I・S~DC~ インフィニット・ストラトス~ダサシンクリード~ 作:凡人9号
一夏君がマッサージしてたり、部屋追い出されたり、風呂に入ったり、天井裏に引き込まれたり、グダグダ寝たり・・・今俺は、おはようございます。
二日目!専用機持ちは丸一日武装のテストとかなんだので一箇所に集められている。
一応俺も篠ノ之束製専用機を昨日から持ってはいるが、知られてないので俺は黒一点な状態で女子達に囲まれている。
大広間でスクリーンにプロジェクターで写された映像をメモを取りながら見ている、だってこれレポート提出しないといけないんだぜ?と言う授業の様な状況だ。出先だって言うのに授業だ。だがなんというか・・・一組以外の女子達の視線が結構こっちに向いている。
一夏君もクリスも専用機持ちだしなぁ、仕方無いっちゃ仕方無い。真っ暗い部屋なんだから見れるものも見れないでしょうに・・・
一箇所に集められていると言ってもあくまで学年の半分だ、片方が集められてメモを取り、もう片方は野外で体育の予定だから周りの女子も俺もジャージ・・・普段見かけない他のクラスの女子達もジャージだから味気無い、浴衣なら俺もやる気出たんだけどなー、ジャージだからなー。
やる気が下がっている俺をよそに、スクリーン内ではIS企業を訪問したり、とある企業の社長、企画者、技術者、使用者とISが作られるまでの過程を本気で映画化したような作品だった・・・もうこれ売れるんじゃね?多分劇場公開したら男で埋まるぞ。
そんな映画を見ながらしばらくすると、暗くてよく分からないが山田先生と思しき人影が部屋を出て行った。
事件でも起きたのかー、とか考えながらメモを取っているとドア、というか襖がスパーンと映画かドラマのように開けられた。
廊下の光が逆光となって顔は見えないが「鷲津はどこだ!」という千冬さんの声で立ち上がった。
立ち上がったはいいが、「直ぐに来い。他の者は変わらずメモを取りレポートを提出するように」そう言って部屋を出て行った千冬さんの後を他の生徒からの様々な感情の入り混じる視線に晒されながらも追う。
とっとと廊下に出て、小走りで前方を歩いている千冬さんの隣に並ぶ。
「何故言わなかった」
「いやまぁ・・・千冬さん酔ってましたし、篠ノ之束製ですし・・・そうそう言い出せないでしょう」
「武装は」
「この間の設計図の奴と、設計してた奴が数個。近中遠何でも御座れ・・・一発限りですけどね」
「燃費が悪いのか」
「どれもこれも『シールドエネルギーをぶっ壊して更に機体もぶっ壊す』がコンセプトなんで・・・まぁ俺はあくまで企画、作ったのは彼女、それだけは忘れないで下さいね」
「企画した者も悪いに決まっているだろう大馬鹿者が」
「ですよねー」
俺一人じゃクオリティも信頼性も低い一度使えば即オシャカになる残念装備で終わるけど篠ノ之束が作ったとなると・・・何度も使えるであろう最悪兵器と化す。使いたくないなー、これ、使いたくないなー・・・チラッ
「・・・使う可能性はある」
「え!あるんですか!」
「空中でこの間のアレを使えるか?」
「PIC制御をマニュアルにして気合で機体制御すればなんとかなるかと」
「ぶっつけ本番なのか」
「生身でアレ使ったら俺死にますよ?」
「何故そんな物を作ろうとした」
「いや、ISでの使用が前提ですし。対IS用汎用兵器ですし・・・まぁ、まだ仮称の段階でしたが名前がつけられててビックリしましたよ」
「ふむ、で。名前は」
「デロリアン」
「意味の方は」
「かっこよく言うと『これまでの常識を破壊する』ですかね」
この世界自体にあのタイムスリップする車が登場する作品は無く。名前自体も「タイムスリップなんて不可能」と言う常識をぶち壊した事からだ。コイツを使えばあら不思議!車の屋根にでもつけて起動してISに突っ込めばISを壊せる代物となっているのさ!不可能をぶち壊せ!
・・・由来の方はこじ付けだ、何を思って篠ノ之束がデロリアンと付けたのか、俺には分からない。この世界にあの映画が無いとするとリンゴの知識で知ったのか・・・リンゴ、一体なんなんだお前。
「格好悪く言うとどうなる」
「パクリ」
「突然実も蓋も無いな」
「そんなもんですよ、発明品なんて。過去を漁れば誰かが似たような発想をしてるもんですから」
ISに例えて言ってしまえば、PICの技術なんかは名前こそ違えど発想や方程式自体は探せば手軽に見つかる。まぁ、当時は机上の空論とされていたがISの登場で認識された技術だ。
ISってのはそんな検証すら出来そうもない過去に埋められた科学技術の塊なのだ。だがしかし、そんなの所詮似通った現象を探して当てはめてるだけだ。PICの様なことを書いた書物は見つかるのだがどれも似たようで違い、たまたま一番近かったのが今のPICなだけって言うのが事実。誰だって現象に説明を付けたいだろ、俺だって幽霊が出たらプラズマとか疲労から来る幻覚とか言い出すぞきっと。俺だって技術者の端くれだ、本当に出てきたらそれっぽいこと言ってやる。
なんて頭の中で誰に向かって言うでもない主張をしているといつの間にか目的地に着いたようで、千冬さんが襖を開けていた。
「あ、翔・・・お前なんで黙ってたんだよ」
開口一番、言ってきたのは当然一夏君、正義馬鹿というか生真面目と言うか、馬鹿というか・・・不正とか嘘を許せない男だからな、今更ながら正直言うと嫌いなタイプの人間だ。ま、日常生活では面白い奴ではあるがこういう状況じゃ面倒この上ない。
「いやまぁ、言う必要もないだろ。専用機持ちともなると模擬戦やら実戦やら色々出てくるだろ、自ら進んで手の内晒す必要がどこにある・・・例えるなら、大貧民やるときに相手の手札教えるか?って事だ」
「いや・・・まぁ教えないけど」
「俺はブラフとして教えるぜ!」
「一夏君はそこの馬鹿を見習いたまえ、少し智恵働かせなきゃ勝てるもんも勝てないぞ・・・お前は手札が二、三枚しかないんだからな」
「む、馬鹿にされた気がする」
「その内一枚がジョーカーで、後は三とか五のカードだから使いどころ間違ったら完全に負ける、負けたくなきゃ頭使え」
俺だって脳筋なのに頑張って頭回してんだ。リンゴってチート使っても思考回路や頭の回転は改良されなかったから自前の出来損ないの脳みそ使って頑張ってんだよコッチは。
ちなみに、千冬さんは手札全部がジョーカー。手加減しても最弱が絵札系、勝てる訳が無い無理ゲーだ。
っと、なんか言いたそうだけど我慢した一夏君から目線をずらしてみると・・・篠ノ之束、また貴様か。
「しょーくんしょーくん!しょーくんのも第四世代だからね!」
「いや、いきなりなんの話?」
「鷲津、お前のISの話だ。今が何世代で開発が止まっているかは知っているだろう」
「確か・・・第三世代でしたっけ?鈴嬢のがそれだって話を聞いた記憶がうっすらと」
「第三世代はワンオフアビリティー等の特別な武装や技術をワンオフが発現した機体だけではなく誰でも使えるように、と言う思惑の元作られた機体だ。そして第四世代は展開装甲、パッケージングによる追加ではなく予め備えられている武装を状況に応じて装備する事で如何なる状況でも行動できるという機体のことだ」
第四世代なんていわれてもパッとしなかったが説明受けて「ああ、通りでなんか色々入ってる訳だ」って納得したわ。まぁ入ってる武装の殆どが俺の設計図が元だったりするんだけどね。
「ちなみに有澤重工はその第四世代の開発に躍起になって俺の黒船を作ったんだぜ!今の黒船の姿を聞いて驚け見て腰ぬかせ!話戻すけど黒船はパッケージングじゃなくアップデートって形で少しずつ第四世代に近づけて行ってるんだ。けど・・・篠ノ之束、やはり天才か・・・」
「束ェ・・・」
「ISは犠牲になったのだ・・・時代の犠牲にな・・・」
俺とクリスが一緒になって束博士に視線をやるとドヤ顔していた。やはりリンゴはそっち系の知識まで与えているのか・・・どういうことなの。
「だからねしょーくん。いや、しょーくんだけじゃなくって、ちーちゃんにいっくんにほーきちゃん。手伝って欲しいって言ったら手伝ってくれる?」
なんかシリアスな雰囲気出してる所悪いんですけど・・・周りの反応は「私はIS学園教師だからな。無理だ」や「私はまだ修行中のみですし」とか「千冬ねぇが手伝うなら俺も」等々辛辣な言葉の数々。
打ちのめされたのかずっとモニターの前に居たって言うのに「しょーくーん!」とか叫んで抱きついてきた。
「ああうん、まぁ程々に手伝うよ。程々に」
「ホント!嘘じゃない!?ホントに嘘じゃないっ!?」
「嘘じゃない嘘じゃない。道民嘘つかない」
「道民パネェ!」
「コレが信頼度の差か!?」
「うるせーぞクリス」
「なんでそんな言い方!ひどくない!」
「いつも通りいつも通り」
なんか知らんが束博士が胸板にスリスリ顔擦り付けて来ているがなんだ?マーキングでもされてるのか?・・・しかしなんだ?鈴嬢とかオルコットさんが信じられないような顔してコッチ見てる・・・なんだ、なんなんだ?
「束はな、親しい人間以外には殆ど興味を示さないのだ。先程もオルコットがあしらわれてな、こうしているのが信じられないのだろう」
「本音と建前がカオスな事になってるな、まぁ興味を示されてるだけマシだと思っておきますよ」
「あまり親しくしていると厄介事に巻き込まれるぞ」
「注意して取り扱います」
「束さんは危険物じゃないですよー!こんなに美人な人捕まえてなに言ってるのさー!」
「現在進行形で捕まってるのは俺なんですけどね」
「細かい事は気にしなーい!」
勘弁してくだせぇ。とか思ってたら千冬さんが襟首掴んで引っぺがしてくれた。
「お前はお前の仕事をしろ」
「もー終わったもーん」
・・・終わったから遊んでたのか・・・浮いてるモニター見ても、いや分からんわ。第四世代と言われた白影のデータ自体じっくり見てないからさっぱりだ。
「後はブリーフィングで伝えた事を守れ・・・鷲津、お前には移動しながら伝える。束、お前は山田君に鷲津のISの武装について教えてやってくれ」
キビキビと動き出す少佐とデュノア、鈴嬢とオルコットさん。それに続いて動くのは俺と千冬さん。続いてドヤ顔で解説し始めた束博士と相槌を打つ山田先生。どこか不安げな一夏君と明るく話しかける栗栖、そして遠足前の子供の様な篠ノ之さん・・・嫌な予感しかしねぇよコレ!
移動しながらの作戦を軽く聞き、場所は変わりサスペンスドラマの最後の方で見かけるような海際の崖。飛び込むのか?誰か自白して飛び込むのか?とか思ってるうちに篠ノ之さんが真っ赤なISを身に包んだ。
「コレが篠ノ之のIS、紅椿だ」
「一夏君と合わせて紅白か・・・縁起がいいな」
「お前のISも白だろう」
「読み方が違うでしょう?」
「紅椿も違うだろ」
「まぁそこはノリで。それにほら、二人って幼馴染みじゃないですか。今更俺が割って入る余地なんて無いに決まってるじゃないですかーやだー」
「数年のブランクがあるが?」
「千冬さん、遊んでるでしょ」
「お前なら妙な気も起こさんだろうからな」
限界分かってた稽古したり、扱い方把握してるからイジったり・・・やだなにこの人タチ悪い。
「それよりも、作戦内容の確認をする。言ってみろ」
「先行部隊として一夏君を乗せたこの中では最速の篠ノ之さんがまず接敵。同時にその次に速い俺が万が一作戦失敗した時のバックアップとして後を追う。その他は、作戦失敗時にプランBとしてこの場所から出動する・・・ですよね」
穴だらけすぎねぇ?皆一緒に出動すればいいってのに・・・いやまぁ、指揮系統千冬さんが一任してるし言えば何とかなるか?・・・あ、駄目だ、他の連中作戦通りにやる気満々だ。俺は連帯行動できる人間だ、そして長い物には巻かれ、数の多い者の味方だ。
「不満は分かるが、上からも圧力が掛っていてな。私も言いたい事だらけだ。だが、組織に所属すると言うのはそういうことだ」
割り切れって事ですね分かります。俺とかクリスなら何とか割り切れるだろうけど一夏君はなー、無理だろうなー・・・
とかぼんやり思ってたら「一夏!鷲津!直ぐに出るぞ、早く準備をしろ!」なんてウッキウキな声を出してこちらを急かして来る。
「ああ、言い忘れていたが」
「分かってますよ、篠ノ之さん・・・アレ、駄目なパターンですかね」
「駄目なパターンだろう。気に掛けてやってくれ」
「了解です。俺だって落ちたくないですからね」
「相手の機体情報も覚えているな」
「銀の福音でしたっけ?暴走してるんでしたよね」
それくらいしか教わってねぇよチクショウ!
「うむ・・・詳しい情報は移動中に通信を入れる、相手は軍用ISだ、シールドエネルギーは通常のISよりも多い、注意しろ」
「注意する事多すぎませんかね」
「不注意で落ちるよりよほどいいだろう?それとも貴様・・・落ちたいのか?」
からかってるだけだと判断してサッサとISを起動させる・・・ああうん、随分しっくり来るな。コレが専用機と量産機の差か・・・こりゃ誰だって専用機が欲しくなるわな。
篠ノ之侍ご乱心!・・・してないですねコレ、最後の方にちょっとだけ。
初めはなー、グラインドブレード使って篠ノ之侍の浮いた心を千切るってのもアリかなーって考えてたんですが、やめました。主人公の性格的にそんな面倒な事しなさそうですしね。
そして駆り出される主人公・・・さーて、楽しくなって来たぞ!
次回
vs銀の福音