私立大学の入学金、辞退者に返さない大学側の胸の内 収入減るなら「授業料上げる」の声も
私立大の入学金は、国公立大の合格発表前に納入期限がくるケースが多い。国公立大に合格し、進学を決めた場合、私立大の入学金が返還されなければ「二重払い」となる。文部科学省の推計によると、2023年度の入学者のうち23・5%が進学しなかった大学へ入学金を支払っていた。同省は昨年6月、全国の私立大に入学金の負担軽減を検討するよう通知している。 【一覧】入学金の負担を軽減する主な取り組み 中国新聞が中国地方の私立大全34校に入学金の負担軽減策を取材したところ、美作大(岡山県津山市)は、国公立大合格を理由にした入学辞退者に対し、入学金27万円を全額返還すると回答した。専願以外の入試が対象。推計では、約15人で約400万円の減収になるが、「財政上、補える範囲内」(担当者)と判断した。高校からは「進路指導で美作大を生徒に薦めやすくなった」という声が届いているという。 川崎医療福祉大も専願を除く入試で、入学辞退者が住民税非課税世帯の場合に入学金30万円を全額返す。ほかに、中国学園大(岡山市北区)が返還制度を検討している。 また、広島文教大(広島市安佐北区)は一部の入試で入学金の納付期限を国公立大の合格発表後にする。今春の入学定員充足率は89・7%。「安心して国公立大と併願してほしい。受けてもらって、初めて入学につながる」との考えからだ。比治山大(広島市東区)は入学金を23万円から19万円に、就実大(岡山市中区)は27万円から10万円に下げると決めた。 ほかの28校のうち6校は「すでに独自の軽減策を実施している」とした。一方で15校は対応を「検討中」とし、7校は明かさなかった。背景には苦しい懐事情がある。 広島県内のある私立大の学長は「入学金は非常に重要な収入源。施設の充実などさまざまに使っているので、減収のダメージは大きい。ボディーブローのように効いてくる」と語気を強める。辞退者に、すんなり入学金を返しにくい胸の内を明かす。