今回の衆院選では、自民党大勝とチームみらい躍進の余波で、比例代表で獲得した議席が比例名簿の候補者数を上回る事態が相次ぎ、計16議席が他党に渡った。一票をその党に託した有権者の信頼を裏切ったことになる。「議席の価値」はそんなに軽いのか。議席に余剰が出るならば、衆院の定数削減を求められても仕方ないのではないか。
自民は過去最多の316議席を獲得したが、比例では全国4ブロックで計14議席を他党に譲った。本来ならば330議席を獲得していた計算だ。みらいも近畿ブロックで2議席を他党に譲った。
同様の事態は平成17年の「郵政選挙」で自民が圧勝し、296議席を獲得した際などでも起きた。追い風が吹き、獲得議席が予想を上回った結果だが、そもそも名簿に十分な候補者数を載せていれば防げた事態だ。選挙責任者の幹事長や選対委員長の責任は重い。
衆院選では自民と日本維新の会が連立合意した衆院定数1割削減に関する議論は盛り上がらなかった。議席数が減れば自らの首を絞めることになり、与野党ともに消極的な声が根強い。
定数削減に対しては、他の先進国と比べ日本の国会議員数が多いわけではなく、国民の声を聴く機会が減るとの意見もある。しかし、議席を他党に譲るようであれば、こうした意見は説得力に欠ける。国会は今回の事態の再発を防ぐべく有権者の意思を的確に反映する公選法の改正にただちに着手するとともに、「身を切る改革」に目を向けるべきではないか。(楠城泰介)