《中部電力子会社がEV補助金“水増し申請”疑惑》関係者が明かすその手口「11.7万円の充電器を別会社に39.4万円で売り、19.7万円の補助金を獲得」
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原発のデータ不正で揺れる中部電力。信頼回復に努めるなか、子会社による新たな疑惑が浮上した。電気自動車(EV)の普及を支える充電器ビジネスで、補助金の“水増し申請”を繰り返していた可能性が関係者からの告発で明らかになった。クリーンエネルギー普及の名の下で何が起きているのか。【第1回】
充電器設置で業界1位
浜岡原子力発電所(静岡県)の安全審査で「データ不正」が発覚した中部電力。同社の林欣吾社長は記者会見で再稼働の必要性を強調したが、信頼性の喪失は深刻だ。 「原発の安全性を揺るがす背信行為と受け止められ、原子力規制委員会は浜岡原発の審査停止を決定。立ち入り検査を行なった。中部電力のガバナンス不全が厳しく問われています」(社会部記者) 不正に揺れる中部電力だが、本誌の取材で新たな疑惑が持ち上がった。 「中部電力の子会社が支出額を水増しして、EV充電器の補助金を不正に申請している疑いがあります」 本誌・週刊ポストにそう証言するのは、ミライズエネチェンジ(以下、ME社)の関係者であるA氏だ。 ME社は、中部電力の100%子会社で電力販売を担う中部電力ミライズが51%、電気・ガス料金の見直しサイトを運営するエネチェンジが49%をそれぞれ出資して2025年1月に設立した合弁会社。もともとエネチェンジが手がけていたEV充電サービスを引き継いで主力事業として展開する。EV向けの充電設備を運営・管理する事業者を指す「チャージポイントオペレーター(CPO)」であり、最近、街中でもよく見かけるようになった低電圧の普通充電器の設置数は全国トップを誇る。 政府が2035年までに販売される新車すべてをEVや燃料電池自動車(FCV)などの電動車にする目標を掲げるなか、充電設備は欠かせないインフラとしてEV普及のカギを握る。 中部電力を親会社に持つ、業界トップ企業に何が起きているのか。 ME社が水増し申請した疑いを持たれているのが、「EV充電インフラ導入補助金」(正式名称は「クリーンエネルギー自動車の普及促進に向けた充電・充てんインフラ等導入促進補助金」)だ。 補助金制度の所管は経済産業省で、補助金交付の執行団体として一般社団法人次世代自動車振興センター(NeV)が実務を担う。EV充電設備の2分の1相当、および設置工事の全額を国費で補助する仕組みで、法人と自治体、個人が対象になる。ショッピングモールなどの商業施設やマンションなど集合住宅、役所など自治体施設によるEV充電器の設置を促すことが目的だ。ME社を含むCPOはこうした施設内の一部の敷地に充電器を設置して、EV向けに電気を売るというビジネスを展開しており、設置に伴う補助金を受けることができる。 しかし、ME社がこの制度を使って支出額の水増し請求を行ない、巨額の補助金収益を得た疑いがあるというのだ。前出のA氏はこう語る。 「ME社内の連絡会議で使われた内部資料には、同社の全体の収支構造の見通しが掲載されています。それによると、主力である充電サービスの収益が約2億円なのに対し、補助金収益は約53億円に達します。ME社は、ほぼすべての収益をEV充電インフラ導入補助金に依存しているのです」 それだけなら補助金に支えられたコストに見合わない事業という話だが、問題はその内実だという。
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