Joi Ito's Podcast - 変革への道

テクノロジーに精通しているだけでなく、サブカルチャーやネットカルチャーにも詳しい伊藤穰一。 かつて、マサチューセッツ工科大学(MIT)の研究所メディア・ラボの所長も務めた伊藤穰一がさまざまな人物を巻き込み、「これからのニッポン」を考え、どう変革していくべきなのかを議論する新しいポッドキャストがスタートします。 番組には、伊藤穰一のネットワークを通じて、世界中から様々なゲストが出演。 また、解説者として、メディア美学者である武邑光裕氏が登場し、デジタル社会の大局的な指針を伊藤穰一と共に掘り下げていきます。 議題となるテーマは毎回その時に注目されている話題や、伊藤穰一が気になっているテーマをピックアップ。 伊藤穰一の頭の中をそっくり丸ごとお届けしていきます。是非、お楽しみください。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための7つのキーワード

スモール・イズ・ビューティフル

イギリスの経済学者E.F.シューマッハーが提唱した概念。巨大主義を批判し、人間中心の適切な規模の技術や経済を重視する考え方です。Joiさんが番組内で目指している「小さなアーキテクチャ」の象徴的な思想として登場しましたね。

好日会(こうじつかい)

Joiさんが2025年9月に開催した、伝統と現代を融合させた大規模なお茶会のこと。50人を11回も(!)もてなすという驚異的な規模のプロデュースについて語られています。劇場型でTED TALKのような演出を取り入れた、Joiさんらしい茶会だったようです。

大徳寺(だいとくじ)

京都市北区にある臨済宗大徳寺派の大本山。千利休や一休さんとも縁が深く、茶道の世界とは切っても切れないお寺です。桑村さんがかつて修行されていた場所でもあり、茶の湯の「芯」を語る上で欠かせない聖地として登場しました。

塔頭(たっちゅう)

大寺院の敷地内にある、高僧の墓所を守るために建てられた小院のこと。大徳寺には20以上の塔頭があり、それぞれが独立した歴史を持っています。

武野紹鴎(たけの じょうおう)

戦国時代の茶人で、千利休の師匠。豪華な茶の湯を簡素化し、「わび茶」の基礎を築きました。

村田珠光(むらた じゅこう)

室町時代の茶人で、わび茶の創始者とされる人物。禅と茶を融合させた「茶禅一味」の境地を開きました。

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AIコーディングの話はいったん横に置いて、今日のポッドキャストは友人とのトークをお届けします。 私の友人、桑村祐子さんは、京都の「和久傳」の女将であり、代表取締役でもあります。

和久傳は、私にとって特別な料亭のひとつです。料理が素晴らしいのはもちろんですが、それ以上に、多くの才能ある料理人たちがここで経験を積み、やがて自分の店を持って巣立っていった、いわば"料理人の道場"のような場所でもあります。そんな彼女とのトーク、ぜひお聞きください。

- Joi

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今回のPodcastの理解度をより深めるための7つのキーワード

桑村 祐子

料亭「和久傳」の女将で、株式会社和久傳の代表取締役。丹後から京都へ拠点を移した先代の志を継ぎ、おもたせ事業の立ち上げや料理人の育成制度の刷新など、伝統を現代に最適化する変革を牽引しています。

丹後

京都府北部に位置する、和久傳創業の地。古くから日本最大の絹織物産地として栄え、独自の文化を育んできました。番組では、かつての織物産業の熱気と、その後の変遷についても語られています。

丹後ちりめん

江戸時代から300年以上続く、表面の細かい凸凹(シボ)が特徴の絹織物。かつては地域の経済を支える巨大産業でしたが、ライフスタイルの変化で衰退の危機に。和久傳はこの地の料理旅館として歩みを始めました。

大徳寺

京都・紫野にある臨済宗の大本山。千利休が切腹する原因となった三門の石像事件など、茶の湯の歴史に深く刻まれた寺院です。祐子さんが若き日に自分を見つめ直すために駆け込んだ、修行の場でもあります。

龍光院](https://kunishitei.bunka.go.jp/heritage/detail/102/1592)

大徳寺の塔頭の一つで、国宝の茶室「密庵」を擁する名刹。祐子さんが大学卒業後に修行に入り、井戸水を汲み雑巾を絞る日々を3年間過ごした場所になります。ここでの体験が、和久傳の空間づくりの原点となりました。

鈴木 大拙

禅を世界に知らしめた、日本を代表する仏教学者。彼の思想はスティーブ・ジョブズら多くの西洋の知性に影響を与えました。祐子さんの師である小堀和尚は、この大拙氏の直弟子にあたる方です。

小堀 南嶺

大徳寺・龍光院の元住職で、桑村祐子さんの心の師。鈴木大拙から禅を学び、国内外の文化人に大きな影響を与えた高僧です。祐子さんは、和尚様の存在を「ただそこにあるだけで胸が熱くなるお月様」と表現しています。

西田 幾多郎

京都学派を創始した哲学者。主著「善の研究」で説いた「純粋経験」は、主客が合一する禅の境地を哲学的に探求したものです。Joiさんが学長を務める千葉工大の建学の精神にも、その思想が深く流れています。

水屋

茶室に隣接し、茶器の準備や洗浄を行うバックヤードのこと。Joiさんは、この裏舞台で働く人々と客席が、喜びの感情でリアルタイムに同期していく様子を、美しいフィードバック・ループとして分析しています。

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最近、AIを使ったプログラミングや効率化の工夫に、かなりのめり込んでいます。 それが、これからのものづくりや仕事の進め方をどう変えていくのか?そのあたりについて、私なりの考えをまとめてみました。

- Joi

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今回のPodcastの理解度をより深めるための12つのキーワード

The Information

シリコンバレーに拠点を置く、有料制のテック系オンラインメディア。質の高い独占記事で知られ、業界の意思決定者たちに愛読されています。Joiさんも購読している、今のテックトレンドを知るための重要ソースの一つです。

10x Engineer

平均的なエンジニアの10倍の生産性を誇る開発者のこと。かつては伝説的な存在でしたが、最近では「AIを使いこなすことで誰もが到達可能な領域か?」という議論も。Joiさんはさらにその先のステージに注目しています。

Cracked Engineer

「10x」を超え、能力も労働量も限界突破(Cracked)したエンジニアを指す新造語。AIエージェントを文字通り手足のように扱い、一人で大企業並みの成果を出す「新人類」的な開発スタイルを指します。

ティモシー・リアリー

1960年代のカウンターカルチャーを象徴する心理学者。LSDの研究で有名ですが、晩年はコンピュータを「思考の拡張」と捉え、Joiさんとも親交がありました。今回の「RPM」の概念も彼との対話から生まれたそうです。

RPM (Realities Per Minute)

「1分間に何回現実が切り替わるか」を表す指標。リアリーとJoiさんが考案しました。目まぐるしくツールや環境が変わる現代、この「変革のスピード」にどれだけ適応できるかが生き残る鍵になる、というわけです。

Cartaの調査データ

米国スタートアップの38%が「1人創業」であるという驚きの数字を示したデータ。AIのおかげで、もはや大人数で会社を立ち上げる必要がなくなっている今のリアルな変化を象徴していますね。

BEADS

AIコーディングエージェント向けに設計された、GitベースのIssueトラッカー。人間用ではなく「AI同士」が効率よく情報をやり取りするための設計が特徴です。Joiさんが最近ハックして導入した注目のツールですね。

Superpower

Joiさんが紹介した、設計からテスト、実装までを自動で行う新しい開発パッケージ。AIが約1時間勝手にコードを書いてくれるそうで、人間はデザインに集中できる。ツールの進化には目を見張りますね。

メメント(映画)

クリストファー・ノーラン監督による、短期記憶を失う男を描いた映画。記憶(コンテキスト)に限界がある現在のAIが、メモを頼りにタスクを繋いでいく挙動がこの主人公に似ていることから、開発現場の例え話として使われます。

エージェントの「心理学」

「Happyな道のりばっかり選ぶな」等の制約をプロンプトに入れると、効率が3倍上がるという最新研究で、AIを単なる計算機ではなく、特定の「心理」や癖を持つ存在として導く手法なんだそうです。

Vibe Coding

詳細な設計図を書くのではなく、「こんな雰囲気(Vibe)で」という意図をAIに伝えて対話的にプログラミングを進める手法。開発のハードルを劇的に下げる新時代のスタイルとして、エンジニアの間で話題になっています。

オープンソース(OSS)

ソースコードを一般公開し、誰でも改良や再配布ができるソフトウェアの総称。AIの進化もこのOSSコミュニティの力が非常に大きく、Joiさんは「クリプト」がその新たな資金モデルになる可能性に期待を寄せています。

おしらせ

本日配布予定のNFTとKAMONですが、現在ブロックチェーンの不具合により提供を見合わせております。復旧次第配布いたしますので、今しばらくお待ちください。

和田伊三男さんとさらに深く掘り下げる、めくるめく伝統オタクワールド。あなたもぜひご一緒に。このディープな世界をどうぞお楽しみください!

- Joi

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今回のPodcastの理解度をより深めるための9つのキーワード

真田紐師 江南(さなだひもし えなみ)

江戸時代から続く、日本で唯一の手織り真田紐専門店。ご出演の和田伊三男さんはその15代目当主にあたります。茶道具の桐箱に掛ける紐など、伝統的な技法を今に伝えています。

約束紐(やくそくひも)

茶道において、特定の家元や流派だけが使う柄を持った真田紐のこと。独自の結び方があることもあります。一度解くと元に戻せないため、情報の改ざんを防ぐ「封印」の役割も果たしていました。まさにアナログなセキュリティ・プロトコルといえます。

彬子女王殿下(あきこじょおうでんか)

三笠宮家の彬子女王殿下のこと。日本文化の継承に尽力されており、Joiさんとも親交があるそうです。伝統を単なる保存対象ではなく、現代に活きるものとして発信される姿勢は、Joiさんの活動とも重なりますね。

Getty Museum(ゲッティ美術館)

ロサンゼルスにある世界屈指の美術館。石油王ジャン・ポール・ゲッティによって設立されました。

利休にたずねよ

山本兼一さんの小説を原作とした2013年公開の映画。市川海老蔵(現・團十郎)さんが千利休を演じました。茶の湯の美学を圧倒的な映像美で描き、モントリオール世界映画祭で最優秀芸術貢献賞を受賞しています。

真田丸(さなだまる)

2016年放送のNHK大河ドラマ。真田家が九度山で紐を作って生計を立てた逸話が描かれ、真田紐の知名度を一気に高めました。

水戸黄門

誰もが知る国民的時代劇。劇中で印籠を下げている紐や、侍の刀の下げ緒にも真田紐が使われてきました。伸びにくく丈夫な特性から、江戸時代のあらゆるシーンで活躍した「実用的なインフラ」だったことが分かります。

袋折り(ふくろおり)

紐の端を内側に折り込む高度な始末の技法。格の高い道具にのみ許される意匠です。これを見れば、その道具がかつて誰に、どう扱われていたかの「履歴」がわかってしまいます。職人の眼はここをデコードしているんですね。

いぼた蝋(いぼたろう)

イボタロウムシから採れる天然の蝋。紐や桐箱に塗ることで、美しい光沢と保護機能を与えます。現代の防水スプレーと違い、素材を傷めず数百年持続する優れたマテリアル。古美術の鑑定では重要なログになります。

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日本の文化や歴史を次の世代につないでいくうえで、真田紐の技や知恵をあらためて開いていくことは、今この時代にこそ特別な意味を持つように思います。これまで内側に守られてきたものを、知として残し、共有していく。その一歩はいま、これまで以上に必要とされている。そう感じさせてくれるインタビューでした。

- Joi

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今回のPodcastの理解度をより深めるための7つのキーワード

丙午

十干十二支の43番目にあたる年です。この年生まれの女性は気性が激しいという迷信から、1966年には出生率が前年に比べ全国的に激減した歴史があります。和田さんとJoiさんはこの年に生まれた「貴重な同級生」として、冒頭から意気投合されていました。そして今年も60年ぶりの丙午!Joiさん還暦!

枳殻邸

京都市下京区にある東本願寺の飛地境内「渉成園」の通称です。周囲に植えられた枳殻の生垣が名前の由来と言われています。和田さんの生家はこのすぐ近所にありました。

タフツ大学

ボストン近郊にあるアメリカの名門私立大学です。和田さんが通っていたボストン美術館付属校は、現在この大学に統合されています。Joiさんもかつて在籍し、中退という意外な学び舎の共通点が発覚しました。

岡倉天心

明治期の思想家で、ボストン美術館の中国・日本美術部長を務めた人物です。英文で『茶の本』を執筆し、東洋の美学を世界へ発信しました。彼がかつて整理した収蔵品の中にも、当時は価値が伝わらず箱を失った名品がまだ眠っていたようです。

樂さん

千利休の創意を汲み、手捏ねで形を作る「樂焼」の家元です。ろくろを使わない独特の風合いが特徴です。和田さんは学生時代、ボストン美術館の収蔵庫で包装材扱いされていた初代や三代の貴重な樂茶碗を見つけ出したそうです。

極め

美術品が本物であることを証明する鑑定、またはその鑑定結果や証明書のことを指します。極札とも呼ばれるそう。和田さんは収蔵庫で見つけた樂茶碗に対し、家元を呼んで箱を作り直し、「極め」をもらってはどうかと進言したという驚きのエピソードを語っていました。

指物師

釘を使わず木と木を組み合わせて家具や箱を作る職人を指すそうです。和田さんの実家は代々この仕事をされており、神宝や名品を納める箱を作る高度な技術を継承されています。

柳箱

柳の板を細い糸で綴じ合わせて作る、非常に特殊な構造の箱です。通気性に優れ、伊勢神宮の式年遷宮などで神宝を納める際にも用いられます。和田さんはこの制作に携わったことが、家業へ本格的に進む大きな転機となりました。

約束紐

特定の流派や家元、特定の家柄だけが使うことを許された独自の柄の真田紐のことです。箱の中身の格や持ち主の身元を判別する「情報の記録媒体」であり、そのルールは長らく文字に残されない秘伝とされてきました。

箱書き

茶道具を納める箱の蓋に、作者や品名、鑑定結果などを記すことです。主に家元が行います。箱書きを依頼する際は、紐や箱がその品に相応しい「完全な形」で整っている必要があり、ここでも真田紐師の深い知識が試されます。

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日本の文化や茶の世界には、意外な場所に深い奥行きが存在します。箱や真田紐を手がかりに辿り着いたのが、真田紐の職人、江南の和田さんでした。そこには、長い時間をかけて受け継がれてきた技術と、それを支える豊かな歴史があります。かつては秘伝とされたこの技を、和田さんは今、歴史とともに未来へとつなごうとしています。

- Joi

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非中央集権的な「信頼」は紐に宿るのか?

本日はシナダがお届けしてまいります。 デジタルアーキテクトとして、常に最先端のテクノロジーを見つめているJoiさんが、今回向かったのは「真田紐(さなだひも)」の老舗でした。

最初は「お茶道具の紐を修理しに行く」というお話だったので、日本の伝統工芸の紹介かな?と思って聞いていたのですが、15代目当主・和田徳さんとのお話が進むにつれ、その印象はガラリと変わりました。

450年前の戦国時代に、真田昌幸が「ステータス」よりも「実利」を求めてハックした紐の技術。それが千利休の手によって、特定の権威に頼らない「真贋証明のプロトコル」へと進化していく過程は、まさに現代のブロックチェーンやweb3の思想そのもの。

「一度解いたら元に戻せない」結び目がパスワードになり、表からは見えない「隠し横糸」が秘密鍵になる。AIで何でも偽造できてしまう今だからこそ、この物理的な「本物の証明」に宿る凄みを感じずにはいられませんでした。

和田さんとのトークは来週も続きます。引き続きお楽しみくださいませ。

450年前のクリプト技術を解読するための7つのキーワード

真田紐(さなだひも)

縦糸と横糸を平たく織り上げた、非常に丈夫な織物。戦国武将の真田昌幸・幸村父子が考案したと伝えられ、刀の柄(つか)を巻いたり、甲冑を固定したりするための「実戦的な道具」として普及しました。

木綿(もめん)

真田紐の主要な素材。かつては高級な絹や麻が使われていましたが、室町時代末期から江戸時代にかけて普及しました。伸びにくく結び目が緩まないという木綿の特性が、物理的なセキュリティ機能(結び目の保持)を支えています。

堺(さかい)

現在の大阪府堺市。かつては海外貿易の拠点であり、真田紐のルーツの一つとされるネパールの紐「サナール」などが日本に持ち込まれた玄関口でもあります。自由都市としての活気が、外来の文化を日本独自の技術へと昇華させました。

組紐(くみひも)

平安時代に中国から伝わり、主に宮中で装飾品として発展した紐。斜めに糸が交差する構造のため、引っ張ると伸びやすく切れやすい特性があります。番組内では、中央集権的な「宮中文化」の象徴として、実力主義の真田紐と対比されています。

真田昌幸(さなだ まさゆき)

戦国時代の軍略家で真田幸村の父。ステータスとしての「組紐」ではなく、機能性に優れた「真田紐」を軍事利用したハッカー的思考の持ち主。自らゲリラ戦を展開し、実利を追求したその姿勢が真田紐のアイデンティティを形作りました。

ドッグタグ(Dog Tag)

兵士の身分証明票。戦国武士たちは、刀に使う真田紐の「柄(がら)」を家系や流派ごとに指定することで、戦場で遺体を確認できなくても、残された刀の紐だけで身元を特定できる「物理的なトレーサビリティ」を実現していました。

千利休

「わび茶」を完成させた茶道の祖。豪華さを誇る宮中の茶に対し、簡素な桐箱に真田紐というスタイルを確立。紐の柄を特定の人物や流派の「証」とすることで、茶道具の世界に信頼のプロトコルを持ち込みました。

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以前から落合さんとは長い付き合いで、他の話題の中で「特性」について触れることはよくありましたが、ニューロダイバーシティについて本人と直接話せたのはとても楽しい経験でした。

- Joi

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番組に登場した単語はこちらから...

ニューロダイバーシティ

「脳の多様性」や「神経多様性」と訳されます。自閉スペクトラム症(ASD)やADHD(注意欠如・多動症)などの発達障害を、治療すべき「欠陥」や「病気」と捉えるのではなく、脳の機能的な「違い」や「個性」として尊重しようという考え方です。Joiさんがよく言う「バグではなく仕様」という捉え方ですね。

落合陽一

メディアアーティスト、筑波大学准教授。デジタルネイチャー(計算機自然)というビジョンを掲げ、アート、研究、ビジネスの境界を越えて活動されています。Joiさんとは「変人」仲間(?)として、非常にシンパシーを感じ合っている様子が伝わってきましたね。

アセット・ベース (Asset-Based Approach)

教育や支援において、その人の「弱み(Deficit)」を補って平均に近づけるのではなく、「強み(Asset)」や「資産」に注目してそれを伸ばそうとするアプローチのこと。Joiさんは、日本の従来の教育が「苦手な科目を克服させる」デフィシット・ベース(欠陥モデル)に偏りすぎていると指摘していました。

ローム・ラホック (Roim Rachok)

Joiさんが紹介していたイスラエル軍の特殊プログラム。ヘブライ語で「遠くを見る」という意味だそうです。自閉スペクトラム症の人たちが持つ、驚異的な集中力やパターン認識能力(画像解析など)を活かし、軍の諜報部隊(9900部隊など)で活躍してもらう仕組みです。「適材適所」の究極の形とも言えますね。

フロアタイム (DIR/Floortime)

アメリカの精神科医スタンレー・グリーンスパン博士らが提唱した発達支援のアプローチ。子供を机に座らせて訓練するのではなく、大人が子供と同じ目線(床=フロア)に降りて、子供の興味や関心に寄り添いながら相互作用を広げていく手法です。Joiさんが「落ち着く環境を作ってあげることで才能が開花する」と話していた文脈で登場しました。

スケーラビリティ

拡張可能性のこと。産業革命以降の社会では、標準化された人間を大量に育成し、組織を大きくしていく「スケーラビリティ」が重視されましたが、AI時代にはその役割はロボットやAIが担うため、人間にはむしろ「標準化されない」能力が求められるという議論でした。

ケビン・スコット (Kevin Scott)

MicrosoftのCTO(最高技術責任者)。Joiさんの友人であり、超多忙なはずなのに「陶芸」にハマり、自作の窯まで作ってしまったというエピソードが紹介されました。AIの専門家だからこそ、AIにはできない「身体性」や「自分の感性(どのお茶碗が美しいか)」の重要性を肌で感じているのかもしれません。

千利休

戦国時代から安土桃山時代にかけての茶人。「わび茶」を完成させた人物。Joiさんは、日本社会は内部は均質的でも、外部の「尖った人(文化人や芸人)」を面白がる文化があり、利休のような「変人」が重用された歴史があると指摘していました。

民藝運動 (Mingei Movement)

1926年に柳宗悦らによって提唱された生活文化運動。「民衆的工芸」の略で、名もなき職人が作った日常の道具の中に「用美(実用的な美しさ)」を見出しました。落合さんが、産業革命へのカウンターカルチャーとしてのアーツ・アンド・クラフツ運動と並べて言及していました。AIによる大量生成時代における、人間的な「手仕事」の価値再発見とも重なります。

Failure of Imagination(想像力の欠如)

9.11同時多発テロの際、アメリカ政府が攻撃を防げなかったのは情報不足ではなく、「飛行機をミサイルとして使う」という発想自体を想像できなかったからだ、という報告書の言葉。同質的な人ばかりが集まると想定外の事態に対処できないため、組織にはニューロダイバーシティが必要だという文脈で語られました。

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今日のポッドキャストは、最初に少しだけ専門的な話が出てきます。でも、全部を理解しなくてもまったく問題ありません。「これ何だろう?」と思った言葉があれば、気になったときに調べてもらえれば十分です。 大事なのは、興味を持ったらとにかく一歩踏み出してみること。AIでコーディングしてみたいと思ったら、「何から始めたらいい?」って、そのままAIに聞いてしまって大丈夫です。 もし身近に少し経験のある人がいれば、最初だけでも手助けしてもらえると、かなり心強いと思います。 まだ完璧な世界ではないけれど、確実にどんどん良くなっています。昔、自分たちで初めてホームページを作っていた頃の、あの感じにちょっと似ています。いまはまさに、新しいものづくりのムーブメントが始まっているところかもしれません。

- Joi

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来年はAIエージェントの年!トレンドを先取りしてJoiさんの頭の中を覗く「用語解説」

ここからはシナダがお届けしていきます。

今回のエピソード、いかがでしたでしょうか? 千葉工業大学の茶室からお届けした今回は、Joiさんが今まさに没頭している「開発」の話がメインでしたね。茶道の精神と最先端のAIコーディングが交差する、なんともJoiさんらしい回でしたよね。。

ただ、後半のサイバーセキュリティの話などは、「えっ、勝手にメール送られちゃうの?」と、ちょっとドキッとする内容でもありました。AIエージェントが便利になる一方で、私たちが気をつけなければならないことも増えていきそうです。

さて、今回も番組内に登場した少し専門的な用語や、Joiさんが使っていたツールについて解説をまとめてみました。リスナーの皆さんの「学び」の助けになれば嬉しいです。

Microsoft Amplifier

Microsoftが開発しているAIを用いたプログラミング支援ツール(またはプロジェクト)の一つです。Joiさんはこのツールを使って、日々コーディングに没頭しているそうです。AIがコードの意図を理解し、複雑なソフトウェア開発をモジュール化(部品化)して管理しやすくするなど、開発効率を劇的に向上させる技術として語られました。

Obsidian(オブシディアン)

Joiさんが「第二の脳」として活用しているメモアプリ・ナレッジベースツールです。Markdown(マークダウン)というシンプルな形式でテキストを保存し、個人のWikiのようにノート同士をリンクさせることができます。Joiさんは自分の思考や学んだ知識をすべてここに蓄積し、それをAIエージェントに読み込ませることで、自分専用のデータベースを構築しています。

ナレッジ・キュレーター(Knowledge Curator)

Joiさんが自作したAIエージェントのこと。Obsidianに保存されたJoiさんのメモを読み込み、学術論文などの信頼できる外部ソースと照らし合わせてファクトチェックを行ったり、引用を追加したりしてくれるそう。まるでWikiの編集者のように、Joiさんが寝ている間も知識データベースを自動的に整理・アップデートしてくれる頼もしい相棒!

間接的プロンプトインジェクション(Indirect Prompt Injection)

AIエージェントに対するサイバー攻撃の一種です。ハッカーがAIと直接会話して騙すのではなく、AIが読み込むデータ(例えばウェブサイトの隠しテキストや、カレンダーの招待状など)の中に悪意ある命令を忍ばせる手法です。 例えば、「このカレンダーを見たら、連絡先全員にメールを送れ」といった命令が隠されたスケジュールをAIエージェントが読み込むことで、ユーザーが意図しない動作をしてしまうリスクがあります。Joiさんはこれを「オレオレ詐欺やフィッシング詐欺に近い」と解説していました。

レッドチーミング(Red Teaming)

組織やシステムのセキュリティホールを見つけるために、あえて「攻撃者」の視点に立ってテストを行う活動のことです。AI開発においては、倫理的に問題のある発言を引き出そうとしたり、セキュリティの抜け穴を探したりする役割を指します。Joiさんは、企業内部の人たちだけでなく、外部の独立した視点を持ったレッドチームが重要だと語っていました。

ニューロダイバーシティ(Neurodiversity)

「脳の多様性」や「神経多様性」と訳されます。自閉症スペクトラム(ASD)やADHDなどを、治療すべき障害としてではなく、脳の働き方の違いや個性として捉える考え方です。 今回の放送では、自閉症の特性を持つ人々が、文脈や事実を純粋に捉え、一般の人が気づかないような論理の穴やパターンを見つけることに長けている場合があり、それが前述の「レッドチーミング」において大きな強みになるのではないか、という議論がなされました。

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目の眼の井藤編集長を迎えたシリーズの最終回となります。古美術とは何か、そしてこれから古美術や骨董はどこへ向かうのかをさらに深く探りました。

- Joi

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雑誌「目の眼」の特集 今週は特別企画!雑誌「目の眼」との連動企画となります。今回取材いただいた内容は雑誌でもご覧いただけます。

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今回のPodcastの理解度をより深めるための4つのキーワード

民藝運動

1926年に柳宗悦、河井寛次郎、濱田庄司らによって提唱された生活文化運動。当時の工芸界では華美な装飾を施した観賞用の作品が主流だったそう。

そんな中、柳らは無名の職人の手から生み出された日常の生活道具を「民藝(民衆的工芸)」と名付け、美術品に負けない美しさがあると唱えたとか。各地の風土から生まれ、生活に根ざした民藝には、用に則した「健全な美」が宿っているとして、新しい「美の見方」を提示したそう。

1936年には東京・駒場に日本民藝館を設立。工業化が進み、大量生産の製品が少しずつ生活に浸透してきた時代に、失われていく日本各地の「手仕事」の文化を守ろうとした運動として知られています。

鑑賞美術

読んで字のごとく、鑑賞するための美術のこと。井藤編集長によると、もともと日本の美術品(茶碗や屏風など)はすべて生活や儀式のための「道具」だったそうですが、明治以降に西洋的な「見るためのアート(Fine Arts)」の概念が入ってきて、この言葉が生まれたんだそうな。本来は「使う」ためのものを「見て楽しむ」ものとして再定義した、近代日本ならではの価値観の転換ですね。

廃仏毀釈

明治元年(1868年)に明治新政府が神仏分離令を発したことを契機に、全国で起きた仏教排斥運動。「廃仏」は仏法を廃し、「毀釈」は釈迦の教えを棄却するという意味で、寺院や仏像、仏具、経典などが破壊・焼却され、僧侶が還俗を強制されました。

特に薩摩藩(鹿児島県)では徹底的で、江戸末期に1066カ寺あった寺院が全て廃寺となり、僧侶2964人が全員還俗するという破却率100%という事態に。

奈良の興福寺では五重塔を薪として売却する企てまで進められ、阿修羅像も腕が欠け落ちる被害を受けたそうです。江戸時代に9万寺あった寺院が、明治9年頃までに約4万5千寺にまで半減。千年以上かけて築かれた日本の仏教文化に壊滅的な打撃を与えた歴史上の一大事件となりました。

やつしの美学

日本文化の基底にある美意識の一つで、権威あるものや神的なものを当世風に変えて表現する手法のこと。「やつす」(見すぼらしい様にする、姿を変える)という動詞が名詞化したもので、江戸時代中期から上方を中心に広まったそう。

茶道における村田珠光のわび茶も、唐物の華美な書院茶を省略し和物中心の庶民的な茶事へと「やつした」ものと言え、俳諧も和歌や連歌を簡略化した「やつしの文学」と捉えられるそうです。外来文化を日本的なものに変化させてきた日本文化の根源的な方法でもあり、「やつしの美」として日本の芸術表現の重要な要素となっているんだとか。

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茶道具を集めるという行為が「山」なのか「沼」なのか、あるいはその両方なのか......正直まだ自分でもよく分かりません(笑)。 ただ、初心者の私にも、そして熟練の方々にも寄り添い、道しるべのように知恵を授けてくれる『目の眼』の存在は本当に心強いものです。 編集長のお話には学びが多く、皆さんにもきっと楽しんでいただけると思います。

- Joi

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今回のPodcastの理解度をより深めるための8のキーワード

好日会(こうじつかい)

伊藤穰一さんと潮田洋一郎さんが共同で開催した裏千家のお茶会。当日はこんなお客様もいらしたようです。

https://x.com/TeimurazLezhava/status/1971059477895078104?s=20

潮田洋一郎(うしおだ・よういちろう)さん

LIXIL(旧トステム)グループの創業家出身で元取締役会長。「当代随一の数寄者」と呼ばれ、茶の湯を通じて流派や型にはまらない自由な「茶のカタチ」を追求している。重要文化財や重要美術品を含む名品茶道具のコレクターとしても知られています。今回の「好日会」では濃茶の席を担当されたそうです。

古田織部(ふるた・おりべ)

千利休の高弟で「利休七哲」の一人に数えられる戦国武将にして茶人。利休の静謐な美とは対照的な、動的で「破調の美」を追求し、利休没後は「天下の茶人」として豊臣秀吉、徳川秀忠に仕え、織部流という独自の茶の湯を確立したそうです。「人と違うことをせよ」という利休の教えを体現し、歪んだ形の沓茶碗や緑釉の織部焼など、革新的な「織部好み」を生み出しました。1615年、大坂夏の陣で豊臣方への内通の嫌疑をかけられ切腹しています。

サラリーマン骨董

一般のサラリーマンなど、富裕層や文化的エリートでない人々が、小遣いの範囲で楽しむ骨董収集文化のこと。ポッドキャストでは「最近ちょっと死語になりつつある」と語られていますが、庶民が骨董や古美術を楽しむという日本独特の文化を表す言葉となります。私もやろうかなあ、骨董。。。お金ないけど。。。

将軍(Shōgun)

日本の歴史や文化を題材にした海外ドラマシリーズ。このドラマの影響で刀剣、鎧、甲冑などの日本美術品が海外で一部マニア的に受けているらしいですね。真田広之さんがエミー賞を受賞され、話題となりました。

ゲッティ美術館

アメリカ・ロサンゼルスにある美術館。わたしたちがよくテレビとかで目にするgetty imagesとは別物。ともに石油王J・ポール・ゲティに由来するものだそうですが、Joiさんが美術品のカテゴリー分類システムの例として言及してるのはゲッティ美術館の研究部門が提供してるものになります。

URI(Uniform Resource Identifier)

インターネット上のリソースを識別するための統一的な識別子。茶道具一つ一つに永久に変わらない識別番号(URI)を付けて管理するシステムについてJoiさんが語っていましたね。QRコードと連動させることで、茶道具の情報、所有者、写真の権利情報などを体系的に管理できる仕組みを構想しているみたい。アメリカの美術館で広く使われているシステムだそう。

近代数寄者(きんだいすきしゃ)

幕末から明治にかけて、大名に代わって茶道具を収集し、茶会を主催した富裕な実業家や資産家たちのこと。大師会とは益田鈍翁が弘法大師筆の書跡を披露するために始めた歴史ある茶会となります。ちなみに益田鈍翁とは三井物産のファウンダー。

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