「EV = オワコン」という思考こそが、実はオワコンだ――“地球に優しい”という議論はもはや「時代遅れ」である
ステランティスが2025年12月期に約4.1兆円の赤字を計上した。表面の損益だけで「EVの終焉」を語るのは早計であり、産業は電動化とAIによる知能化へ不可逆に進んでいる。
知能化のための電力
世界で進む電動化の流れは、移動手段を輸送手段から、高度な演算処理を備えたデジタル機器へと変えている。この変化の中心にあるのが、AIによる知能化だ。
車両に搭載されたカメラやライダーなど複数のセンサーが送る膨大な情報を瞬時に処理するには、AIの存在が欠かせない。特に自動運転を目指す場合、その知能化の水準はきわめて高く求められる。
AIを実装するための基盤として、電動化は避けられない。内燃機関には物理的な制約があり、高度な演算処理に必要な電力を安定して供給するのが難しいからだ。
自動運転を制御する高性能チップは大量の電力を消費するが、従来のエンジンでは十分な供給ができない。駆動用バッテリーは、走行に必要な動力だけでなく、AIの「脳」を稼働させるための電源としても機能する。
加えて、内燃機関の爆発やピストン運動といった不連続な物理現象は、デジタル信号の反応に遅れを生じさせる。ミリ秒単位で制御し、AIの指示を瞬時に反映させるには、電気信号で直接駆動するモーターが欠かせない。ソフトウェアがハードウェアを支配する時代において、電動化は高度な機能を実現するための前提条件となっている。