アルヴィン、お前に言いたいことがある
アルヴィン、お前に言いたいことがある。
最近『テイルズ オブ エクシリア』をクリアしたのですが、これが一番言いたいことです。私は、アルヴィンに言いたいことがありすぎる。
もう、これはアルヴィンのために作られた作品であり、アルヴィンを描くために用意された物語であり、アルヴィンを見せつけるために発売されたゲームなのではないかと思えてくる。そのくらい、アルヴィンに思うところがありすぎる。このゲーム遊んだヤツ、みんなそうなるでしょ!!
ということで、アルヴィンに対して、思いの丈をぶつけていこうと思います。エクシリアの感想っていうか、「アルヴィンの感想」です。アルヴィンのために書いた記事です。どうぞよろしくお願いします。
アルヴィンってホンマにメロくて……
とりあえず時系列順に、「アルヴィンへの印象」を書いてみようと思う。
アルヴィンが初めて出てきた時、私はもう「コイツ、好きかもしれない」と思っていた。かなり、うさんくさい。でも、カッコいい。なにもわからないまま旅に出たジュードくんを、いい感じに助けてくれる。こんなヤツ、好きになるしかない! もう、アルヴィンしか信じられないよ!!
しかも、声もカッコいい。
自分、杉田智和めちゃくちゃ好きなんですよ。一時期ラジオとか全部聞いてたくらい好きなんですよ。アニゲラが終わった時そこそこショック受けてたんですよ。
で、アルヴィンって……杉田智和ど真ん中みたいなキャラじゃないですか。杉田智和に当て書きしてるキャラなんじゃないかと思えてくるくらいに、杉田智和ど真ん中じゃないですか。もう、たまらんです。
しかも、ジュードくんとずっと距離が近い。
ジュードくんはどちらかというとミラの方が好きそうなのに、定期的にアルヴィンがグイグイ来るせいで、なんかエクシリア自体がどんどん爛れた空気になってきてる。なんだ? ひょっとしてアルヴィンはジュードくんのことが好きなのか?
私はこの、「ジュードとミラの関係にスポットを当てようとしているはずなのに、なぜか間にアルヴィンが挟まってくるせいで、妙に爛れた空気になっている時のテイルズオブエクシリア」がかなり好きだ。アルヴィン、お前は間男みたいなムーブをしている時が一番輝いていると思う。
果たして、これは「エクシリアが好き」と言えるのだろうか? 私は、ただアルヴィン(と寝盗られ妻みたいになってるジュードくん)が好きなだけなのではないだろうか? 私自身も不純な気持ちになってきてないか?
アルヴィンってホンマにクズで……
裏切ったな……僕を裏切ったなああああっ!!
いや、わかってましたよ。
最初から「どうせコイツも裏切るんだろうな」とか思ってましたよ。あらゆる意味でテイルズの手癖の煮凝りみたいなキャラだと思うけど、実際この味に抗えないんだから仕方ない。裏切るとわかっていても好きになってしまうんだ。
しかも、アルヴィンはこれで「強い」のが厄介だと思う。
ストーリー的にも、バトル性能的にも、かなりの強キャラ。誰しも「このままアルヴィンを野放しにしておくのはマズい」と理解しているけど、アルヴィンが有能なことは間違いないから、誰もアルヴィンを手放せない。
一度裏切って、平然とパーティーに復帰してきても、みんな「まぁ、アルヴィン強いから……」みたいな顔で受け入れている。マズいだろ。どんな問題起こすかわからないのに、抜けたら崩壊する人材をそのまま野放しにしてる会社くらいマズいだろ。でもアルヴィン手放せないんだよ!!
でも、物語の途中で、「実は母親のために頑張っていた」ということが明かされる。え、もしかしてアルヴィンっていいヤツなの……?
その直後、母親を生かし続けるために、闇医者のイスラを脅して看病をさせ続けていたことが発覚する。え、アルヴィンってめっちゃクズ?
その善悪はともかく、この「心の底から母親を心配しているアルヴィン」と「裏家業をやめたがっている闇医者を脅すアルヴィン」の、どちらも本当のアルヴィンに見えるのが、実に複雑怪奇なキャラクター造形だと思う。人間の善悪は表裏一体というものの、ここまで人間臭いと手に負えない。
アルヴィンは、そんな「もしかして、アルヴィンっていいヤツなのか……?」と「やっぱりアルヴィンって最悪なヤツだな……」の狭間を、ずっと反復横跳びし続けている。
だから、「コイツ結構いいヤツなんですよ!」とアルヴィンの肩を持つ自分もいれば、「コイツほんと最悪ですよね!」とアルヴィンをけなしている自分もいる。僕は、どうしたらいいですか?
アルヴィンってホンマに最悪で……
裏切ったな……僕を裏切ったなああああああっ!!!
もう、これはクリティカルだろうと思った。
土壇場で、ガイアス陣営への裏切り。これはもう二度とパーティーには復帰してこないだろう。さようならアルヴィン。お前は愉快なヤツだった。
が、5分後くらいには何食わぬ顔で復帰してきた。
もう、私は怖い。
コイツは「恥ずかしい」とか「申し訳ない」とか、そういう人間的な感情が欠落しているのか? そうでなきゃこんなスピードで復帰できないだろ?
そもそも、「仲間の裏切り」というイベント自体、普通は1本のRPGにつき、1回が限度だろうと思う。しいて言えば、FF4のカインの「2回」が限度なんじゃないか……いやカインも相当ネタにされてるから2回ですらやりすぎなんだけど……でも、アルヴィンは何度でも裏切ってくる。
こう何度も何度も裏切られると、流石に「な、何を考えているんだコイツは……?」という恐怖のほうが上回ってくる。もはや「許せない!」という憤りより、アルヴィンという人間への恐怖が勝ってしまう。
そのうえで、アルヴィンは「裏切った直後に、すぐ戻ってくる」のだ。
裏切りキャラクター数あれど、ここまでどの面下げて帰ってくるヤツは中々いないと思う。普通の人間なら、気持ち的に戻ってこられないはず。でもアルヴィンは平然と帰ってくる。そこが異常。どんなメンタルしてんの?
なんだかんだ「裏切りキャラ」が人気になりがちな理由として、やっぱりそのキャラクターの「裏切る理由・信念」や「そこに至るまでの背景」に共感できたりして、その結果「まぁ、オレだけはコイツのこと理解<わか>ってあげられるんだけどね……」と、後方腕組みしたくなるからだと思う。
それこそ『テイルズオブデスティニー』のリオンや、『ペルソナ5』の明智なども、やっぱりどこかに「まぁ、お前の気持ちもわかるぜ」と同情したくなるような愛嬌がある。だからこそ、「裏切り」という行為を働いても、心のどこかでは「仲間」だと思える。なんだかんだ「味方キャラ」なのだ。
でも、正直アルヴィンは味方に居ていいクズのレベルを超えてる気がする。コイツに同情できるかというと、かなり怪しい。心の底からコイツを「仲間」と思えるかというと、だいぶ怪しい。同情するところはあれど、あまりに裏切るせいで心の許容ラインをオーバーしまくっている。
私は、結構なんでも受け入れられる自信があるというか、「キャラを嫌いになる」ことがほとんどないというか……その自信があったはずなのに、アルヴィンに対しては、流石に「もうこんな人とは一緒にいられないです……」と思えてくる。もう、人間として許せるラインを超えてるよ!!
アルヴィンってホンマにガキで……
マジで「子ども」じゃん
— ジスロマック (@yomooog) February 1, 2026
アルヴィンが一番ガキだったんだ pic.twitter.com/wbFl66z5jb
「じゃあ……何すりゃいいんだよ!」
「俺には……使命なんてないんだ
あいつみたいには生きられねえよ……」
「ミラはもういないんだ……
僕たちが考えなきゃ」
「どうやって!?」
「誰も決めてくれないんだって!!
誰も……僕達のやることに責任なんてとってくれないんだよ……」
もう、何度目かもわからないアルヴィンの裏切り。
ついに激昂したジュードに、馬乗りになって殴られ、子どものように駄々をこね始めるアルヴィン。ここ、エクシリアで一番好きなシーンです。アルヴィンが情けなさすぎて。
そもそも、このゲームには「子どもと大人」というテーマがあるような気がしていた。学生だったジュードは、ミラという大人の背中を見て、どんどん成長していく。アルヴィンも、その「大人」に見えていた……はずだった。でも、アルヴィンは「大人になれなかった、子ども」だった。
幼少期から傭兵として生き続けて、満足に「子ども」をやれなかった。「大人」として生きていくしかなかった。中身は成長しないまま、外面ばっかりよくなっていった。人との接し方もわからないまま、仲間の作り方もわからないまま、ひとり放浪する一匹狼になっていた。
ジュードは「子どもから大人へと成長していった人間」として描かれ、アルヴィンは対極の「子どものままデカくなった大人」として描かれている。こんな残酷な対比があるか。余裕のある大人に見えていたはずなのに、むしろパーティーメンバーのなかでは、アルヴィンが一番のガキだった。
そして相変わらず、アルヴィンはパーティーに復帰してくる。
うっすら「これはもう、アルヴィンが帰ってきたところで地獄みたいな空気になるしかないだろ……」とは思っていたけど、本当にそのまま地獄みたいな空気でストーリーが進行していくのだからすごい。
特に、レイアとの空気がヤバい。
当たり前である。背中から撃ってるのだから。いくらレイアが聖人君子でも、「仲間を撃って、そのままパーティーに戻ってくる」とか、優しくできるわけがない。その一件もあって、ジュードには嫌われたまま。「主人公に嫌われたままパーティーインしてくる仲間」とか、マジ前代未聞だぜ。
アルヴィンの困ったところは、これらすべて「自業自得」としか言いようがないところだ。似たようなケースで言うと、『テイルズオブジアビス』のアクゼリュス崩落なんかは、「いやいや、ルークは悪くないじゃん」と思える、心理的な逃げ道がある。「誰かのせいにはできる」というか。
ただ、アルヴィンに関しては「全部アルヴィンが悪いだろ」としか言いようのない、逃げ道のなさがヤバい。たしかに生い立ちの過酷さはあれど、結局のところ、全部アルヴィンが自分で蒔いた種なのである。それなのにアルヴィンがあまりにも沈痛な面持ちだから、こっちまでツラくなってくる。
ゲーム終盤のアルヴィンに対する空気なんか、もう「クラスの嫌われ者がグループに入ってきたから、みんなそれなりに気を遣いながら行動している修学旅行」みたいな感じなのだ。そして、アルヴィンもその空気を察している。気まずいにもほどがある。なんで終盤で余計に仲悪くなってんの?
「あいつらはみんな大人だよ。
俺に気遣ってくる」
「そっかー、それが寂しいんだろー、アルヴィン」
(中略)
「大人になればなるほど、
他人に自分の気持ちを明かすのは難しい」
「それなのに、自分が踏み出さなくちゃ、
誰も俺とつながろうとしてくれない」
「だけど、一人よりずっといい」
そして極めつけは、このブランコのシーン。
最終決戦の夜、仲間に気を遣って、ひとりブランコに座っているアルヴィン。そこに駆け寄ってきたエリーゼに、情けない本音を吐露する。なんかもう、理由もわからず涙が出てきた。
見た目はいい年した大人のクセに、子どもみたいにブランコに座って、同じ子どものエリーゼに気持ちを吐き出す。全部、アルヴィンが悪いとは思う。自分で裏切って、仲間を苦しめて、嫌われた。こんなヤツ、嫌われて当然である。でも、こんなヤツ嫌いになれるわけがない。
アルヴィンだけ、なにも成長しないまま、みんなに置いていかれた。
そんな彼が、最後に「一人よりずっといい」と、惨めな気持ちを打ち明ける。これが成長なのかはわからない。でも、「どうすればマシになるのか」を、彼なりに理解できたのだと思う。
どこまでも情けない。
だから、嫌いになれない。
なれるはずがない。
私は、信じられないクズで、最悪で、裏切り者で、中身は子どものままなロクでもないアルヴィンが、大好きなんだ。コイツのどうしようもなさを受け入れられなかったら、自分自身を否定してしまう。そんな気がする。人間みんな、どうしようもない。だから、私は人間が好きなんだ。
最後に、ちょっとだけ私自身の話をしようと思う。
私は、他人が信用できない。
「信用するのが怖い」と言った方がいいかもしれない。
友情や信頼なんてものは、結局のところ、お互いの利害関係がキレイに見えているだけに過ぎない。いつ見捨てられるかもわからないし、いつ裏切られるかもわからない。大人になればなるほど、そう思えてくる。
だから、いつの間にか、どんなに仲良くなっても、心の底から相手を信頼できなくなっていた。捨てられるのが怖いからだ。最初から信頼しなければ、裏切られた時に傷つくこともない。「人を信じない」ことが、いつしか私にとって防衛手段になっていた。そうでもしなきゃ、耐えられなかった。
親族から「LINEを交換しよう」と言われた時も、「子どもは信じられない」という理由から、断ったりした。これを友人に「流石によくないと思う」と指摘され、自分がどれだけの人間不信に陥っているのか、やっと理解した。
でも、今さらどうすればいい?
どうすれば、人を信じられるようになる?
どうやったら、他人に心を預けられるようになる?
思い出せない。子どものころは、すぐに友だちを作れていたはずだ。すぐに打ち解けていたはずだ。大人になればなるほど、どんどん難しくなっていく。年を重ねるほどに、人との距離が埋まらなくなっていく。
そして、このゲームを遊んでいて、思った。
私は、エクシリアで一番思うところがあるキャラもアルヴィンだけど、一番共感できるキャラもアルヴィンなのだ。こんなヤツに共感したくない。こんな大人にはなりたくない。でも、認めたくないが、私はこういう大人になっていると思う。私は……大人に、なれなかったのかもしれない。
そんな自分だから、アルヴィンにすごく感情移入できたし、アルヴィンというキャラクターのおかげで、『エクシリア』は面白いゲームだった。
だから、アルヴィン、お前に言いたいことがある。
いつか、一緒に大人になろう。
人を、信じられるようになろう。
怖がらずに、恐れずに、一歩を踏み出せる人間になろう。どんなに情けなくても、どんなに惨めでも、そうやって生きていくしかないんだ。そんな大人に、私はなりたかった。なりたかったはずだ。
だから、頑張って生きてみるよ。
アルヴィンも、頑張ってね。


アルヴィン戦ですが、個人的にはアルヴィンが勝った時も情けなくて好きです。機会がありましたら見ていただけると嬉しいです。 テイルズ感想記事すべて楽しく読ませていただいてます。今後も何卒よろしくお願いします。