台湾の頼清徳総統が防衛力強化に向けて計上を目指す計1兆2500億台湾元(約6兆1600億円)の特別予算について、立法院(国会に相当)で多数を占める野党が審議入りを阻止し続けている。
中国の武力侵攻を抑止するため、頼氏は昨年11月、2033年まで8年間にわたる特別予算を計上すると宣言した。しかし対中融和に傾斜する最大野党の中国国民党と第2野党の台湾民衆党は、透明性の欠如などを理由に、特別予算を計上するための条例案の審議入りを10回にわたって否決している。
制服組トップら失脚で「貴重な時間」
明確な親中路線を掲げる国民党の鄭麗文(てい・れいぶん)新主席が昨年11月に就任した時点で、こうした状況は予想できた。鄭氏は10月末、産経新聞の取材に対し、30年までに防衛予算を域内総生産(GDP)比5%とする頼総統の方針に「軍拡競争で平和をもたらすことはできない。非合理的な投資だ」と反対を明言していた。
台湾は、中国に軍事的冒険を思いとどまらせる最後のチャンスを逃すかもしれない。
国防部(国防省)系シンクタンク「国防安全研究院」の蘇紫雲研究員は、中国軍制服組トップの張又俠(ちょう・ゆうきょう)中央軍事委員会副主席らの失脚により、台湾侵攻の準備は「少なくとも5年遅れる」と指摘。その上で「この時間は貴重だ。予算増額を加速させ、より多くの兵器を準備しなければならない」と強調する。