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なぜ外国人の不起訴が増えているといわれるのかを検証──不起訴2.6倍増?

昨今、インターネット上では「外国人は不起訴処分が多く、起訴されにくい」といった言説が散見される。こうした声に触れるたび、漠然とした不満や不公平感がよぎるのかもしれない。果たして、この認識は事実に基づいているのだろうか。本稿では、外国人の不起訴率について検証してみた。


起訴と不起訴の定義

まず、起訴、不起訴の定義について説明する [1]。

  • 起訴:公訴(裁判にかけることを求め申立)を提起すること。

  • 不起訴:検察官の行う終局処分のうち、公訴を提起しない処分のこと。主に次のような場合不起訴となる。

    • 起訴猶予:被疑事実(事件を起こした事)が明白な場合において、被疑者の性格,年齢及び境遇、犯罪の軽重及び情状並びに犯罪後の状況により訴追を必要としないときなど。

    • 訴訟条件を欠く場合:被疑者が死亡したとき、親告罪について告訴が取り消されたときなど。

    • 被疑事件が罪とならない場合:被疑者が犯罪時14歳に満たないとき、被疑者が犯罪時心神喪失であったときなど。

    • 犯罪の嫌疑がない場合 :被疑者が人違いであることが明白になったとき、又は被疑者がその行為者であるかどうか、若しくは被疑者の行為が犯罪に当たるかどうかの点について認定すべき証拠がないことが明白になったとき、又はこれらを認定すべき証拠が不十分なときなど。

本稿では起訴、「不起訴」と「不起訴」のうちの嫌疑の「在る起訴猶予」と、嫌疑のないもしくは罪に問えない「その他の不起訴」の4つを基に検証する。


外国人と日本人の起訴と不起訴の比較

では不起訴人員と割合を見ていこう。検察統計調査の検察統計を基に以下の表を作った[2][3]。

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起訴率は2006年外国人55.3%、日本人49.1%、2015年外国人43.5%、日本人43.6%、2023年外国人41.1%、日本人39.5%となっている。
不起訴率は2006年外国人44.7%、日本人49.1%、2015年外国人56.5%、日本人56.4%、2023年外国人58.9%、日本人60.5%となっている。

外国人の起訴率は2006年-2023年で約3割減、日本人は約2割減、不起訴は外国人が約3割増、日本人が約2割増となっている。

この結果から、増減率で1割程度の差があるものの、外国人の起訴率と不起訴率は日本人とそれほど大きな差はないことが分かった。ただし、気になることも在る。

起訴猶予率とその他の不起訴の割合

筆者と同じように、この表を見て気になる点が在る人はいるのではないだろうか。そこでグラフにして比較してみた。

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外国人の起訴猶予率は2006年-2023年の比較で約17%減少、日本人の起訴猶予率は約16%増となっている。

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「その他の不起訴率」はが2006年-2023年の比較で外国人は約162%増、日本人は約23%減となっている。

上記のように外国人と日本人では増減が逆に推移している。特に外国人の「その他の不起訴率」は162%増2.6倍と大幅に増える一方で、日本人は23%減っている。この点がもしかしたら外国人の不起訴が増えていると言われる理由なのかもしれない。

どうしてこの様な結果になったかは不明である。なぜ不明なのかそれは不起訴理由が不明だからである。

不起訴理由は謎

不起訴の理由は不明である。なぜなら「関係者の名誉・プライバシー等を侵害するおそれや捜査・公判に支障を生ずるおそれがあるため、刑事訴訟法第47条により、原則として、これを公にしてはならないとされている(法務省)[4]」とあり、不起訴理由は公表されないからである。よって、不起訴理由は不明であり勝手に想像するしかないのである。不起訴理由が公表されないことによって、外国人に対して何らかの特別な配慮がなされているのではないかという疑念を抱く人が出てきているのだと考察される。

しかし、理由は不明だが外国人の「その他の不起訴」が増えているのは事実である。

おわりに

外国人の起訴・不起訴の比率は、日本人と大きな差があるとは言い難いが、「その他の不起訴」の増加傾向には注目すべきである。不起訴の理由が公表されない現状では、どのような判断がなされたかを国民が知ることは困難であり、これが誤解や不信を生む一因となっているのかもしれない。透明性と説明責任を高めることは、司法への信頼を支えるうえで今後重要となるだろう。

注1:「起訴率」とは,起訴人員/(起訴人員+不起訴人員)×100の計算式で得た百分比をいい、「起訴猶予率」とは,起訴猶予人員/(起訴人員+起訴猶予人員)×100の計算式で得た百分比をいう。)。本来は起訴猶予率を上記のように計算するが今回は分かりやすいように、起訴と不起訴の合計との割合で計算している。
注2:「起訴猶予率」と「その他の不起訴率」は不起訴のうちの割合として計算。
注3:検証可能な「自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件」を含むデータが無かったため、「自動車による過失致死傷等及び道路交通法等違反被疑事件を除く」データを利用。

出典

[1] 法務省 刑事事件フローチャート
[2] 
検察統計調査 検察統計 被疑事件の既済及び未済の人員
[3] 
検察統計調査 検察統計 外国人被疑事件の受理、既済及び未済の人員
[4] 
法務省 不起訴事件記録の開示について

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