移住の抜け穴にほぼ効果なし
『カレー移民の謎』(集英社新書)の著者でジャーナリストの室橋裕和さんは現状を、こう分析する。
「経営・管理ビザの取得要件の厳格化は、本来の目的であった中国人の移住の抜け穴をふさぐことにはほとんど効果がなく、日本で真面目に飲食店や零細企業を営むネパールやタイ、ベトナムなどの人たちを直撃しています」
室橋さんが暮らす東京・新大久保周辺にはエスニックのレストランや食材店が数多くある。東京、神奈川、千葉、埼玉の都県に在住する外国人は25年6月末時点で160万6492人。
「首都圏で生活する外国人が故郷の味を求めて新大久保にやってくる。彼らにとって心の支えであり、明日への活力を生んできた。そんな店が大打撃を受ける。日本人の大家や取引先も影響を免れない。外国人店主が撤退したら、新大久保は『廃墟』になるでしょう」(室橋さん)
日本で育った外国人経営者の子どもは?
室橋さんは子どもたちへの影響も心配している。外国人の経営者や料理人の配偶者・子どもが「家族滞在」ビザで在留するケースは多い。
「日本で生まれた子どももいる。ルーツの国とはいえ、まったく知らない国に帰らざるを得なくなる。言葉や教育の面で大きな問題が発生する。精神的にも大変でしょう。そういう子どもたちが万単位で発生する可能性がある」(同)
また、日本での起業は、外国からの留学生(43万5203人・25年6月末時点)の夢のひとつだという。
「資本金が最低3000万円必要になったことで、起業のハードルを越えられなくなった。夢がやぶれ、がっかりしている子が大勢います」(同)
日本を目指す留学生も減ると室橋さんは予想する。
「日本で暮らす外国人のことをほとんど何も知らない政治家が、経営・管理ビザの取得要件を現状にそぐわないかたちで厳格化した結果、日本人にも愛され、外国人との架け橋でもあった多くの店がつぶれようとしている。とても理不尽だと思います」(同)
(AERA編集部・米倉昭仁)

















