私立大学の入学金、辞退者に返さない大学側の胸の内 収入減るなら「授業料上げる」の声も
よりどころは最高裁判決
各大学がよりどころとするのが、私立大20校の入学辞退者34人が前納した入学金、授業料などの返還を大学側に求めた訴訟16件の上告審判決だ。最高裁は2006年、入学金に関しては「学生が大学に入学できる地位を取得するための対価。その後に在学契約が解除されても大学は返還義務を負わない」との判断を示した。 加えて、入学辞退者へ入学金を返還した場合、収入減を補う手だてが必要にもなる。広島県内のある大学は「光熱費の値上がりもきつい。入学金収入が減るなら、授業料の引き上げもあり得る」と漏らす。別の大学も「入学金収入が減ると大学運営上は打撃。せっかく充実させた奨学金の給付にも影響が出るかもしれない」と打ち明ける。 少子化などに伴い日本の私立大の財政事情は厳しい。日本私立学校振興・共済事業団(東京)の調べでは、23年度、562の大学法人のうち252法人(44・8%)が赤字だった。「将来の経営状況」についても「厳しい」「やや厳しい」と答えた大学が513法人のうち66・8%で5年前の前回調査よりも約22ポイント増えた。 入学金の負担軽減が、入学辞退者を生む「悪循環」への懸念もある。広島県内の私立大では、今春の入学者数が入学定員に満たない大学が14校中10校あった。大学関係者からは「入学辞退者にとって優位になる入学金施策をつくっても、大々的にアピールはしない。うちに入ってほしいから」という切実な声も漏れる。 検討中の大学は、他校の動きに気をもむ。広島県内のある大学は「県内の他の大学や全国にある学部構成の似た大学に動きが出れば、対応を変えないといけないかもしれない。大学選びのポイントになる可能性もあり、併願先に選ばれなくなる恐れがある」。
中国新聞社