモット吉田が寄稿したテキストが詳しい。実際のシナリオを入手したうえでの検証が施されている。