Vol.564「移民が怖いか?」
(2026.2.3)
【今週のお知らせ】
※「ゴーマニズム宣言」…もともと消費減税に消極的だったはずの自民党や、参政党も減税を主張しているが、これら極右政党は同時に移民の制限も打ち出している。しかし、これほど無責任な話はない。もはや移民を入れずに経済成長する方法などないからだ。わしも以前は移民受け入れについては慎重な姿勢だった。以前は移民推進の主張といえば、グローバリズムで人の行き来を活発にして、世界中を均一にしてしまえばいいという竹中平蔵のような意見しかなかったからだ。だが、もう時代が全く変わった。今は、日本を守り発展させていくために移民を受け入れる必要があり、それは日本でこそ可能であると考えなければならない。そう考えるに至った理由とは?
※泉美木蘭の「トンデモ見聞録」…「人手不足」の問題は、身近な日常生活の中に確実に存在している。セルフレジの前で感じる苛立ち、外国人がいなければ回らない建設業、ホテルから消えていくサービス、夕食のない温泉旅館。すべて同じ現実の延長線上に起きている出来事だ。人が足りず、余裕がなくなり、社会を支える仕事にはしわ寄せが起きて、どんどん擦り減っている。ところが政治は、減税やバラマキなど「痛み止め」を撒く程度の話しかできず、出生率の低下、人手不足と労働の現実について、どう捉えて解決していくべきかという重い課題からは目を逸らさせるばかり。その典型が、高市早苗の経済認識だろう。誰の日常にもある「人手不足」の現実を直視せよ。
※よしりんが読者からの質問に直接回答「Q&Aコーナー」…人間の頭脳で、原発に代わる代替エネルギーは誕生する?どのような経済政策が有効だと考える?創価が出版を通じて表現を守ったと言うけど、創価は出版や言論に対して表現規制もしてきたことをどう思う?女優の米倉涼子が、薬物問題で書類送検されるも不起訴処分になった件をどう見ている?高市早苗の街頭演説での発言「土俵に上がらないのは伝統だ」は一体誰が喜ぶの?アメリカのアカデミー賞ノミネートで『鬼滅の刃 無限城編第一章』や『国宝』が正当な評価をされていない、という意見をどう思う?…等々、よしりんの回答や如何に!?
1. ゴーマニズム宣言・第593回「移民が怖いか?」
選挙の結果はまだ出ていないが、結局は有権者の目先の損得ばかりが争点になっていて、選挙戦は消費税率などをめぐる減税公約の競争と化している。
もともと消費減税に消極的だったはずの自民党や、参政党も減税を主張しているが、これら極右政党は同時に移民の制限も打ち出している。
しかし、これほど無責任な話はない。もはや移民を入れずに経済成長する方法などないからだ。
今後の日本は人口が減少し続けることがもう決定済みであり、人口が減少すれば、経済成長もありえない。
人口増加と経済発展には、一定の相関関係がある。日本の高度経済成長期をはじめ、中国の改革開放以降や東南アジア諸国など、多くの国で人口増加と経済成長が同時に起きてきた。近年のインドも然りである。
人口が増えると労働力が増え、消費市場が拡大する。企業はモノやサービスを大量に売ることができ、投資が活発化する。こうして経済全体が拡大していくのだ。
しかし、これはいずれ頭打ちになる。それは近代化の帰結である。近代化すれば個人の自由や権利が尊重される価値観にシフトしていき、出産・育児を避けたがる風潮が広がって、少子化していく。これはどの国でも同じであり、既にインドでもこの局面に入ってきている。
いくら少子化対策として補助金を出すとか言っても、お金がもらえるなら子供を産もうなんて発想には誰もならないのである。
経済成長しなければ、一定のパイを奪い合う以外にない。消費税を廃止したり、社会保障を充実したりするならば、代わりにどこかを削るしかない。いくらでも国債を発行しまくればいいなんて理論はインチキだ。打ち出の小槌は存在しないのだ。
そうなると経済成長を目指すしかなく、経済成長を目指すなら人口を増やすしかなく、人口を増やすなら移民を入れるしかない。論理的帰結として、もはや結論はそれしかないのである。
移民に反対しながら経済成長を唱えるなんて単なる駄々っ子であり、そんな者たちが国政政党を名乗る資格などない。
日本では実際問題として、今や外国人労働者がいなければ、経済成長どころか現状維持すら難しい。介護でも、建築でも、コンビニでも、どこでも外国人がいなければ現場が回らないほど人手不足が深刻になっている。それでもニートをやってる者がいるほど日本人が働かないのであれば、もう外国人を入れる以外にないではないか。
戦後の高度経済成長は、やはり人口ボーナスがあったからであり、人口減少・少子高齢化・人手不足の日本で移民禁止を続けていては、経済が行き詰まるのは当たり前である。
時代によって考え方を変えなければならないのは当然のことで、この時代に外国人排斥、移民反対なんて唱えるのは亡国の主張以外の何物でもない。自称保守は一体、何が保守だと思っているのか? 何を保守したいのか!?
自称保守の連中は、移民を入れてしまったらアメリカやヨーロッパのような大混乱が起きるものと無条件に思い込んでいる。
しかし、日本は欧米とは全く違う。わしは、日本では移民を入れても全く大丈夫だと思っている。どこの国から来ても、日本で生活し続ける者は日本に染まる。国籍は関係なく、日本人になるのだ。
それほどまでに、わしは日本の「公共性」の強固さに自信を持っている。
そもそも自称保守の連中は、「日本人とは何か」ということを全く理解していない。
日本人かどうかというのは、肌の色などの人種的特徴とは全く関係がない。では何が日本人かというと、日本の「公共性」を身につけているのが日本人なのだ。そしてその公共性は、欧米には全く存在しないものなのである。
最近では、外見的には完全に黒人とかアラブ人の容貌をしているけれども、日本生まれ日本育ちで、日本語しか話せないというタレントもいるが、そのふるまいを見ると、もう日本人としか思えない。
同じように、生まれ育ちが別の国でも日本に入って長く暮らしていれば、日本の公共性や秩序感覚、文化に染まっていくものなのだ。
近年ではアニメやゲーム、漫画などの文化にあこがれて日本に定住する外国人も数多い。先日テレビで見たが、盆栽も今では海外で大人気で、有名な盆栽職人の名人の弟子は半数以上が外国人で、中にはいくつも会社を起業して成功を収めていたのに、盆栽に魅了されて会社を全部売却して来日し、弟子入りした人までいるらしい。そういう人は、そこらの日本人より日本のことをよく知っていて、日本を愛している。
そんな人たちが日本に帰化しやすくなるように制度を見直すことこそが、政府が今すぐ取り組まなければならないことなのに、それに逆行することをやってどうしようというのか?
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小林よしのりライジング
『ゴーマニズム宣言』『おぼっちゃまくん』『東大一直線』の漫画家・小林よしのりが、Webマガジンを通して新たな表現に挑戦します。 毎週、気に…


もくれんさんの方ですが、自分にも(百円ショップの)自動レジで失敗し、係員がやってきた、ということがあったりします。何故、店員さんを置かないのか、そんなに経費節減したいのか、と思いましたが…これも、無い袖は振れないということなのでしょうか。それで、障碍者雇用につながっているのだとし…
今号の感想です。 よしりん先生のおっしゃられるように、移民を労働力として受け入れ、日本国民として認めることは仕方がない、と思います。 ただ、「郷に入っては郷に従へ」。それがむづかしかったりするのでしょう。文化や歴史も異なるし、それゆえに、言語も(影響を受けている場合もありますが)…
木蘭さんのトンデモ見聞録・第388回「見えない《人手不足》と《外国人排斥》の誤解」拝読しました。 日本の人手不足は、「安い賃金でこき使える人員が不足」なのが実情です。 地方よりも都市の方が賃金が高いので、日本人は高い賃金を求めて都市に流れます。 地方は外国人労働者がいてくれるお…
もうこうなったら、里中満智子の「天上の虹」を大河ドラマにするしかない。 持統天皇→上白石萌音 天智天皇→北村一輝 天武天皇→オダギリジョー そして、これを視聴した馬鹿国民は気づくだろう。 私達はなんて愚かな事をしたんだ! とね。 そうじゃございません? くりんぐの君さま。