全国21店のソープが一夜にして消えた…日の出の勢いだった「マリングループ」一斉閉店の”ウラ”
運営していたのは「歓楽街の帝王」
マリングループを運営していたのは、「歓楽街の帝王」とも呼ばれる森下景一氏が率いる「森下グループ」である。同グループは、テレクラ『リンリンハウス』、マンガ喫茶『マンボー』、個室ビデオ『金太郎』、歌舞伎町のエンターテインメントショー施設『ロボットレストラン』、ラーメン『博多風龍』などの多業種を展開。その経営スタイルは「夜のゆりかごから墓場まで」と恐れられたという。 森下グループは’00年代前半の新宿歌舞伎町では「独り勝ち」とまで言われていた。無料案内所で捕まえた客を自社系列のキャバクラ、風俗店、ホテル、ビデオ店、ラーメン店などに送り込み、客が歓楽街で落とすカネの多くを森下グループが回収する仕組みができていたのである。 商売上手ぶりは、デリヘル経営でも発揮された。1999年に改正風営法が施行され、無店舗型の風俗店が合法化されたが、従来のウェブ宣伝では効果は薄く、集客が難しかった。 そこで自社の系列・傘下のデリヘルのみを宣伝する無料案内所を考案し、実態は受付所として機能させて大成功を収めたのである。1階に案内所、地下に受付所、上階にサービスルームというビルで荒稼ぎしたのだ。 だが、この営業形態のデリヘルは店舗型風俗店とみなされ、’06年に風営法違反(禁止区域営業)で摘発されてしまう。 森下氏は逮捕・起訴され、懲役6ヵ月、執行猶予5年、罰金50万円、不法収益に対する追徴没収として7065万円などが東京地裁の判決で言い渡された。森下氏は罪状をすべて認め、「歌舞伎町からの性風俗事業の完全撤退」を約束させられたという。
突然閉店の“理由”
摘発から約20年経った今年1月28日、仙台市の系列ソープ『マリン千姫』に警察が家宅捜索に入った。この店にはホストクラブから売掛金を抱えた女性たちが送り込まれていたという。マリングループは、表向きは「スカウトを使わない自社での求人」を売りにしていたが、スカウトグループなどからの“供給”があったと警察は見ているようだ。 昨今、警察がソープなどを相次いで摘発しているのは、受け入れ側を断つことで女性を斡旋するスカウトグループの拡大を防止する狙いがある。『マリン千姫』も、犯罪組織へ迫るための強制捜査だった可能性があるのだ。 マリングループのソープ全21店が閉店したのは、この2日後である。即座に全店舗を閉鎖することで事業の実態を消し、警察が踏み込む現場をなくしたのではないか。 森下氏は、自らが代表を務める会社で物件を所有し、それを別経営の形をとる傘下の運営会社にテナントとして貸し出す”大家”の立場となることで、逮捕されるリスクを切り離していたともいわれている。 だが、1月28日のガサ入れは、それが通用しないことを示していた。今度逮捕されれば、グループ全体の資産が没収されかねない。森下氏が恐れたのは「資産の没収」という、20年前の悪夢の再来だったのかもしれない。