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夜の東京駅で「無」を探す

僕は東京駅が好きで、2週に1回くらいのペースで散歩に出かけています。上京してきたばかりの頃は、あまりの人の多さに「なんてラビリンス」などと思っていましたが、何回も通うと慣れるもので、新宿や渋谷なんかよりだいぶ分かりやすいことに気が付きました。

そこで、駅構内だけでなく駅の周りや地下なども縦横無尽に歩いてみたのですが、ラビリンスな東京駅にも意外と何もない空間があるんですね。僕はこういう「無」の空間が好きなので、さらに人が少ないであろう夜にわざわざ散歩してみることにしました。

夜の東京駅へ、「無」の空間を探しに行ってきます。


日本橋口からスタートします


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東京駅は八重洲側と丸の内側、それぞれに北口・中央口・南口があります。そして両端に日本橋口と京葉線ホームがあるという構造です。

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東京駅を端から端まで歩きたいので、青い矢印のように日本橋口から京葉線ホームを目指すことにしました。地図でいうとこんな感じです。

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では早速、日本橋口からスタートです。

僕は銀座線ユーザーなのですが、ずっと東京駅はJRじゃないと行けないと思って、わざわざ上野とか神田でJRに乗り換えていました。しかし、日本橋駅からでも徒歩10分ほどで行けるんですね。散歩しているときにたまたま気付いて仰天しました。それ以来、どこへ行くにも必ずGoogleマップで推定所要時間を確認するようにしています。

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こちらが日本橋口です。よく新幹線が遅延や運休になった際、新幹線口が人でごった返している様子をテレビなどで見かけますが、日本橋口はたいてい空いているので、どうしても急ぎで新幹線ホームに入りたい場合におすすめです。

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この日も出入りする人は少なかったです。穴場ですね。

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今回は東京駅にある「無」を探したいので、地下に降りてみることにします。日本橋口から入って少し歩くと、「東京駅一番街」の入口が見えてきますので、そこから入ってみます。

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地下へ降りると、キャラクターストリートや飲食街が続くのですが、この辺りは人が多すぎたので、上手くよけつつ通り過ぎることにします。やはり今は外国人観光客が多いですね。ちいかわランドは大盛り上がりでした。

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丸の内側への連絡通路がありました。ここから少しずつ通路が狭くなっていきます。

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なんとなく親切な広告に出会いました。「そうか、レンタルすれば良いのか!」という気付きを与えてくれています。

ただ、捉え方によっては「あのね…(やれやれ)」といった高圧的な感じもするので、元気なときに見た方がいいかもしれません。

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丸の内地下北口へ向かう階段を降ります。さらに通路が狭くなってきました。

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階段が狭いからかやけに人が多いと思って後ろを振り返ってみると、全員片側通行していました。左手のでかい柱に「左側通行にご協力お願いします」と書かれてあるのが見えますでしょうか。

たしかに、遠回りして柱の向こうを歩く気にはなれないかもしれない。人の流れをコントロールするのは難しいですね。

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天井の案内板に「JR京葉線」の文言が出てきました。これからは案内板に従って進むことにします。

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左手にみどりの窓口があったのでぼんやり眺めていたのですが、みどりの窓口のマークってこんなにもリクライニングしてましたっけ。もしかすると彼は最後列に座っているのかもしれませんね。

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そのまま道なりに進むとバカでかいスペースに到着しました。何やら物をいろいろと販売しています。なんとなく「無」の気配を感じてきました。

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一気に道幅が広がって、四方八方に道が伸びています。道に囲まれてちょっと怖くなったので、一旦現在地を確認してみます。

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僕はこの時点で、丸の内地下南口付近に来ていることが分かりました。ということは、京葉線ホームまではもうすぐです。このまま案内板に従って京葉線を目指します。

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さっきまでは道だったのに、このあたりから突然、道と道がくっついて「面」となって迫ってきました。

僕は昔、円形脱毛症をやったことがあるんですが、最初はいわゆる10円ハゲ程度の穴だったのに、穴と穴がくっついて大穴が開くことがあるんですね。この道からはそれに近い恐怖を感じました。

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先ほどの「面」エリアから道が伸びていたので、このまま有楽町方面を進みます。

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ふと横を見ると、団体集合場所がありました。修学旅行などで学生が集まるためのスペースです。僕は田舎出身なので、もし学生だったら東京駅のここに招集されてもおそらく辿り着けないと思います。東京駅に来るすべての学生が無事辿り着けることを祈って先に進みます。

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ついに、東京駅とは思えないほどの完璧な「無」を発見しました。光と影のコントラストが、高級な箱のチョコレートのようでもあり、駄菓子の「さくらんぼ餅」のようでもあり、ネコちゃんの腹筋のようでもあります。(出典『ギャグ漫画日和』第7巻)

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案内板がシンプルになりました。もうこの先には京葉線しかありません。

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階段もバカでかいですね。

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長すぎる道が現れました。一直線に進めば京葉線に到着する予定です。東京駅を散歩する前は、こんなにも人が少ない道があるとはつゆにも思っていませんでした。東京駅は端から端までびっちり人がいると思っていたんですね。

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途中、KITTEの入口を発見しました。日本橋口からKITTEまでは雨に濡れずに歩けるということが分かりました。

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ふと思ったんですが、「際」の字って右上が「又」ですよね。この案内板を見たとき、「際」の字が又になっていないことに気付きました。なぜ又じゃないのか調べたところ、どうやら明朝体やゴシック体など書体によって変わるみたいです。ぜひ、街中のさまざまな「際」(もしくは「祭」)の字を探してみてください。

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途中、なんかおしゃれな入口を発見しました。

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三菱一号館美術館でした。すごい。地下からこんな所まで辿り着けるとは。東京駅と有楽町駅のほぼ真ん中あたりまで来ています。

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ついに長すぎる道のどんつきに到着です。

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このどんつきを左に曲がれば京葉線らしいです。なんとなく床のタイルが魔法陣みたいになっていて、中央に立つとどこかへワープできそうです。1人なので撮影はできませんでした。ワープならず。

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道が広すぎる。むしろ持て余しているようにも見えます。

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改札が見えました。ついに京葉線に到着です。ディズニーランド方面に行く際は、地上の人混みの中を歩くより、地下から行く方がゆったり歩けそうですね。

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さっきまで歩いてきた道を振り返ってみると、広すぎる道に「無」が広がっていました。東京駅のB面を見た気がします。

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運賃表もでかい。東は千葉県・香取駅から、西は神奈川県・久里浜駅まで広がっています。

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このラビリンスを出たいので、出口を確認したところめちゃくちゃありました。京葉線付近からは計12ヶ所もの出口があるようです。出たい放題ですね。

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有楽町の東京国際フォーラムにあるクリスピー・クリーム・ドーナツを買いたいので、八重洲方面の出口から出ることにします。急に道幅が激狭です。

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成城石井のB面を通り過ぎます。

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狭い道をずんずん歩きます。

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こんな狭い東京駅のB面に「日本鉄道OB会連合会本部」がありました。OBの人たちはわざわざここまで来ないといけないわけですね。初回の会合は絶対誰かと行きたい。

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2番出口から出ることにします。

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今まで歩いてきた道の中で、この階段が1番狭い気がします。非常口の緑色のライトが反射してちょっと不気味な雰囲気です。

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階段の手前に東京駅長からのお願いが貼ってありました。しっかり句読点があるのはなんか珍しい気がします。あと、文章が左揃えでも中央揃えでもない、謎揃えになっている気もします。

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階段の脇に非常口の彼がいました。勢いよく駆け上っています。

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非常口の彼は2種類いるんですね。

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もうずっとタイルばかり見ていて『8番出口』みたいな気分になっているので、早く地上に出たい。

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ついに地上が見えました。

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無事ゴールです。お疲れさまでした。

有楽町側の東京駅出口はコンパクトで、スタートの日本橋口と比べてみても規模が全然違いますね。結論、東京駅は京葉線へ近づくにつれて「無」が増えていくことが分かりました。1人になりたいときや、誰にも会わずに東京駅をすり抜けたいときなんかは、今日のルートがおすすめかもしれません。

では、クリスピー・クリーム・ドーナツを食べて帰ります。東京国際フォーラム店でオリジナル・グレーズドを食べながら、この記事を書いています。

この記事は月刊デイリーポータルZ新人賞で佳作をいただきました。とても嬉しかったので追記します。

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コメント

2
木更津
木更津

テーマを持った散歩は、その街の意外な側面を見せてくれて楽しいですよね!
「無」というテーマも興味深いです。そもそも自分が何を以て「無」とするのか、そんなことを考えながら歩いてみたいものです、、、
それにしても思ってもみない結論で笑ってしまいました😂
楽しい記事をありがとうございます。

杉浦圭|B面
杉浦圭|B面

コメントありがとうございます。
何もない空間が好きでぷらぷら歩いていましたが、たしかに「何をもって無とするか」と問われると自分に疑問が湧いてきました…また違った視点で歩けそうな気がします。新たな気づきをくださり、また長文のただの散歩を読んでくださってありがとうございました。

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