勾留中の死亡巡り愛知・岡崎署員ら9人書類送検 署長ら27人を処分
愛知県警岡崎署の留置場で昨年12月に勾留中の男性(当時43)が死亡した事件で、県警は1日、留置主任官の警部(46)ら当時の署員9人を業務上過失致死や特別公務員暴行陵虐などの疑いで書類送検し、発表した。
県警などは同日、適正な留置管理を怠ったなどとして、島崎浩志署長(60)=警視正=を減給、警部を停職3カ月の懲戒にするなど計27人を処分した。県警の不祥事では過去最多の処分者数だという。島崎署長と警部は同日付で依願退職した。
県警によると、警部と20代の巡査2人は、男性が保護室で「戒具(かいぐ)」と呼ばれるベルト手錠などで拘束され、自分で飲食できず、意思疎通も困難なことを認識。警部は監視体制を強化するなど注意義務を怠り、巡査2人は漫然と男性を放置し、脱水による急性腎不全で死亡させた疑いがある。戒具による拘束はのべ計144時間に及んだが、県警は死亡との因果関係はなかったと判断した。
特別公務員暴行陵虐容疑は、警部と巡査部長(38)が昨年11月28~29日に男性を足で数回蹴りつけるなどの暴行をしたというもの。警部らは保護室への収容に必要な手続きを取っていないのに、取ったとの虚偽の公文書を作成した疑いもある。
島崎署長ら署幹部については関与が薄いとして刑事処分は見送った。だが男性の勾留中、留置場を一切巡視しなかったことを問題視し、人事上の処分を下した。
岡崎署勾留死事件を巡る経緯
22年
11月25日 岡崎署が公務執行妨害容疑で男性を逮捕
27日 男性の勾留開始
28日 保護室に隔離。戒具も使用
父親が、精神疾患がある男性の入院を署に要望
30日 男性を支援していた福祉関係者らが男性を入院させるよう署に要望
12月2日 措置入院に必要な1人目の精神科医が男性を診察し、「要措置」と診断
4日未明 男性が死亡。戒具の使用がのべ144時間に
5日 2人目の精神科医の診察予定
9日 県警が男性への戒具の使用、死因は「腎不全」と発表
16日 県警が岡崎署を家宅捜索
23年
12月1日 県警が署員ら9人を書類送検。署長らを懲戒処分
(県警などへの取材による)
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〈岡崎署勾留死事件〉 昨年12月、愛知県警岡崎署で勾留中だった男性(当時43)が脱水症状による腎不全で死亡した。精神疾患があり、留置場で大声を出すなどしたため保護室に隔離され、「戒具」と呼ばれるベルト手錠や捕縄で手足を拘束されていた。亡くなるまでの5日間は食事ができず、水分も十分に補給できていなかった。県警は同月、署を家宅捜索。一連の対応に法令違反の疑いがあるとみて、調査・捜査してきた。