【衆院選】高市首相「戻ってきてもらわな困る」…自民・武田良太氏が議席奪還 福岡11区、政治とカネによる苦杯から再起 「そこまでやるか」選挙戦では“禁じ手”も
返り咲いた。福岡11区の自民元職、武田良太氏は8日、福岡県田川市で「どん底に落ちた私を推してもらった」と頭を下げた。前回「政治とカネ」で苦杯をなめ、バッジを外した実力者。花束を受け、初めて表情を崩した。自民を“圧勝”に導いた「高市旋風」は、復権に向け手ぐすね引く大物にも再起の道を授けた。(大坪拓也) ■ 麻生太郎氏「まさか君の弔辞を私が」…葬儀での野田友視さんの遺影(参列者提供) 平たんな進路ではなかった。公示後の1月29日。大方の予想に反して維新の前職が浸透しているとの報に接する。事実上の一騎打ちだった前回と異なり、中道や参政の候補も立つ混戦で票が割れ、武田氏に有利になる-。見立ては崩れた。
「選挙区がぐちゃぐちゃになっている」
前々回まで全国屈指の蜜月関係だった公明の支持母体、創価学会の内部からも「もう応援できない」。自民派閥の裏金事件が尾を引いていた。現場の不信感の根深さを突きつけられた。 時に強引な武田氏の手法を快く思わない地方議員は「1度の落選ではみそぎにならない」と再び背後に回った。武田氏の捲土(けんど)重来を阻もうと結束を保った。 不安にかられた武田氏は公示間際、周囲に胸の内を漏らした。「選挙区がぐちゃぐちゃになっている」
「高市さまさま」
流れが変わったのは、衆院解散の奇襲に打って出た高市早苗首相が来援してから。「戻ってきてもらわな困る」。福岡県行橋市のJR駅前を埋め尽くす聴衆に首相は力強く訴えかけた。 歓声が湧き、無数のスマートフォンのカメラが女性宰相を捉える。武田氏とのツーショット写真も交流サイト(SNS)で拡散。「高市さまさま」。陣営関係者は喜色を浮かべた。車道脇で手を振った武田氏も「反応が違う」と破顔した。
「そこまでやるか」
息を吹き返した陣営は「やれることは何でもやる」とかじを切る。前回は見送った、知名度の高い小泉進次郎防衛相の来援も当て込んだ。公示前の演説会場では票を得るため、敵方につく公明の地方組織が発行したビラを武田氏の支持者が配る“禁じ手”も飛び出した。ある市議は「そこまでやるか」と言葉を失った。 選挙前。近辺に「背水の陣で臨む。腹も決めている」と語り、再び負ければ政界引退すらほのめかした武田氏。師と仰ぐ二階俊博元幹事長や菅義偉元首相らが去った永田町で、権勢を振るう序章となるのか。 8日、今後の自身の役割を問われると「人事も伴うことなんでね。政治課題に取り組む態勢をつくりたい」。巻き返しの決意をにじませた。
西日本新聞