概要
お笑い芸人を中心とする日本最古の芸能事務所。1912年に寄席の経営母体として開業し、その後一大企業グループに成長。
明治末期の創業以来100年以上に渡り、「ライバル」である松竹芸能と並んで東西の多くの人気芸人を輩出して来た。
1970年代までお笑い芸人は「歌手や俳優の前座」という芸能界における底辺のポジションだったが、1980年代の漫才ブーム及び明石家さんまを筆頭とした数々の芸人が台頭。以降芸能界全般に置けるお笑いのポジションを大きく上げたのは本事務所の影響力も大きい。
現在はテレビ番組制作・劇場経営・お笑い芸人のマネジメントでは圧倒的強さを誇る。また、芸人のみならず、俳優・声優・アイドルや歌手・スポーツ選手・各文化人のマネジメントも手掛けている。所属タレント総数は驚異の約6000人とか。
他にも、芸人養成スクール(通称NSC:New Star Creation)を持ち、従来の弟子入り以外の芸人養成ルートを開拓・確立したことでも知られる。
その一方、オーディションも定期的に開催しておりそこから吉本入りした芸人も少なくない。
芸能プロダクション事業部門は2007年から「よしもとクリエイティブ・エージェンシー」となっていたが、2019年に「吉本興業」と社名が戻った。
拠点として大阪本社と東京本社が存在し、前者は大阪吉本、後者は東京吉本と区別することもある。
東京本社は1980年代に「大阪吉本芸人の東京でのマネジメント事務所」として設立されその後拡大した経緯を持つが、元々は戦前の浅草で覇権を握っていた一大興行集団と歴史は深く、かの落語芸術協会も吉本の後ろ盾で設立された経緯がある。
戦前には既に「大阪は漫才や落語などの伝統芸能、東京はアメリカ仕込みの最先端レビューやコメディ」と両地域で全く異なる出し物を提供していた。
札幌・横浜・名古屋・福岡に支社が、沖縄には子会社がある。また、福島や広島などの地域に地方公演や地方在住芸人のマネジメントを手掛ける事務所が設置されている。
グループ会社に、音楽レーベル及び映像ソフト販売を手掛けるよしもとミュージックエンタテインメント(旧:株式会社アール・アンド・シー・ジャパン→ よしもとR&C)がある。元々資本関係は独立していたが、かつて吉本興業に小室哲哉が所属していた時期があり、彼が香港で設立したRojam Entertainmentを介して吉本の子会社化したという経緯がある(現在Rojamは売却済で小室も退所しているため無関係)。
インターネットや海外事業への参入も早くから行っており、UUUMとの提携やJO1をきっかけに韓国の芸能事務所と連携契約をするなど大規模でグローバルな事業を行っている。
放送業界にも過去にヨシモトファンダンゴTVやKawaiian TVとCS放送に参入後(その後撤退)、2022年からBSよしもとが開設されてBS放送に参入を果たした。
社風
所属芸人同士の年功序列意識が厳しいことで知られており、実年齢に関係なく1日でも早く所属した者を先輩として立て「兄さん・姉さん」と呼ばなければならない。このことは僅か11歳で活動を始めたりあるキッズ(現在は解散し、安田善紀のみ所属)などが良くネタとしていた。
その一方で先輩は、仲が良い後輩に対して金銭的な援助を惜しむべきではないという風習がある。不要になった衣類や家具は後輩に譲り、彼らに祝い事があれば気前よく祝福するのが、先輩としてあるべき姿とされる。特に、先輩が後輩とともに食事や旅行に行った際には、その人数や内容を問わず、金額の一切を先輩が負担するという不文律がある。これは、例え先輩が売れずに貧乏生活をしており、また後輩の方が人気があり経済的に恵まれた状態であっても変わることはない。そのため、先輩が支払いができずに後輩に立替えてもらうのは屈辱的なこととされ、また後輩に支払いをさせて平然としている芸人は、裏で軽蔑されることとなる。
それを象徴するエピソードの一つに、金成公信(現:千葉公平)が後輩と飲みに行ったところ、次々と人数が増えて支払いが手持ちの金額では足りなくなったため、タバコを買いに行くふりをして一度自宅に戻り、私物を売り払うことで何とか代金を工面したことがあるという。またジミー大西が明石家さんまの付き人時代、売れっ子芸人になるまではさんまから生活費を援助して貰ったエピソードがある。
また、東京吉本や大阪以外の地方の吉本出身者は(いずれも歴史がそれほど長くないこともあって)上下関係にはそれほど厳格ではないようで、バラエティ番組などでも年上の後輩が年下の先輩に奢ったエピソードが語られたり、「兄さん・姉さん」以外の呼び方をしたりといったことがたびたび見られる。
反対に新喜劇は「ベテランから新人まで同じ舞台で毎日のように活動する」という特性から、吉本の中でも特に上下関係が厳しいようで、例えば「食事に行くときは新人が一番後に頼み、一番早く食べ終わる」というルールが存在するという。
マネージャー等の社員を芸人が付き人のように扱う事は禁止されており、一定の距離を置く事が求められる。
今でこそメディア進出を当たり前に行っているが、かつて主な放送メディアがラジオであった頃に所属落語家の落語がラジオで放送されるのを何よりも嫌っていた。理由は「寄席でもないところでしかもタダで落語を聞かせるのは気に食わない。寄席に訪れる客が減る」というものだった。しかし、当時の吉本の懸念とは裏腹に「生で落語を実際に聞いてみたい」と逆に寄席に訪れる客が増えたという。今で言うメディアミックスの先駆けとでもいうべきだろうか。
後述の通り専門の劇場を幾つも所有しているため、注目されれば若手から鍛えることが出来る。それ故に賞レースで何組も王者が誕生しているが、吉本贔屓の都市伝説を弄られたりする。
但し劇場に立つことができる芸人は絞られているらしく、そのため偽名などを使って色んな劇場に立って鍛える芸人もいるらしい。
王者になるとグリーン車になったり色々特典あったりするが、しれっとグリーン車にされてなかったり扱いが雑な者もいる(但し、他の事務所では王者になれなくてもグリーン車に乗れることもある)。
また一時期漫才禁止令が発動されたりコントはベタ系じゃないといけないみたいなルールもあった。これは支配人によってルールが変わることも関係するらしい。
近年、賞レースで他芸能事務所(いわゆるK-PRO系)所属芸人が台頭するようになったせいか、主催ライブにそれらの芸人のゲスト出演を禁じる「吉本鎖国」問題も生じている(原因はあるコンビとされ、その片方は吉本を実質クビとなっている)。これについては吉本芸人からも批判があり、その後もゲスト出演について禁じられたケースはない。
100年以上にわたり芸能界という華やかかつ闇の深い世界に存在し続けていることから、中田カウス氏は吉本について「テキ屋の集団を株式会社にしたのが吉本なんです。スーツを着たテキ屋ですね」と評したことがある。
吉本の抱える問題
事業の多角展開など大規模な設備投資を行う一方、タレントマネジメントがそれに追いついていない状況が続いており、それに起因するトラブルが度々発生している。
ギャラの安さ
大勢のタレントを抱えている割に、若しくはそれ故か給料が安い(芸人の取り分が少ない)ことでも有名であり「ギャラより高い交通費」と多くの芸人によって自虐ネタが語られる程駆け出し芸人のうちは生活が厳しい。
後述の闇営業問題に関連して開かれた記者会見で、岡本昭彦社長が「ギャラ割合は、ざっくり平均して5:5か6:4」と言及しているが、複数の(元)所属タレントによって否定されており、実際は1(芸人):9(吉本)というのが大半とされる(ベテランや人気芸人は取り分が増えるともいわれる)。ただし、自前の劇場を持っており、他事務所と比べると仕事の機会はあるため、「働いても全く報酬が出ない」ということはない。また、賞レースの賞金の取り分はほとんどが芸人持ちで、最近では配信で下手な先輩より稼いでいる若手芸人もいる。
グループ会社にはNSCの学生やタレントを対象とした消費者金融「よしもとファイナンス」があり、不安定な仕事柄融資を受けにくい人々の受皿となっている。
返済は(特別安い訳でも高い訳でもない)金利を付けた上で給料からの天引となっており、いわゆる「前借り」の様な形であるが、仕事が少ない、若しくは増え始めたばかりのタレントは吉本から貰う分より返す分の方が大きくなるため、いつまでもバイトを続けることとなったり、逆に忙しくてバイトが出来ず、さらに借入れたりすることとなる。特にコロナ禍においては飲食店やエンタメ事業が多くダメージを受けたことから、本業の芸能活動が出来ない上にアルバイトもままならなくなり、自身のギャラを越えて借金を繰返す様な状況に追込まれた芸人も多かった。
これらの金銭面の事情が、2019年に十数人の謹慎処分者・退所者を出した「闇営業問題」に繋がっているとの指摘もある。
タレントマネジメント体制の不備
前述したように所属タレントが6000人を超える一方、マネージャーの数が全く足りていないという実情がしばしば語られている。
テレビへの露出が多いタレントでも現場にマネージャーが来ないというのが当然で、下手をすると海外ロケでも現地集合・現地解散という例も珍しくない。
当然所属するマネージャーは一部の売れっ子以外は複数担当が当たり前かつ激務となり、労働基準監督署から2度も是正勧告を受けている。
また、2023年のR-1グランプリ王者となった田津原理音は優勝直後にマネージャーが飛ぶという緊急事態が発生し、賞レース王者のお約束であるテレビ局の一周(バラエティのゲスト出演)すら出来ず、ブレイクのきっかけを吉本に潰される事態となってしまった。飛んだ真相はどうあれこれもマネジメント体制の不備が遠因にあると言えよう。
仕事に当たっては、吉本に所属する芸人とは直接契約書を交わすことがないといい、法的な整備が立ち遅れているとの指摘も多い。大崎会長はあくまで「契約書を作る気がない」と発言していたが、闇営業問題を機に漸く契約書類の締結が実施されることとなった。
経営陣が大崎洋元会長や岡本昭彦社長を筆頭にダウンタウンマネージャー経験者を中心とした一党独裁体制を敷いており、ダウンタウン以外の所属タレントと話す機会が余りなく、タレントと事務所とのコミュニケーション不足による乖離が指摘されており、とりわけ1990年代以降東京本社から吉本に入ったタレントとは仲が悪いとされる。
闇営業騒動が起きるまでは、ダウンタウン(特に松本人志)は上層部寄りと思われていたが、宮迫・田村亮の会見を見て芸人の立場として上層部に物言いを行うために動いた。
その他
かつては創業者一族や所属タレントの一部が反社会勢力との交流が噂される様相もあったが、次長課長河本準一の母の生活保護不正受給疑惑発覚以来、近年では社会情勢の変化や上層部の何度かの代替わりにより、コンプライアンス遵守を公式発表で度々宣言している。
以降は所属タレントにも研修が行われているが、それでもタレントの不祥事が頻発していることに加え、2025年には所属タレントのオンラインカジノ賭博問題が発覚するなど、上記の問題が解決しきれているとは未だ言い難い。
この他にも、チュートリアル徳井義実の税金滞納や、同じくミキの京都市ステルスマーケティング騒動、EXIT兼近大樹の前科発覚騒動※1など、2019年には立て続けにいくつものトラブルが起こっている。近年ではジミー大西がしくじり先生俺みたいになるな!!に出演し、今では炎上してもおかしくない過去のやらかし※2を自虐的に語るなど賛否両論が起きた。
※1…2011年、(本人も未成年の頃)未成年売春斡旋役となっていたことから、売春防止法違反容疑で逮捕、簡易裁判で罰金刑10万円の処分を受けていたことが報じられた。既に刑は執行されており、芸能界デビュー以前(さらにいえばNSC入学より前である)のため、それ程大きな問題とはならなかった。
※2…ジミー大西の場合、突如放送禁止用語を発言して干されそうになったり、売れっ子芸人時代に稼いだギャラでギャンブルや風俗に手を出し過ぎて借金を抱え、キャンピングカーで夜逃げして最後事務所に泣き付いて弁護士が介入し、事務所が借金返済したりしたエピソードがあるが、それらは全て解決済となった。
劇場一覧
数多くの劇場を抱えているが、創設期から寄席や映画館などを買収して自社の劇場にした、所謂居抜き物件が大半を占める。
そのため、純粋な自前劇場の数は少ない。
西日本
吉本最大級の劇場で通称「NGK」。ネタをしている吉本芸人はここのトリをすることを目指す。
- よしもと漫才劇場(なんば・森ノ宮)
関西大阪若手芸人の拠点で、通称マンゲキ。
某師匠が若手芸人のために劇場を作り漫才限定としようとしたら、コントをメインとする芸人達で上京する者や吉本辞めて他事務所に行く者が続出した。
- よしもと道頓堀劇場
2025年3月に開業。レストランシアターを兼ねた施設で、定員は110名と小劇場的役割を果たす。
- COOL JAPAN PARK OSAKA
森ノ宮にある劇場で、大・中・小の3種類存在し、マンゲキよりも大きめのイベントはこちらで開催する。
- よしもと福岡大和証券劇場
某コンビがメンバーの父の縁で毎月出番があった。
東日本
東京の旗艦劇場。ルミネと言えば関東では駅ビルだが関東以外ではここを指す。元々は貸ホールだった。
- 神保町よしもと漫才劇場
現在東京9年目以下の拠点。ガラパゴス。
現在東京9年目以上の拠点。元々某コンビのために作られた噂がある(立て直したのはそのコンビの同期という噂もある)。2025年春に閉館し、現施設名へ改称。
- IMM THEATER
某師匠が命名者で東日本では最大級の劇場。演芸のみならず、演劇や音楽用でもある。この劇場のみ東京ドームとの共同運営。
- YOSHIMOTO ROPPONGI THEATER
2025年7月に開業したコント専門劇場。元俳優座劇場。
- よしもと幕張イオンモール劇場
幕張の拠点。
大宮の拠点。
- 沼津ラクーンよしもと劇場
沼津の拠点。
過去の劇場
所謂関西若手芸人の拠点。
- ヨシモト∞ホール大阪
- うめだ花月
- 京橋花月
- よしもと祇園花月
- 銀座七丁目劇場
かつての東京若手の拠点。
- 渋谷公園通り劇場
- 神保町花月
神保町よしもと漫才劇場の前身。
- よしもとプリンスシアター
- よしもと西梅田劇場
- よしもと有楽町シアター
- よしもと沖縄花月
- ヨシモト∞ドーム
ステージⅠとステージⅡの2種類がある。
主な所属タレント
⇒吉本芸人
元所属タレント
⇒元吉本
余談
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