高市早苗首相が1月23日、衆院を解散しました。新しい衆院議員を選ぶ選挙は27日に公示、2月8日に投開票となります。
首相は今なぜ、このタイミングで衆院を解散したのか。野党はどう対応するのか。ポイントをお伝えします。
記事でわかること
①首相が衆院解散、なぜ?
②首相はいつでも解散できる?
③冒頭解散の問題点は? 野党の反応は?
④経済への影響は?
⑤選挙の構図はどうなる?
⑥首相の説明は?
⑦解散するとき、なぜ万歳?
①なぜ、このタイミングなの?
高市首相(自民党総裁)が通常国会の冒頭で衆院を解散したのは、内閣支持率が高いうちに総選挙をして自民の議席を増やし、政権基盤を安定させる狙いがあるとみられる。
国会で予算委員会が始まると、野党から追及を受け、支持率が低下する可能性もあった。
衆院(定数465)では、自民と日本維新の会の連立による高市政権の発足時(昨年10月)、両党合わせても過半数(233議席)に満たなかったが、自民が11月に無所属の3人を国会内の会派に取り込むことで233議席に達し、ギリギリ過半数を維持。
参院では過半数に届かない。
加えて中国との関係が、首相の昨年11月の台湾有事に関する国会答弁を受けて悪化した。
官邸幹部が「レアアース(希土類)の輸出をやめると言われたらおおごとだ」と警戒するなか、中国側が日本向け軍民両用製品の輸出規制強化を発表。
レアアースも対象の可能性があり、官邸内の危機感は強まっていた。
中国の対応次第では、高市政権が看板として掲げる経済に影響が出てくる可能性がある。
こうした状況が改善しなければ、通常国会での予算委員会で野党から追及を受ける可能性があった。
政権内には「野党が準備できないうちに選挙をやるのがいい」との意見もあった。
②首相は、いつでも衆院を解散できるの?
衆院解散は今回も含めてこれまでほとんどの場合が、いわゆる「7条解散」だ。憲法7条で、天皇が「内閣の助言と承認」によって行う国事行為の一つとして、衆院解散が挙げられている。
このため解散は、内閣に実質的な決定権があると解釈されている。
ただ、首相が解散権を恣意(しい)的に行使しかねないという批判もある。
実際、首相が、内閣支持率が上がるなど自分に有利と考えるタイミングに解散するケースが少なくない。
③冒頭解散の問題点は? 野党の反応は?
今回解散は異例である点が多く、問題が指摘されている。
まず、衆院議員の任期は4年だが、前回衆院選からまだ1年余りで、任期が3分の2残っている。解散する1月23日時点の衆院議員の在職日数は454日で、7条解散では戦後最短だ。
通常国会で新年度予算案審議に入らずに冒頭で解散するのも、極めて異例のことだ。通常国会での冒頭解散は60年ぶりの2回目で、1月召集となった1992年以降では初めて。解散(1月23日)から16日後の投開票(2月8日)は戦後最短となる。
高市首相自身、物価高対策や経済対策を最優先と位置づけ、「年明けの国会で説明を尽くし、予算案、関連法案の速やかな成立を目指す」(昨年12月26日)などと強調していた。
しかし、冒頭解散によって、国民生活に関わる新年度予算の年度内成立は困難になる。政権幹部は「物価高対策が手元に届いていない状況で予算案を飛ばせば、究極の『自己都合解散』だ」と危ぶむ。
野党は冒頭解散に批判を強めている。立憲民主党の野田佳彦代表は「『働いて働いて働いて』と言っている割に政治空白を作り、物価高や経済のために働かないで信を問うというやり方が果たして良いのか」と指摘した。