投票対象とは直接の関係がない話として、あくまで一般的な疑問だが。
まず小選挙区に候補者名を書いて、比例代表には政党名を書いて、なぜ候補者も政党も自由に書いてはいけないのか、と初歩的な疑問をもった。
それから下記の弁護士の三浦義隆氏*1がSNSに書いていた、下記の重要な一般論を連想した。
近年誤解が蔓延しているので述べておく。選挙の際に各党の政策を見るのって、基本的に意味ないですよ。
より正確に言えば、政権交代の現実的可能性がない状況で、政権を取り得ない政党の政策なんか見ても意味ない。
そして今回は政権交代は生じ得ないので、自維以外の政策は見ても意味ない。
その理由は簡単で、法制度上、野党の政策は実現しない仕組みになっているから。はい、当たり前のことですね。
まあ政権党が過半数割れしていれば野党が個別の政策を飲ませることは局所的に可能だったり、憲法改正は3分の2が必要だから例外的に意味があったりはするけれど、基本は意味ない。そこは理解しておく必要がある。
ちなみに、日本のような一党優位体制下では、与党の政策を見る意味すら大幅に失われる。
一党優位だと、政府が公約を破っても与党に政権転落というペナルティを与えることができないため、破り放題になるから。
今回、高市氏がやると明言している消費税減税を、勝っても実際にはやらないだろうという見方が支配的なのは、まさにそれ。
その意味で、高市氏が「私を信任するか否かの選挙だ」という趣旨のことを言っているのは、正しい側面がある。
現状、政権交代は起こらないから野党の公約は実現し得ないし、与党の公約も話半分に聞くしかないわけで、高市政権にYesかNoかしか、争点らしい争点がないので。
率直に言って、日本の現在の政治は、各党が政策を競い、有権者が政策で投票先を選べる土俵にすらまだ乗ってない。
そして、自民党に対抗できる、全部の小選挙区に候補を立てて互角の戦いをできるような政党が現れない限り、今後もその土俵には乗らない。
大事なのは、これが小選挙区制中心という現行選挙制度の必然的な帰結だということ。
小政党がどんなに良いこと言っていて、あなたがどんなにその政党を好きでも、その政党への投票は意味ない決まりになってるんですよ。わざと意味ないように制度設計されてるの。
日本の有権者はナイーヴすぎて、「政策論争は良いこと、権力闘争は悪いこと」みたいに考えがちだけど、それこそお花畑なんですよ。法制度がそうなってないんだから。
実際には政策なんか選べないのに、選べるつもりになっちゃダメなんですよ。それを騙されてると言います。それを愚民と言います。
小選挙区制には理不尽な点も多々あるが、現行のルールはルールだから、棄権せず投票するなら、理解して動くようにするしかない。
高市政権を支持するなら、普通に自民に投票すればよい。
支持しない場合、好きな政党、候補者にではなくて、自民党の候補者を落とせそうな政党、候補者に投票するのが、現行制度下で有権者のできる最大限の賢明な行動ということになる。
小選挙区は細やかな民意を反映することが原理的に不可能なので、政党で判断するしかないうえに少数政党は無視するしかない。
ならば、小選挙区こそ比例代表よりも候補者ではなく政党名で投票する方式にするほうが感覚と実態が乖離しないのではないか?ということに気づいた。
現状では制度自体に三浦氏の指摘する錯覚を生み出す問題もあるように思える。
*1:はてなアカウントはid:miurayoshitaka。