仕事もゲームも、配線も妥協しない。HDMI 2.1 KVMスイッチで構築する理想のデスクセットアップ
コロナ禍をきっかけに、自作PCやカスタムキーボードの沼に深く沈んだ人は多いはず。僕もその一人です。
最高のゲーミングPCを組み、打鍵感にこだわったキーボードを手に入れたのに大きな壁にぶつかりました。
「この最高な入力環境を、仕事用のMacBookでも使いたい」
いちいちケーブルを抜き差しするのは面倒すぎる。かといって、間にスイッチを挟んでゲームプレイ中に遅延が発生するのは絶対に許せない。 結果、仕事中はMacBookのキーボードで妥協する日々が続いていました。
「ゲームの応答速度も解像度も一切犠牲にせず、仕事とシームレスに行き来したい」 「さらに、KVMスイッチで物理的にケーブルが増えても、デスク上には一切ノイズを残したくない」
そんなワガママを全部叶えるために、今回はデスク環境を再構築しました。
鍵となったのは、HDMI 2.1に対応したTESmart 8K KVMスイッチと、入手困難なサブタッチディスプレイCorsair Xeneon Edge。そして、それらを支えるこだわりの裏配線です。
決して安くないTESmartのKVMスイッチの人柱的備忘録、溢れるケーブルを美しく整えるケーブルマネジメント術など、こだわり貫いたデスク構築の記録を残します。
Chapter 1. 240Hzウルトラワイドの下に「司令塔」を。Corsair Xeneon Edgeのアームマウント
デスクの主役は、もちろん240Hz駆動のウルトラワイドモニターですが今回の「裏の主役」とも言えるのが、発売から品薄が続き、ようやく手に入れることができたCORSAIR XENEON EDGEです。
(※今回の本筋ではないですがやっとゲットできてテンション上がってるので語らせてください。)
これは2,560×720解像度を持つワイドタイプのタッチスクリーン。 システム監視、Discordの常時表示、そしてショートカットキーを並べてバーチャルStream Deckとして使うなど、メインモニターの作業領域を侵食せずに「情報」だけを表示できるデスクの司令塔です。
この素晴らしいデバイスを導入するにあたり、一つだけ気になるポイントがありました。
「付属のスタンドを使ってデスク上に置きたくない」
デスクの天板は極力何も置かれていない状態を保ちたい。そこで、モニターアームの名作Herman Miller Floと、カメラ機材メーカーLeofotoを組み合わせた、独自のマウント方法で取り付けました。
Herman Miller Floの「根本」を活用
僕がメインモニター用に使っているアームはHerman MillerのFlo(旧バージョン)。このアームの「ポール部分(根本)」に目をつけました。
ここに、三脚などのカメラ機材で有名なLeofotoのマルチリンクアダプターとマジックアームを装着します。
「なぜLeofotoなのか?」 理由はシンプルで、デスク上のスピーカースタンドにもLeofotoのクランプとマジックアームを使用しているからです。統一感出せるところは出すのが大事。
これによりメインモニターの真下に、空中に浮いているかのようにサブモニターを配置することができました。
参考にする場合の注意点(トラブルシューティング)
もしこのFlo × Leofotoを真似したいという奇特な方がいれば、2つだけ注意点があります。
固定にはやや力が必要 径がぴったりすぎてマルチリンクアダプターを強く締め込む必要がありました。
ネジの長さ問題 ここが落とし穴だったのですがマジックアームの先端にある1/4インチネジが、Xeneon Edgeのネジ穴に対してわずかに長すぎたのです。 そのままでは最後まで締まりきらず、モニターがグラグラしてしまいます。別途厚さ1mm程度のワッシャーを噛ませることで、ガッチリと固定することができました。
この微調整を経て、メインモニターとサブモニターが一体化した、コックピットのような没入感のある視界が完成しました。
Chapter 2. フルスペックを切り替えるTESmart HDMI 2.1 KVMスイッチ
デスクを「仕事」と「遊び」の両方で使い倒す人間にとっての課題が「入力ソースの切り替え」です。
以前の自分は、モニターの裏側に手を回して操作ボタンを探り、ディスプレイを切り替えたり、切り替えの手間を惜しんで会社用のMacBookではお気に入りのカスタムキーボードを使わず、ラップトップ本体のキーボードで妥協していました。
「スイッチ一つで、すべての環境をごっそり入れ替えたい」 「でも、ゲームのFPSや応答速度は1ミリたりとも犠牲にしたくない」
そう願って導入したのが、TESmartのHDMI 2.1対応 2入力1出力 KVMスイッチです。
なぜDisplayPortではなく「HDMI 2.1」なのか?
KVMスイッチを選ぶ際、多くのPCゲーマーはDisplayPortモデルを検討するかもしれません。しかし、僕はあえてHDMI 2.1モデル(2入力1出力)を選びました。これには明確な理由があります。
僕が使うウルトラワイドモニターは、3,440×1,440pxの高解像度かつ240Hz駆動。 このスペックを余すことなく、圧縮なしで転送するには、DisplayPort 1.4の帯域幅(最大32.4Gbps)では心許なく、DSC(映像圧縮伝送)が必要になります。一方で、HDMI 2.1は十分な帯域幅(最大48Gbps)を持っています。
また、TESmartの記事でPCゲームはDisplayPort推奨というのも見ましたが、理論上、帯域に余裕があるHDMI 2.1の方が正義だろうという判断です。
結果は大正解。 KVM経由でも240Hz駆動は安定しており、懸念していたゲームでの入力遅延やブラックアウトもなし。自分はフォートナイトをプレイしていますが、30代おじさんの反射神経では遅延があるのかないのかわからないレベルって感じです。(※ただし、HDMIケーブルの品質・相性問題だけはシビアなので、認証済みの高品質なケーブルで統一することを強く推奨します)
Macを「ケーブル1本」にするための、もうひとつの戦い
ゲーミングPCとの接続はHDMI 2.1ケーブルで直結するだけなのでシンプルです。しかし、会社用のMacBookに関しては、もうひと工夫必要でした。
会社に持ち運ぶことも多いため、自宅のデスクに戻った時の接続は「ケーブル1本」で済ませたい。 そこで、KVMスイッチの手前にCalDigit SOHO DockというコンパクトなUSBハブを噛ませ、映像・USB・給電を一本化する運用をしていました。
しかし、ここでKVMスイッチの洗礼を受けます。
当初、CalDigit SOHOのHDMIポート(規格は2.0b)からKVMへ出力したところ、画面が映るまでに30秒近く点滅を繰り返し、信号が不安定になってしまいました。KVMスイッチを挟まなければ問題なく使えていたのに、KVMスイッチを通すとダメになる。
おそらくボトルネックはSOHOのHDMI 2.0bポート。KVM側の要求するハンドシェイクとうまく噛み合っていないようでした。
そこで、SOHOのDisplayPort 1.4ポートを使う作戦に変更。UGREEN製の「DP 1.4 to HDMI 2.1」アクティブ変換ケーブルを使ってコネクタ形状を変換してKVMに入力しました。 すると不安定さがなくなり安定出力されるようになりました。(使っていない時もケーブルのHDMI側コネクタがほんのり熱を持つのが気になるけど)
「KVMスイッチ環境では、規格を厳密に守らないと信号は通らない」 これは大きな学びでした。
「天板裏・手前」の特等席に設置
機能面での課題はクリアしましたが、デスクすっきり勢としての課題はこれからです。 KVMスイッチは、デスクトップPC、Mac Book、モニター、キーボード、マウス……と、あらゆるケーブルが集結する「配線のハブ」です。これを無造作にデスクの上に置くなんてナンセンス。かといって、手の届かないデスクの奥深くに隠してしまうと、今度は「切り替えボタン」が押せなくなる。(リモコンも付属していますが、デスク上にリモコンが増えるのもまたノイズです)
そこで導き出した最適解は、「デスク天板裏の、一番手前」への設置でした。(これをするためにKVMスイッチ付属の高品質なケーブルを使うのは諦めました。)
ここなら、座ったまま手を伸ばせばブラインドタッチで切り替えボタンにアクセスできます。前面にあるUSBポートへのアクセスも容易。 さらに、このモデル(2入力1出力版)の素晴らしい点は、キーボード・マウスのポートが「背面」にあることです。 これによって、ごちゃつくケーブル類はすべてデスクの奥へと流し、操作部だけを手元に残すことができました。 機能性と見た目の美しさ。この両方を満たすには、この配置とこの機材しかあり得ませんでした。
Chapter 3. 見えない場所こそ美しく。特級配線整理士への道
KVMスイッチの導入は、デスク機能の向上と引き換えに、ケーブルの本数が倍増することを意味します。
デスクトップPCとMacからそれぞれ映像とUSBが伸び、モニターへ出力され、キーボードとマウスも繋がる……。何もしなければ、デスク裏は一瞬でスパゲッティと化します。 ここからが配線整理士の腕の見せ所。
目指したのは「サーバー室」の整然さ
単に「見えなければいい」というレベルではなく、サーバー室で見られるような、幾何学的に整列された「並行配線」を目指しました。ケーブルポルノとかって言われるやつです。
使用したのは、両面テープ式のケーブルクリップ。 これを天板裏に等間隔に貼り付け、複数のケーブルを「横並び」に這わせていきます。
重ならないようにそろえて曲げ、目的地まで直線ルートで導く。 この作業を繰り返すことで、乱雑だったケーブルは電子回路のようなきれいなラインを描き始めます。KVMスイッチ本体も強力両面テープで固定し、ケーブルにかかるテンションも少なくなるように配置にしました。
余ったケーブルは「闇」へ葬る
とはいえ、市販のケーブルは長さが決まっているため、どうしても「余り」が出ます。この余剰分が垂れ下がると、全てが台無しになります。
そこで活躍するのが、目隠しカバー付きのケーブルラックです。 美しく整列させた配線の「余った部分」だけを、このラックの中に押し込みます。
整然とした直線の配線だけを天板裏に残し、不格好な余剰部分はトレーの中へ隠す。 このメリハリこそが、外から見た時の圧倒的なスッキリ感を生み出します。
自己満足こそが、最強の生産性向上ツール
「どうせ裏なんて誰も見ないじゃないか」 そう思うかもしれません。だけど自分だけは知っています。 このデスクの裏側には一寸の乱れもない秩序が存在していることを。
見えない場所までコントロールできているということ。ノイズが一切ない空間。 この自己満足こそが、デスクに向かった時の集中力を高め、結果として仕事の生産性やゲームのスコアを引き上げてくれる、、、はず。多分。
終わりに
視界にあるのは、宙に浮く2つのディスプレイと、お気に入りの入力デバイスだけ。 苦労したKVMスイッチも、ケーブルたちも視界の外で静かに完璧に仕事をしています。
最後に、今回使った機材のデスクレシピを置いておきます。あなたのデスク構築のヒントになれば幸いです。



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