試験会場でのカンニングにピッタリすぎるので...。
AIチャットボットの誕生で仕事の効率化などいいこともたくさんありますが、課題をチャットボットに任せる、カンニングをするなど、学生のいわゆる「悪用」も止まりません。そして最近少しずつ台頭してきたスマートグラスを試験で使うという手法も出てくるのも時間の問題でしょう。
カレッジボードがSATでスマートグラスを禁止
学生がスマートグラスを使って試験で不正を行う可能性は、すでに危惧されているようでアメリカの大学進学適性試験SATを運営するカレッジボードは、今年の春からスマートグラスの使用を禁止しています。以下が、カレッジボードのアナウンス内容です。
試験中、スマートグラスの使用は禁止されています。処方用のスマートグラスを使用している学生は、それを外すか、通常の眼鏡を用意し、別の日に受験する必要があります。
これについては大きな反発などは起きていないようです。この短い文面は多くを語らずに多くのことを示しているように感じますし、スマートグラス禁止は正しい判断だと思います。スマートグラスは間違いなくカンニングの道具になり得えるからです。しかも、必ずしもスクリーンだけが問題ではないのです。
チャットボットと連携
むしろカンニングに使われるのは、スマートグラスと連携しているChatGPTやGeminiのようなチャットボット。チャットボットにアクセスできるということは、インターネットで答えを引き出せるということでもあります。そして、その情報を引っ張ってくるのは驚くほど簡単。例えばMetaのRay-Banは、すごく小さな声でも聞き取れるので、静かな試験会場でも不正が成立してしまいます。

次に問題になるのはカメラです。スマートグラスの多くには音声アシスタントだけでなく、見ているものを撮影し、それについて意見や説明を返すコンピュータビジョン機能が搭載されています。この機能は、グラフや図形を見て方程式を解く数学のような科目では、特に使えてしまう機能です。
試験会場で見分けられない
さらに踏み込んで考えるなら、試験中に誰かとビデオ通話をつなぎ、その人に答えを教えてもらうことも技術的には可能です。Meta Ray-Ban Displayのように、WhatsAppを使った一人称視点のビデオ通話機能を内蔵しているスマートグラスもありますからね。
スマートグラスを使ったカンニングの方法はいくらでも考えられます。スマホだとポケットやバッグから取り出して操作しなければいけませんが、メガネなら見つかりにくいっていうのもあります。スマートグラスは目立たないですし、それが魅力ではありますが、プライバシーの観点では問題にもなりえます。Meta Ray-Ban Displayは、付属のNeural Bandを親指でなぞり、人差し指と親指をつまむだけで操作できるためです。しかも、スマートグラスのカメラに映る位置に手を置く必要もなく、パーカーのポケットなど、目立たない場所に置いておくことができます。
学生がスマートグラスを使って不正を行った前例はすでにあって、今回のカレッジボードの対応は根拠のない過剰反応という訳ではありません。ただ、SATの試験監督が普通の眼鏡とスマートグラスを見分けられるだけの知識や注意力があるのかだけは気になるところです。普段からカメラ付き眼鏡をかけている身として言えるのは、ほとんどの人は私がスマートグラスを着けていること自体、気づいていないからです。対策方法としては、試験前に眼鏡かけている人全員をチェックするとかですかね。でもそうなると、カメラを搭載していないEven Realities Even G2のようなスマートグラスはどうなるんでしょうか。このグラスを知っている人以外には、ごく普通の眼鏡にしか見えません。
これは簡単に解決できる問題ではなさそうですが、ただ一つ言えるのは、単純な禁止だけでは何も解決しないということです。チャットボットはランクの高い大学へ入学するのを助けてくれるかもしれませんが、いざ大学が始まると、チャットボットが知識を学生の頭にインプットしてくれるわけではありません。つまるところ、「学びは誰のため?」という問いですね。
Source: College Board, The Asahi Shimbun
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