インド料理店「ラジャン」店主のカンデル・ラグさんは2016年、日本でインド料理店を営んでいた父親に呼び寄せられ、15歳で来日した。県立船橋高校卒業後、都内の宅配弁当サービス会社を経て、22年に店を開業した=米倉昭仁撮影
インド料理店「ラジャン」店主のカンデル・ラグさんは2016年、日本でインド料理店を営んでいた父親に呼び寄せられ、15歳で来日した。県立船橋高校卒業後、都内の宅配弁当サービス会社を経て、22年に店を開業した=米倉昭仁撮影

 カンデルさんは、こう訴える。

「もっと早い時期に、書類審査だけでなく、直接、会社に電話して事業実態を確認してほしかった。そうしていれば、ビザ悪用は防げたはずなのに……」

同業者に動揺広がる

 厳格化以前から経営・管理ビザで会社を経営する外国人に対しては、施行日から3年間の猶予期間が設けられたが、カンデルさんと同郷の経営者の間では「このまま店を継続できるのか」と動揺が広がっているという。

 多くのネパール人がインド料理店の経営者として日本に渡ったが、昨年10月以降は「激減しているはず」と、カンデルさんは言う。

 カンデルさんは、経営・管理ビザの取得要件改正について、税理士やビザの更新を代行する行政書士に相談してきた。そして、こう語る。

「いきなり資本金を6倍の3000万円にせよ、とは常識的にはありえない話です。これまで在留資格の要件を順守して、真面目に店を経営してきました。社会保険料、労災保険料、雇用保険料、税金もきちんと納めてきた。今後のビザ更新についても、何の問題もないはずです」

「ガチ中華」への影響は?

 中国人経営による中華料理店、いわゆる「ガチ中華」はどうだろうか。「東京ディープチャイナ研究会」の主宰者でジャーナリストの中村正人さんは、経営・管理ビザの取得要件厳格化の影響は「ごく一部に限られる」と言う。

「ガチ中華の店は30年ほど前から徐々に増えました。店主は『永住者』ビザなどの取得者が大半で、ここ数年で経営・管理ビザで来日した潤日はそれほど多くありません」(中村さん)

 潤日の資本力は他の外国人店主と比べて圧倒的に大きい。中村さんによると、潤日には富裕層だけでなく、中間層の人もいるという。

「中間層といっても、上海のような大都市に数億円のマンションを複数所有しているような人たちです。資本金が500万円から3000万円に引き上げられても、彼らにとっては大した金額ではないでしょう」(同)

永住権を持ち、東京・池袋で中華料理店「ムーさんの蒸気館&食彩雲南」など、7店舗を営む、中国・大連出身の牟明輝さんは「潤日の人は飲食店に投資はしても、自分で経営する人は少ないと思います。生き残るのが大変な業界ですから」と語る=米倉昭仁撮影
永住権を持ち、東京・池袋で中華料理店「ムーさんの蒸気館&食彩雲南」など、7店舗を営む、中国・大連出身の牟明輝さんは「潤日の人は飲食店に投資はしても、自分で経営する人は少ないと思います。生き残るのが大変な業界ですから」と語る=米倉昭仁撮影
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