外ロールはスライド、内ロールはスラップ
の続編。
外ロールと内ロール
タイピングにおいては、打ちやすい運指パターンがある。一番わかり易いのが左右交互で、これだとどちらの手も極端に無理のある動きにならない。
ローマ字系新配列の多くが、母音を片手にまとめて配置しているのはこれが理由で、ローマ字は基本的に子音→母音の順番になるから、ほとんどが左右交互打鍵になる理屈だ。
しかし、好条件の片手連続のほうがもっと打ちやすいとも考えられている。いわゆるアルペジオというやつだ。
その条件を示したのが冒頭の記事で、「外上斜め」とまとめた。(当然、キー同士が近いほうが楽)
実はこれ、新配列界隈に古くから存在する二つの意見に対する反論を目論んだものでもある。すなわち、
手前より奥のキーが打ちやすい
外ロールより内ロールが打ちやすい
の二つだ。
「手前より奥」については、人差し指だけはその限りではない。
「外ロールより内ロール」については……そんなわけねーだろ!! 非論理的な! 内ロールのほうが打ちやすくなる身体操作があるなら教えてくれよ! あるんだろ! こんだけ大勢の人が言ってるんだから! 俺にはわかんねーから説明してみろ!!!
というつもりだったのだが、ついに出てきたそれが。
スラップです。
ククリ配列
宮野渉さんが設計したローマ字系配列。
母子非分離のアルペジオ重視設計で、ざっくり、人差し指に子音、中指と薬指奥に母音があり、人差し指の手前から中指・薬指の奥に流れるようになっている。バッキバキの外上斜め運指配列だ。
(濁音と拗音の子音は更に外側にあり、それは内ロール)
一応配列を作る際に目を通してはいたんだけど、今見直すとまんまその通りの配列になっていてびっくり。手捏ねで直していくうちにこの記事の内容に沿ったような形に収束してきたから、この記事の裏付けになっている気がする。https://t.co/FoX7I6cfHr
— 宮野渉 (@miyanowataru11) January 20, 2026
ちなみに、僕も一時期似たようなのは考えていたのだが、どうにもしっくりこなくて諦めた。清音と濁音で指分けるって発想はなかったなー。
ま、それはともかく、宮野さんは本来、内ロール重視で設計したかったらしい。
⑨外ロールの採用
自分がカホンを叩く時にダブルロールするには、必ず内ロールです。そうじゃないと滑らかに動きっこありません。指だけでじゃらっとたたくんやったら内ロールがいいです。ですが、内ロール主体で隊列組むんやったら配列の人差し指の稼働域やらなんやらが狭まり、薬指の使用度が爆発しそうやとしか思えなかったので、結局消去法的に外ロール採用と相成りました。手首ごと回せば滑らかに打てない事もないしこれでいいんじゃないかと思わんでもない。一応、濁音打つときは、外からの内ロールになることが多いのでそれでいいかなと思ったりしています。
カホン? ってなに? 打楽器なのはわかるけど。ということで動画を見てみた。あーあれね。
………………あーーーーーー! あの動きね?!!
はいはいはいはいってなってうざ絡みしにいったのがこのスレッド。
このやり取りでだいぶ整理できた。つまり、内ロールはスライド、外ロールはスラップ。
スライドとスラップ
スライド
まず前回の記事で手首の軸回転みたいに言ってたのは間違いでした。ここにお詫び申し上げます。
手首の回転じゃなくて角度だわ。
前回の記事でも書いたように、タイピング時の手首は普通、水平よりも外ひねりになっていますよね。つまり人差し指側が浮いているんです。
外ロール、つまり人差し指側→小指側に連続していく運指では、伸展系の動作が楽です。
資料用。外ロールアルペジオの動作。スライド。 pic.twitter.com/RSwHr32YU5
— ラクダエン (@catfist) January 25, 2026
人差し指と中指でいうと、まず人差し指を下ろして1打目を打ち、中指を奥へ滑らせて2打目を打ちます。
この際、1打目を深めに打つと、2打目が近くなって楽です。
そう、近さ。要はそれ。小指側のほうがキーに近いので、人差し指側から始めたほうが続けざまに打ちやすい。そんだけの話だったんですよ。
逆に言うと、指を上げたり下げたりすると外ロールは打ちにくい。これは、小指側のほうが窮屈だからです。滑らせて落とすような感じがいいですね。
スラップ
これはまさにカホンの打法のような感じですね。小指側から波打たせるように打つ。
資料用。内ロールアルペジオの動作。スラップ。 pic.twitter.com/YfMFThuU0e
— ラクダエン (@catfist) January 25, 2026
これで外ロールが難しいのは、小指側が人差し指側につられて一緒に動いてしまう、分離が難しいからです。神経支配とかの問題ですね。
逆に内ロールだと、分離が容易い人差し指側があとに来る、しかも最初から浮いてるのでそっちを後に落とすほうが楽に決まってますね。
動画見ていただければわかると思いますが、これ、始動指で「ちょっと上げる」を挟まないとできないんですよ。高さが必要というより「溜め」というか。
ムチをしならせるような動きですね。この概念が今まで僕にはなかった。
打鍵スタイルと配列の相性
以上より、外ロールと内ロールには適する打鍵スタイルの違いがあります。
外ロール:伸展動作ベース、水平軸、撫で打ち系
内ロール:屈曲動作ベース、垂直軸、突き刺し打ち系
別の言い方をすると、外ロールは0から-1、内ロールは1から0の動き。
そういわれるとそうですね。
— 宮野渉 (@miyanowataru11) January 21, 2026
今考えたんですけど、内ロールは1から0に上げて落とす動作で、外ロールは0から−1に押し込む動作であるような。
内ロールでスイッチおすときはフォロースルーでスイッチを押し込んでいるのかも。
もっというと、これは配列の設計思想というか、タイピング行為に対する認知の違いにも繋がってきます。
水平軸とは、タイピングを一筆書き的に捉えることあり、一連の動きの中にキーが点在している、という認知です。
垂直軸とは、タイピングをコマンド入力的に捉えることであり、キーとキーを運動で繋いでいく、という認知です。
思想の強い言い方するとこういうこと。
そうですね……思想の強い言い方するなら、キーボード様のスイッチ様を人間が運動で繋いで差し上げるのか、人間様の運動様の中でキーボードのスイッチ奴に触ってやるのか。
— ラクダエン (@catfist) January 14, 2026
なので、後者の方がキーボードに対する要求が厳しく、やれ物理配列だキーキャップだ押下圧だ摩擦だとやかましいわけです。
僕は言語化タイピングをやりたくて、それに適するのは明らかに水平軸の動作です。
これを突き詰めていくと、基本的にローマ字入力(行段入力)よりかな入力がよく、しかもモーラ等速がいいよねって話になります。
逆に言うと、なんかの理由でローマ字系をやるんであれば、内ロールのほうが合ってるような気もします。特に連母音とか短縮入力入ってて、打鍵数のリズムが加減速するタイプのやつ。
ローマ字系は、どのくらい強く意識されるかはともかく、基本的に「譜面」を中間出力して、タイピングで拾っていくことになります。(ローマ字系で内声が出やすい理由は、そもそも音的に整理されていることに加え、中間出力が音韻ループに入るからだと思う)
上下に弾むように打っていくほうがトップスピード出しやすくて、譜面をガッと処理するには向いてるんじゃないでしょうか。
これは(文字キー同士の)同時押し操作との相性にも関わっていて、特に親指を押しながらのシフトを用いる場合、外ロール的な動作が適しているという認識です。
まとめ
外ロールがいいと思うよ。



コメント