藤井聡太名人、不調説吹き飛ばす朝日杯優勝 「期待されているから」

北野新太

 将棋の藤井聡太名人・竜王(23)が11日、第19回朝日杯将棋オープン戦(朝日新聞社主催)で優勝した。タイトル戦で苦戦を見せる中、貫禄を見せた形だ。

 長いロードからホームスタジアムに帰ってきたアスリートを思わせるように、存分に力を発揮した。藤井名人・竜王が3年ぶり5度目の朝日杯を手にした。「朝日杯は初めて優勝できた棋戦。思い入れもありますけど、しばらく結果が出ていなかった。今期、優勝できたことをうれしく思います」

 15歳の中学3年生だった2018年、第一人者の羽生善治九段(55)らを破って初優勝。全棋士参加棋戦優勝を果たした。計9回の出場で5度の優勝。羽生九段が重ねた記録に23歳で並んだ。「今回並べたことは光栄に思っています」

 準決勝は元名人の佐藤天彦九段(38)、決勝はタイトルを奪われたことが2度ある伊藤匠二冠(23)が相手。いずれも不利とされる後手番だったが、2局とも完璧に近い内容で完勝した。

 不調説を吹き飛ばす圧巻の優勝だった。現在進行中の王将戦七番勝負で永瀬拓矢九段(33)を相手に第3局を終えて1勝2敗、8日に開幕したばかりの棋王戦五番勝負も増田康宏八段(28)に先勝を許した。わずか三つの黒星が重なっただけで、ファンから「不調」との声が上がる棋士だ。

 表彰式を終えた後、インタビューで現状について率直に語った。

 「不調というよりも課題が解決しないことが結果に出てしまっている。調子というものはあると思いますけど、悪いから結果が出ていないわけではなく、調子に原因を求めるべきではないと思います」

 今年はデビュー10年の節目の年。常勝を期待され続けるのは重圧では、と問いかけた。1分近く長考した後で言った。

 「期待を感じるところはありますけど、逆に期待されているから結果を出せたことも少なからずあったと思います。長期的には実力以上の結果は望むことではありません。実力を伸ばせば結果が出る、逆もしかりです。期待を受け止めつつ、ベースにあるのは間違いなく実力です」

 ようやく充足感を得たのか、少しだけ笑みをこぼした。

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北野新太
文化部|囲碁将棋担当
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