京都大学の良さを語る
今日は自分が通ったことが無い大学の話をしようと思う。
京大の話である。
筆者は関西の進学校出身なのであるが、灘、(近年の)西大和以外の関西進学校では中核となる進路は京大である。
これは東大寺、北野、堀川、天王寺、甲陽学院、大阪星光、洛南、洛星、大教大平野、大教大天王寺、智辯和歌山と言った所謂関関西の有名な進学校であればどこも同じだ。東大に行くのはあくまで少し特殊な人たちと言う位置づけである。
筆者が通っていた高校でもメインの進路はあくまで京大であり、筆者の友人、知人の多くも京大に吸い込まれていった。
自分自身は京大には数回しか行ったことは無いし、あくまで京大に通っていた友人から聞いた話がメインとなってしまうが、今回は筆者が思う京大論を書いてみたいと思う。
筆者も高校に進学した際には、京大に行きたいと考えていた。関西で一定程度勉強が出来れば、最初に考えるのは京大、阪大そして医学部だと思う。将来特にやりたいことがあった訳では無かったので、学年の大多数が志望する京大工学部とか京大法学部に行きたいと漠然と考えていた記憶がある。関西進学校あるあるだと思うが、将来のビジョンが特にない学生が一番に志望するのが京大工学部と京大法学部であると思う。
筆者は、京大でも東大でもどっちでも良いと考えていたため、夏と秋の京大オープン、実戦の両方を受けていたので凡そのレベル感は把握しているつもりである。
両親や学校の進路指導からは、京大の方が向いているとの指導を受けていた。理由としては、わざわざ将来特にやりたいこともないのに東大まで行く必要はない、東大は進学振り分けがあってしんどい、だらしない性格をしているから東大に入ってから苦労すると言った類のものであった。友人も多く、実家も近かったので逆に何でわざわざ京大に行かなかったのか今になっては不思議に思うが、今更後悔しても仕方ないので考えないでおく。
今回の記事では、筆者が考える京大の良さに関して考えてみたいと思う。
1.入試の負担が東大に比べて軽い
これは京都大学出身の方には失礼かもしれないが、事実ではあるので記載させていただく。
文系であっても理系であっても、東大と比較すると京大受験に当たっての負担感は小さい。これは単純に科目数が少ないという問題もあるし、中学受験経験者の割合が東大と比べて京大はそこまで多くない点、受験加熱地域である東京の受験生があまり受けてこないと言った色んな要因によって東大と比較すると受験の負担感は少ない。
筆者も受験生の時に京大模試と東大模試の両方を受けたが、上位層のボリュームが違い過ぎた。東大には日本の上位層が全員集結してくるが、京大の場合はあくまで関西のトップ層の戦いと言った次第であり、レベル感としては1段と落ちると言った次第であった。
科目別に見ても、数学に関して京大の場合は、高校受験組でも難なく対応できる問題が多い一方で、東大の場合は確率と整数問題が圧倒的に難しく、中学受験組経験者に有利過ぎる内容であった。
世界史にしても、論述問題もあるにはあるが、それでも東大のようなボリューミーな論述問題ではなく、また論述以外は穴埋め問題が大半を占めていて、対策のしやすさという観点では京大の方が上であった。
英語に関しては、相性の問題もあるかもしれないが、京大の方が英文和訳が段違いに難しかったが、東大と比較すると時間的な余裕はあったと思う。ただ英語に関しては、本当に相性の問題で、東大と京大に難易度の優劣は存在しないと言った認識であった。
このように京大の方が負担感はやはり低いのであるが、それでは社会的なステータスにそこまで大きな違いがあるのかという点では、間違いなくそんなことは無いというのが筆者が見てきたところの感想ではある。次にその点に関して、記載したい。
2.にもかかわらず、社会的なステータスに殆ど差はない
東大と京大で社会的なステータスに違いはあるのか?
ここに関しては、殆ど差が無いと考えて良いだろう。
東大と京大で一括りにされることが多いので、その違いは殆ど無いと考えて良い。
会社からの出世面での扱いとか、新卒就職のしやすさ、転職のしやすさ、結婚のしやすさ等学歴が関係しそうな面で殆ど差はない。
東大のコスパが悪すぎるのかもしれないが、東大と比較すると京大のコスパの良さが際立つ。
3.アップサイドを狙うことも十分に可能だが、ダウンサイドに落ちても許される空気感
社会人になってから京都大学卒の方は金融業界で何人も見てきたが、優秀層は総じて優秀であるし、特段東大に引けを取る感じはしない。
例えばアクチュアリーやクオンツと言った理系の学生が就ける金融専門職で慶応や早稲田は見ないが、京都大学出身の方は多く見るので、理系チックな側面が強い職種では京大は明確に他の大学を引き離しているという認識である。総合商社やデベロッパー等において、確かに人数と言う観点では慶応が京大を引き離しているかもしれないが、卒業生に占める割合と言う観点では京大も慶応と変わらないので、十分にアップサイドも狙えるという認識だ。
またこのアップサイドを狙えるという側面以上に京大の良さは、「ダウンサイドの落ちても特段恥ずかしくない」と言う側面はあると思う。
東大の場合は、常に社会での成功を周囲から期待され、一定程度成功していることを前提とされる。ちょっとした失敗で落伍者の烙印を押されてしまう東大と比較して、京大の場合は「かなりの失敗」や「人生のレールからの脱落者」であっても不思議と容認される社会的な風潮がある。
慶応や一橋の場合も東大と同様の期待を社会から寄せられる大学群である。
東工大は中間で、早稲田はどちらかと言うと京大に近い側面を有する大学であると思われる。
そして逆に京大を出て、社会的に成功していると「よく頑張った!」と見なしてもらえる風潮さえある。
1人筆者の知人の話をしよう。彼は京大を卒業して、大手JTCに入社したのだが、元々余生マインドの持ち主であった点と社会不適合者であったことから数年以上同期から昇進が遅れており、若くして会社の中で窓際的な立場であった。
東大や慶応、一橋のような大学を卒業して当該JTCに入社していた場合、きっと彼は同期の順風満帆な姿を見て、いたたまれなくなり当該JTCを辞めてベンチャーとかもう少し小さな企業に転職していた可能性がある。
ただ彼の場合は、何故かそうしなかった。曰く、「京大を出て数年JTCに勤めあげているだけで、十分に成功した分類であり、JTCでは最低限の生活防衛ラインの年収を得ることは出来ており、今の生活に十分満足しているから辞めない」とのことであった。
実際、ここ数年のインフレに伴うJTCの賃上げと長年JTCで飼いならされた結果として彼の刺々しさは無くなり、結果として当該JTCの中で(かなりの遅れであるが)昇進したという事例を知っている。余生マインドを持った京大卒がJTCに粘り勝ちした瞬間である。
このように周囲から過度な期待を寄せられることなく、自分のペースで生きていけることは東大や慶応、一橋と言ったエリサラ養成大学にはなくて京大にはある素敵な側面であると思う。
競争社会に身を置こうと思えば身を置くことも出来るし、厭世的な生き方をしようと思えばそれも許容されるのが京大の良さだ。
4.楽しそうな大学生活
これも京大の魅力的な側面だ。
筆者の友人に聞いても、京大の学生生活はかなり楽しいようだ。
まず西日本では名実ともにナンバー1の大学であるため、周囲からの尊敬のまなざしを一身に集めることが出来る。
東大も確かに日本で一番の大学であるのだが、近くにブルジョワエリートの慶応大学や私立医学部があり、更には東京は大学街と言うよりはビジネス街の側面が強いため、どうしてもエリートサラリーマンに東大生が色んな意味で勝つことは無い。その点、京都は観光地、学生街と言う側面が強く、学生の身分でしかない京大生であっても大きな顔をすることが出来る。
インカレサークルに関しても同志社と競合することはあるみたいだが、京大のインカレサークルは女子大生にかなり人気が高いとのことである。
東大のインカレサークルも確かに全方位的に人気があるのは間違いないが、早稲田も慶応も近くにあるのでどうしてもこれらの大学と競ることになる。
東大は確かに学力という面では一強なのだが、総合力が問われた際には、慶応や早稲田に大きく勝っていることは決してないので、実は一強ではないのである。
その点、阪大や神戸大、同志社大には失礼かもしれないが、関西では京大の存在感が強すぎる。関西では京大一強の様相が強い。
更に大学の授業の楽さ、進学振り分けが無く競争が無いのも大きな魅力である。京大の経済学部はあまりにも楽過ぎて当時はパラ経と呼ばれていたが、決して就職活動に弱い訳ではない。(就職活動に関しては後述する)
筆者の高校の同級生を見ていても京大生は大学生活を謳歌していたが、東大生は常に何かに追われている感じがして、余裕の無さが目立った。
また一人暮らしの負担も東大の方が圧倒的に上だ。筆者が大学生の時から、東大の周辺(駒場であれば杉並区、目黒区、世田谷区、本郷であれば北区や文京区、荒川区)の家賃は決して安くはなかったが、近年のインフレに伴い一人暮らしの家賃もかなり上昇しているので、地方出身の東大生はどのように暮らしているのか気になるところだ。
要するに人生で数年しかない大学生活を楽しむという観点では京大に軍配が上がる。
大学生活におけるコスパと言う観点でも明らかに京大の上だと思う。
5.就職活動も決して不利ではないどころかむしろ有利
ネットでは京大は、東京に無いため不利であると言われることがある。確かに面接やインターンは東京で実施されることが多いので、地理的な要因で見れば確かであろう。
一方で筆者は実はこの見方は一面を捉えているに過ぎないのではないかと思う。何故なら就職活動の採用枠は大学群で決まっていて、京大生は別に東大生や慶応生と戦う必要はないからだ。
採用されるか否かはあくまで京大生の中の争いで決まる。
東京の大学生は就職活動のために、正直社会人になってからは全く意味がないと言っても過言ではない活動にその学生生活の時間を割いている。例えば、SPIの勉強、OB訪問、インターンシップへの参加、留学、(ガクチカのための)ボランティア活動。正直言って、それらに時間を割くくらいであれば、確り大学の授業を聞いていた方がマシなのであるが、東京にいると周りもやっているので、自分だけやらない訳にはいかない。
つまり東大や慶応に在籍していれば否応なしでもガクチカモリモリの学生と競合する必要があるが、京大にいれば地理的な要因もあってこれらの活動に時間を割いている学生は少ないので、変な努力をしなくても土俵に立つことが十分に可能なのだ。
これが転職活動のように特段大学群ごとの採用を行っていない場合には、京大と慶応を比較した際には京大は負けてしまうかもしれないが、新卒就活においては京大生は書くまで京大生同士で比較されるので、京大生は得していると考えられる。
また関西系の企業の就職において京大は滅法強い。一強と言っても差し支えない状況だ。具体的には村田製作所、関西電力、大阪ガス、JR西日本のような大手企業だ。卒業後も特段強いガクチカが無い京大卒であっても、学歴パワーによって配属は優遇されるので、やはり京大はかなりコスパの良い大学だと思われる。
まとめると京大は実は攻めようと思えば、攻めることも出来るし、守りに入ろうと思えば守りに入ることも出来る。
上記が東大卒から見た京大の良さである。
関西の進学校に在籍している方であれば、無理して東大に行く必要はない。そこにはとんでもない競争社会とコスパの悪さが待ち受けている。
東京で変に疲弊してしまうくらいなら学生時代くらいは京都で鴨川でも眺めながらゆっくりとした生活を送ってみるのも素晴らしい選択肢なのではないかと今になっては思う。



コメント
19京大ブランドっていうのが関東でも大きいのだと思いますが、高校生のとき結構気になっていた女子が京大に行ったときはいろんな意味で残念な気持ちになったのを思い出しました。
はじめまして
いつも拝読しておりますが、今回母校の話題なのでついコメントを残したくなりました
関西の男子進学校→京大工→都内勤務のルートをたどっていますが、私の体感はまさに記事の通りです
特に理系ということもあるのでしょうが、東大に準じる扱いを受けています(文系だとまた違うのかもしれません)
就職で都内に出てきてから、京大卒だと到達できないようなハイレベル職があることを知り、やっぱり東大に行っておけばよかったかなと思ったのですが、そのような職に到達できるのは東大卒でも上澄みだけだと知らされてから、それなら京大のコスパは割といいなと感じているところです
京大のデメリットとしてはのんびりしすぎてしまうところですかね 就職してから、東大卒や東工大卒の方がソツなく実務的知識を身につけられているところを見て、それなりに大学時代に勉強頑張ったけどあまりにも緩かったのだなと感じました
sojさん
コメントありがとうございます。
確かに一部には、東大生が太宗を占めるような職種はあることにはあるのですが、それらの職種は競争が非常に厳しく長年出来るような職種ではないことが殆どです。
具体的には、外資系投資銀行の投資銀行部門、外資系戦略コンサル、PEファンド等です。その一つ下の層である、デベロッパーや総合商社であれば、確かに一部激務な面はあると思いますが、上記の労働集約的な側面のある職種と比較すると遥かに生き残りやすいはずです。そしてここの層になると確かに東大の方が少し有利かもしれませんが、京大m、お十分に割り込めるゾーンです。ゆえに幸福な社会人生活を長年に亘って送りたい場合は、東大でも京大でも殆ど変わらないという結論になると思います。
興味深い記事をありがとうございます。
私は京大卒ですが、東大卒の双子妹は「私も京大に行きたかった」といつも言っています笑。
東大京大と並べて語られることが多いですが、特徴が違うのが面白いですね。
トコトコ