今回の論文が示したのは、「女子の自閉症が遅れて出てくる」という話ではありません。
幼少期では従来どおりASD診断は男子に多いものの、思春期以降に女子の診断が増え続け、累積診断率は20歳前後で男女ほぼ1:1に近づく。
この現象を、著者たちは発症の遅れではなく診断の遅れだと解釈しています。
なぜ女子は遅れて診断されるのか。
ひとつに「診断基準そのものが男児に目立つ症状を中心に構築」されてきた点が指摘されています。
「教室で問題として可視化されやすい行動」が診断の入口になってきた歴史があります。
一方で女子の特性は、静か、真面目、一人で過ごせる、空気を読みすぎる、我慢して合わせる、といった形で表れやすい。
これらは支援のサインではなく、「内向的で大人しい女子」「手がかからない子」として「キャラクター」として許容されやすい文化があるような気がします。
これは支援の現場では、学校内だけでなく、家庭内のほうが分かりにくい、気づきにくい感覚があります。
思春期以降、人間関係が複雑化し、暗黙の了解が増え、自己管理と自己責任が強く求められる段階で、難しさが出てくる。
本人の「困り感」が見えやすくなります。「適応出来なさ」には親は気づきやすいですが、本人の特性に由来するとは感じにくいように感じます。
家庭内でのみ成り立つコミュニケーション形式ができていて、親子の意思疎通など違和感を持たないというケースが見受けられます。