見出し画像

なぜMMORPGは衰退したのか ― 構造的検証 ―

かつてあれほど賑わっていたMMORPGの世界が、なぜいまではひっそりとした存在になってしまったのか。
このテーマは、私が長い間、何度も考え続けてきたものです。

私自身、ガディウス、ラグナロクオンライン、マビノギといったゲームで長い時間を過ごしてきました。
その中で得た楽しい思い出はいまでも色濃く私の中に残っており、だからこそこの問いから離れられずにいます。

以下は、その経験と考察を踏まえてまとめた私なりの結論です。

初期のMMORPGは、不便で非効率だった代わりに、人と人が関わらなければ成立しない設計でした。
情報もアイテムも人づてで流通し、職業や立場の違いは自然な役割分担として機能していました。
ゲーム世界そのものが、一種の「社会」を形成していたのです。

振り返ってみれば、当初のバランスは極めて絶妙だったとも言えます。
広大に広がっていくマップ、未踏の領域、未知のアイテムやスキル。
世界には確かな奥行きがあり、その先に何があるのかを想像するだけで胸が躍りました。

キャラクター育成も効率一辺倒ではありませんでした。
ステータス配分やスキル選択には、プレイヤーそれぞれの個性やこだわりが色濃く反映され、最適解はまだ定まっておらず、試行錯誤そのものが楽しさでした。

他人の装備や育成方針を過度に気にすることも少なく、
そうした攻略重視のプレイスタイルは、当時はあくまで少数派だったように思います。
多くの人にとって、効率は最優先事項ではありませんでした。

レベル上げですら数ある遊び方の一つに過ぎず、
街や露店をぶらぶら眺めて回る日もあれば、
まだ行ったことのないダンジョンやモンスターを見に行く日もありました。
焚き火を囲んでただ話をするだけ、そんな何気ない時間を楽しむ人も多く、
世界の中で「暮らす」感覚が確かに存在していました。

しかし運営は、
・育成の延長(転生・拡張)
・効率化と数値インフレ
・課金装備の導入
といった「改善」を重ねる中で、設計の重心を人から数値へと移していきました。

その結果、コミュニティやコミュニケーションは目的ではなく手段へと貶められ、
プレイヤー同士の関係は、経験値やアイテムをより多く得るための最適化・効率化に置き換えられていきます。
人と人とが作っていたMMORPGという社会は、静かに姿を消していきました。

ラグナロクオンラインのプロンテラ南での臨時公平パーティーや、
マビノギの狩場で自然発生していた野良パーティーがだんだんと消滅していった光景を思い出せるでしょうか。
それはプレイヤーの気質が変わったからではなく、
そうした関係性を必要としない設計へと変わった結果だったのです。

また、私は外部ツールによるコミュニケーションの台頭が、
MMORPG衰退の直接的な原因だとは考えていません。
特別親しい間柄や集団戦での連絡手段として、ゲーム外の手段が増えただけであり、
人が人と関わろうとする欲求や、ゲーム内でのコミュニケーションの必然性が失われたわけではないからです。
実際、掲示板やSkypeなど、ゲーム外での交流手段は当時から存在していました。

決定的だったのは、
熾烈な育成競争を前提とした設計が、プレイヤーに過剰な効率化の探求を強いたことです。
追いつくために、取り残されないために、
人と関わることよりも、数値を最短距離で積み上げることが優先されるようになりました。

なぜそのような事態が起きたのかについても、説明は容易に付けられます。
それは本質的に、コンテンツ不足への対応マネタイジングの追及という、
運営側の経済的判断と動機によるものでした。

MMORPGは膨大な開発・運営コストを要する一方で、
コンテンツの供給速度にはどうしても限界があります。
プレイヤーの消費速度がそれを上回ったとき、
運営は新たな遊びを生み出す以外の延命策――
育成の長期化、数値インフレ、課金による補填――を選ばざるを得なくなります。

これらは短期的には有効でしたが、
結果としてプレイヤーに熾烈な競争と効率化の圧力を与え、
MMORPGが本来内包していた社会性を着実に摩耗させていきました。

こうしてMMORPGは、
「人と生きる世界」ではなく、
個人が黙々と数値を積み上げる作業場へと変質していったのです。

社会性を核にしたゲーム設計を、運営自身が放棄した瞬間に、MMORPGはその役割を終えました。
MMORPGは衰退したというより、社会性を失ったことで、本来の「世界」としての存在ではなくなった

私はそう結論付けています。

いいなと思ったら応援しよう!

コメント

コメントするには、 ログイン または 会員登録 をお願いします。
なぜMMORPGは衰退したのか ― 構造的検証 ―|らぶらいむ
word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word word

mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1
mmMwWLliI0fiflO&1