【ブラウンダスト2】リベルタというキャラクター
「ブラウンダスト2」の登場キャラクター、「リベルタ」について。
私はこのゲームを、長い間リベルタのためにプレイしていました。しかし最近の流れの中で、自分の中でひとつ区切りがついてしまいました。
これは評価や総括ではなく、私が彼女をどう読んでいたか、その記録です。
※以下ストーリーのネタバレが含まれます。
0.リベルタが好き
私は彼女に惹かれていました。
私自身はあまり本も映画も嗜む方ではなく、特定のキャラクターに入れ込むという経験はしたことがありませんでした。
リベルタの初登場は12章、物語でいうと中盤以降。第一印象は『胡散臭い』
プレイ当時14章まで実装されていたので、ネタバレを踏んでリベルタがどういう登場をするかを既に知っていました。特に言うことなし。
転換点となったのは、彼女の語りで彼女の過去を聞く、
イベントストーリー「DELIGHT - Sin to Ashes」(以降DELIGHT)
私はこのDELIGHTの話がとても好きで、何度も読み返しました。
中身としては暗めの王道だと思うのですが、とにかくリベルタの語りがふわふわとしていて特徴的、暗転を利用して自分でツッコミなど緩急があり、表情と演出までついてくる。
なによりも、リベルタがくらーい話をしている間、始終笑顔でいる。
私は、リベルタが自分の過去をお涙頂戴で話していたら、彼女を好きにはなっていませんでした。
リベルタは「自分の話すことが他人からどう見えるか、それをよくみている」
1.リベルタは哀れか
彼女を語る上で避けて通れない言葉「哀れ」
DELIGHTでの、ラテルのこのセリフの切れ味が凄まじく、読んだ人ほぼ全員に「リベルタ=哀れ」を植え付けていきました。正気か、正気でないのか、Yes or Noで聞かれて感情で答える。私もこの展開自体は否定しません。あまりにも面白かった。
それでも私は一度も、リベルタを哀れだと思ったことがありません。
逆張りを言っているのではなく、単純に、ラテルが哀れだと言った理由もブレイドが笑う理由もわかるのですが、それはアンジェリカの手を振り払った行為が愚かで、その場面を切り取ってみた評価が哀れなのであって、リベルタ自身を指して哀れだというのではない。ここちょっと言葉にしづらいのですが、リベルタは友達がどういうものかを知っている、そうだと信じてきた存在もいる、でもそれを失った、そんな折に見えた光(オリビエ)があった、目の前に二つの手が同時に差し伸べられた、そんな状況でもう片方の手を選べるか、という話。
リベルタの話で描かれているのが「彼女は選択を与えられているようで、その実、選択の余地がほぼない状況に置かれている」ということ。
エルピスを助けに戻ることも、ポニーテールの侍女に強く当たってしまうことも、アンジェリカの手を振り払うことも、ラテルに鮮血刻印を戻すことも、彼女にとっては正解でもなんでもなく、ただそうするしかなかった。書いていて気付いたのですが、だからリベルタは利用する以上に、ラテルを気に入ってるようにみえたんですね。
アンジェリカが正義で、コキュートスが悪という前提があるから、表面だけをみればリベルタは自分を優先したように見え、リベルタは哀れだと、だからそんなやつは何をされてもいいと、ユーザーの中でそういった空気が漂います。
2.リベルタは確かめている
リベルタの発言は基本的に人を試しているようにみえます。
まず相手が反感を覚えるような、特に「そんなことはない」と言わせる言葉を選びます。相手の反応をみて、その後の対応を決めています。これは人によって、冷たく、空気の読めない、面倒くさい、残酷さに映ります。なぜこのようなことをするかというと、かまちょだから、ではなくて、自分の評価を他人の中に見出すタイプだから、です。評価が良ければ多少の軽口は受け流せて、気に入らない人であればムッとする。相手が本音をみせるか建前を使うかを、自分の発言で引き出している。相手との距離感をそこから判断している。それを、他者を引き離す方向に使うのでなくて、自己の方向へ向かわせる。この確認行為は一人に対し一度やって終わり、という類のものでなく、常に行われます。「自分が相手のどこにいるのか、自分はそこにいられるのか、ずっと問い続けている」のです。
厳格な父親、強すぎる信仰心、貴族の生まれ…取り囲む要素が彼女を孤立させていったのは想像に難くありません。
3.リベルタはいい子
もちろんここでいういい子、というのは、子供が言うことをよく聞いて、優秀で、という意味ではありません。誰かにとって都合がいい、というのは半分そうです。
リベルタは、上記の問いを自分の中で完結させています。相手からの解釈を待ちません。
リベルタは、友達を殺す経験はもう御免、と言いました。友達のように接していたポニーテールの侍女に拒絶され、自らも行き場のない悲しみで突き放してしまう。侍女からの好意自体を理解していたのに、それを受け取れなかった。父親に脅され、自分を守るためにはその関係を捨てるべきだ、と理解できていたのに、それをしなかった。守れなかった侍女を、今もまだ友達と呼んでいる。なぜか。
これが、いい子だから、でなかったら何だというの?
リベルタは自分で引いた線を大事にしている。自分でみたことを嘘にしない。善悪でない、責任があるかないかでもない。常に他者の存在を許す。それがどんなに自分を傷つける結果になっても、その境界を踏み越えない。彼女は、「自分も他者も軽く扱わない」。自分のしたことを、ずっと抱え続けている。
だからこそ、その線を越えて漏れ出る本音がたまらなく切なくて苦しい。
4.だからこそ、このリベルタを信じられない
シーズンイベント:ゴールデン・タマゴにて、リベルタは言いました。
「心配しないでください。口先だけの約束はしませんから」
その結果がこれです。
私がDELIGHTと19章まで読んだリベルタと、享楽探究者リベルタが、あまりにも、あまりにも乖離してしまった。パラレルだから、と言われればそれまで。でも、同じキャラクターなのだから、芯の部分は同じであってほしかった。口先だけの約束はしない、という言葉にそれをみていた。
しかし彼女は新カセット・イベントで、只々、怠惰を叫ぶキャラクターとして描かれていました。休みたい、修行したくない、私は悪くない、と自分を言葉の中心に置くようになっていました。ユーザーがリベルタを「哀れ」と扱うのを、公式が強く迎合した形にみえました。
私がリベルタを好きだった理由は、彼女が言葉を使って、人との距離を測り続ける存在だったからです。だからこそ、その言葉が、自分を守るためではなく、自分を正当化するために使われ始めたとき、私は強い断絶を感じたのです。
私が信じていたリベルタがいなくなってしまったと、そう思ってしまったというお話でした。



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