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『「リベラル」ではない人のための憲法のお話』という本を出版しました!!

1 はじめに

 このたび、かもがわ出版より『「リベラル」ではない人のための憲法のお話』という本を出しました。

 私にとっては『13歳からの天皇制』以来の2冊目の著作ということになります(ちなみにこちらも、かもがわ出版)。

2 この本のコンセプト

 その内容を紹介する前に、この本を書こうと思ったきっかけというか、この本で目指そうとした方向性、コンセプトについて簡単に説明しておきましょう。

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 世の中一般の読者向けに書かれたような憲法の解説本や入門書は世間にいくらでもありますが、これはだいたい三つのパターンに分けられるでしょう。
 
 ①まず、学者の書いた入門書。これはもっと高度な専門書を読む前の導入のような感じであり、学問的には信頼できますがちょっと堅くて敷居が高いものが結構あります。 

 ②次に、いわゆる護憲派や左派と呼ばれるような論者の本。これは憲法9条の理念のすばらしさや人権の尊さを説き、さらに「このようにすばらしい憲法が政府与党や右翼の改憲運動によって脅かされている」として、政治情勢について警告したり改憲論を批判したりする傾向が見られます。

 ③一方、いわゆる改憲派や右派と呼ばれるような論者の本もあります。これは、「今の日本国憲法はGHQの押しつけで作られた粗末なものだ」とか、「日本の国体(?)には合わない」とか、「もっと美しい日本にふさわしい憲法を作れ」とか、そういうことを語るのが一般的です。
 
 今回私の書いたこの本は、これら①②③のどれにも当てはまりません。ではどういう方向性の本なのかといえば:

 ④右派とか左派とか、護憲派とか改憲派とかに関係なく、どのような立場であっても、憲法のあり方や国の政治体制について語りたいのであれば必ず知っておく必要があるような、憲法の重要な基本となる知識をできるだけわかりやすく解説し、「日本国憲法をどのように道具として使うか」という観点で説明する本

 …という感じになります。

3 なぜ「『リベラル』ではない人のため」と題したのか?

 次に、どうしてタイトルにわざわざ「『リベラル』ではない人のため」という飾り文句をつけたのか、その理由を説明しましょう。

 いわゆるリベラルとか護憲派と呼ばれる人はもともと日本国憲法を学んで自分の主張の武器にすることが多い一方で、そうでない側(保守とか右派とか改憲派と呼ばれる人)は、必ずしもそうではなく、割と雑に「今の憲法はダメな押し付け憲法なんだろ、変えろ」みたいな捉え方の人が多いと思っていたからです。
 (以前紹介した参政党の憲法草案作りも、そういうノリで大勢集まって意見をつぎはぎして行われたような感があります。)

 しかし実際には、右派だろうと保守だろうと、今の日本国憲法を学んで使いこなすスキルを身につければ、道具や武器として使えて役に立つのです。 

 ちょっと変な言い方になるかも知れませんが、いわゆる"リベラルではない人"が、"リベラルの人"に論争を挑まれたり挑んだりする際にも、日本国憲法の知識を身につけておけば武器として使えるのです。
 このタイトルにはそういう含意も込められています。

4 この本のセールスポイント

  特にこの本のセールスポイントと言えそうなことは:

 ア 先ほど述べたように、日本国憲法を「誰でも使う道具」として、その特徴、構成や使い方を説明していること。
   憲法を理想とか崇高なものとか美しいものとしてではなく、また抽象的な理論を並べるのでもなく、とにかく実際に必要な目的で使う「道具」のような目で解説しています。
   当然ながらこれは、立場が右派だろうと左派だろうと、どんな思想や党派であっても関係なく誰にでも必要な知識のはずです。

 イ 憲法改正については、"改憲すべきか、護憲か"ということには触れず、「改憲するとしたらどのような手続で、どのように行われるか」「改憲したらどのようなことが起こることが想定できるか」、さらに「憲法はどこまで改正できるものなのか」という観点で解説していること。

 ウ 一般向けの憲法解説書ではあまり深く触れない条文も頻繁に取り上げていること。
  
特に憲法31条の適正手続の条項は非常に重要であり、何度も繰り返し登場します。またそれ以外にも、事後法による遡及処罰の禁止(39条)や拷問禁止(36条)なども取り上げました。

  なお世間の一般的な傾向として、いわゆる護憲派や左派的な立場の憲法解説書では戦争放棄の9条と生存権の25条がかなり重視されているように思われますが、この本では上記の31条の適正手続(手続的正義)と、表現の自由や財産権、営業の自由などの自由権を特に強調しています。

  この本では全体的に、刑事事件の処罰や行政による自由の規制がむやみに濫用されたり個人の自由な活動を不当に抑圧しないようにするべき、という観点に特に力点をおきました。

 エ 憲法の重要な条文を繰り返し引用していること。何度も同じ条文を見ているうちに、自然に覚えてしまうと思います。

5 全体の構成

  全体の構成は次のとおりです。 

第1章 死刑囚が異世界ラノベを書くとき
第2章 刑罰と税金から始まる憲法と人権の話
第3章 人権というものにもいろいろある
第4章 憲法の解釈がなぜ分かれるの?
第5章 平等と差別と多様性
第6章 緊急事態と緊急でない事態
第7章 靖国神社とハラル給食
第8章 9条にできること、できないこと
第9章 憲法から見た天皇・皇族のあれこれ
第10章 そもそも合憲と違憲ってどう判断するの?
第11章 憲法ってどこまで改正できるものなの?

6 内容の簡単な紹介

 各章の内容を要約して紹介しておきましょう。

第1章 死刑囚が異世界ラノベを書くとき
 ここでは全体の導入として
 「もしも拘置所に勾留されている死刑囚が、異世界転生系のライトノベルの原稿を書いて、それを郵送する行為を禁じられたら、憲法の観点からどういう問題になるか?」
 という意表をついた事例から話を始めています。
 「憲法とは何か」とか「人権は大切なものだ」とかいう抽象的な話からいきなり始めてもつまらないだろうと思ったので、このように具体的な架空事例のストーリーを使って、できるだけ楽しく読めるような内容にしています。

第2章 刑罰と税金から始まる憲法と人権の話
 この章では、歴史上、憲法や人権の考え方は刑罰税金と密接に結びついて発展してきたということを説明し、さらに「法の支配」「法治主義」という概念についても解説しています。
 「憲法は権力を縛るものだ」という言い方をよく聞きますが、ここではその具体的な例を歴史の話といっしょにわかりやすく示すことになるでしょう。

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第3章 人権というものにもいろいろある
 この章で、憲法で保障される人権という概念を、具体的に分類して体系的に説明しますが、先ほども触れたように、特に自由権と手続の保障の大切さを詳しく述べています。
 なお「人権」という用語が本来の範囲から離れてやや雑に使われることがあることについても一言触れました。

第4章 憲法の解釈がなぜ分かれるの?
 ここでは、同性婚が今の憲法のままで実現できるかどうかという問題を取り上げて、それを例として憲法の条文の解釈のあり方をわかりやすく面白く説明しています。
「同性婚を認めるには憲法24条の「両性」という語句の改正が必要かどうか?」という論争がありますが、どちらの説も一応成り立つ前提で、そのロジックを解明していきます。
 主眼は同性婚そのものの是非ではなく、憲法の条文の解釈がどのように分かれて様々な説が生まれてくるのかというところです。

第5章 平等と差別と多様性
 この章は、14条の平等原則を中心に解説していますが、アファーマティブアクションや多様性などの今日よく取り上げられる主題も分析しています。
 なおアファーマティブアクションについては長所と短所いずれもあることを明らかにしており、また「多様性」という概念をどこまで使うのが適切なのかという問題提起もしているつもりです。

第6章 緊急事態と緊急でない事態
 ここでは、戦争や災害などの緊急時に対処するためのいわゆる緊急事態条項を憲法に設けるかというテーマを検討しています。

 世間の憲法解説本では、「緊急事態条項を作るべきか否か」「危険かどうか、賛成か反対か」という0か100かの議論に走りがちですが、ここではそういうふうに賛成・反対を頭ごなしに決めつけるのは避けて、「それでは実際に緊急の問題が起こった時にはどう対処すればいいのか?」という現実の取り組み方を、憲法に沿っていわばシミュレーション的に検討し、そのうえで改憲して緊急事態条項を作ることのメリットとデメリットやリスクなどを分析します。

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第7章 靖国神社とハラル給食
 この章は信教の自由と政教分離がテーマですが、靖国神社、学校のハラル給食、宗教法人の解散命令、アメリカ大統領の就任式での聖書の使用などいろいろな幅広い興味深いトピックを紹介しています。
 今や神道からイスラム教まで日本では多種多様な宗教に触れる時代、ぜひ読んでいただきたいところです。

第8章 9条にできること、できないこと
 ここでいよいよ憲法9条の問題です。ここでも「9条はすばらしい貴いものだから守らねば。改正すると戦争が起こる」とか「9条では日本を守れないから変えろ。これでは亡国だ」とかいう類の議論は避けています。

 まず9条の文言の持つ意味と、そのいろいろな解釈論を紹介し、そのうえで現実の安全保障の問題と法解釈の問題とを分けて考えたうえで、9条をそのまま残しつつ自衛隊や安保の存在を明確に憲法と整合させるための奇策を提案しています。
 それは以前も他のところで触れたことがありますが、9条には手をつけないまま憲法の末尾に附則を作るという案なのです。詳しくはこの本をご覧ください。

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第9章 憲法から見た天皇・皇族のあれこれ 
 この章は天皇・皇族の憲法上の扱いについて述べています。以前の本『13歳からの天皇制』に一部重なる話題もありますが、その頃より少し踏み込んだ内容になっています。 

 私個人は特に賛同しているわけではないのですが、皇位継承問題の一つの例として旧皇族に仮に復帰してもらうならどのような法的建付が考えられるかということも示しています(個人的には女性天皇や女系天皇も認めて良いというのが私見ですが、それはそれとして)。

第10章 そもそも合憲と違憲ってどう判断するの? 
 ここは、ある法令や国の行為が憲法に違反しているか否か(合憲か違憲か)はそもそもどのような基準で判断されるのかを、学説と判例を示しつつできるだけ堅苦しくならないように実例を踏まえて解説します。 

 「ある制度が合憲なのか、違憲なのか」という議論は、9条問題をはじめとしていろいろな分野で見受けられますが、ここでは具体的に、ある物事が合憲か違憲かはどのように判断すれば良いのか、その目安の立て方を解き明かすわけです。

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第11章 憲法ってどこまで改正できるものなの?
 最後の章は、憲法改正です。「改正すべきかどうか」ではなく、「憲法の改正とはどのように行われるもので、憲法はどこまで改正することができるものなのか?」という意表を突いた切り口で検討してみました。
 いわゆる憲法改正の限界問題も取り上げています。

 駆け足になりましたが、全体の内容はおおむねこのようなものです。是非手にとってお読みください。

7 電子書籍で読みたい場合は?

 電子書籍で読みたい場合は、AmazonのKindleは対応していないので、かもがわ出版のウェブサイトの下記の「試し読み YONDEMILL」というリンク部分に進んで、左下の「購入」ボタンを押してみてください。

8 余談ですが・・・

 なお最後になりましたが、前著『13歳の天皇制』と同じように、本の中のイラストはすべて私自身が(下手くそなのも顧みずに)自分で描いています!


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