創価学会は全力で戦った? 新党・中道、衆院選で大敗【解説委員室から】
北海道も踏みとどまる
さらに、東京以上に労組の組織が強固とされる北海道は、前回衆院選の小選挙区で、立民は自民に対し8勝3敗。比例は、立民69万4578(得票率29.0%)、公明25万3344(同10.6%)で合わせて94万7922票(同39.6%)。また、参院選の比例は、立民44万1997(同17.4%)、公明21万9288(同8.6%)の計66万1285票(同26.0%)だった。 これに対し、今回の衆院選は、小選挙区で中道はわずか1勝。比例は60万5889票(同24.6%)。前回と比べ落ち込みが激しいが、参院選との比較では、東京以上に踏みとどまっているのが分かる。東京と同様、北海道の学会も、中道票の確保に全力を挙げたようだ。 一方、小選挙区では、新党結成時の期待通り、学会の組織票が立民出身の中道候補に上積みされたのだろうか? 立民を批判し、公明を支援してきた現場の学会員には当然、戸惑いもあっただろう。 これを分析する材料も、北海道と東京にある。というのは、前回衆院選で公明は、北海道と東京の各1選挙区に候補者を擁立し、立民と議席を争っていたからだ。 北海道10区は前回、立民・神谷裕氏と公明・稲津久氏の一騎打ちとなり、神谷氏が勝利。得票数はそれぞれ7万8362(同50.8%)、7万5990(同49.2%)。 そして今回は、中道から出馬した神谷氏と自民・渡辺孝一氏の一騎打ちで、得票はそれぞれ、7万4908票(同50.0%)、7万4887票(同50.0%)。神谷氏がわずか21票差で逃げ切った。神谷氏には、学会の組織票が加わったにもかかわらず、得票率を低下させた。
公明撤退の選挙区、得票率低下
また、東京29区は前回、公明・岡本三成氏に立民・木村剛司氏ら野党の4候補が挑み、岡本氏が6万0100票(得票率33.2%)を得て勝利。木村氏は4万7996票(同26.5%)で落選した。 今回は、岡本氏が比例に回り、地元の学会は中道の木村氏を全面支援。自民の長沢興祐氏ら5人と議席を争った。結果は、長沢氏が8万0538票(同41.4%)を得て初当選。木村氏は4万5358票(同23.3%)の完敗だった。 東京29区は、荒川区と足立区の一部が選挙区で、都内でも学会の組織力が強いことで知られる。にもかかわらず、木村氏は得票数・率ともに低下させた。木村氏の演説会には、東京の学会幹部がチェックに訪れており、少なくとも幹部クラスは、木村氏のテコ入れに全力を挙げた。 もし、幹部の指示通り、比例で中道に投票した学会員ら旧公明の支持者がほぼ全員、選挙区でも木村氏に1票を投じていれば、長沢氏との票差が相当、詰まっていてもおかしくない。 公明党が候補を立てた選挙区では、学会幹部の指示の下、会員が手分けして知り合いを回り、投票をお願いするのがこれまでの常とう手段。行動力で会員以外の支持を取り付け(いわゆるF=フレンド=票取り)、票を積み上げてきた。 今回は、東京に限らず、各ブロックの比例名簿の上位を公明出身者が占めた。異例の短期決戦を新党で臨んだ事情もあり、学会としては、比例での中道票の獲得を重視。小選挙区の候補者の支援にまで、十分手が回らなかったに違いない。 もちろん、一部の会員には、かつての「敵」を応援することへの抵抗感もあっただろう。北海道10、東京29の両選挙区での得票数・率が、このことを裏付けている。 ◆筆者紹介◆ 高橋正光(解説委員長) 1986年4月時事通信社入社。政治部首相番、自民党小渕派担当、梶山静六官房長官番、公明党担当、外務省、与党、首相官邸各クラブキャップ、政治部次長、政治部長、編集局長などを経て、2021年6月から現職。公明党担当として、連立政権の発足を取材。