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【ハイパーインフレーション】の本質を体現した偉大なる大商人グレシャムさんとの出逢いに感謝。この美しさとかっこよさだけは「偽り」じゃない

会社を潰したこと
詐偽にあったこと
カネを持ち逃げされたこと
一度や二度ではない
だが大したことでもない
何度でも立ち上がろう
その度に強くなろう
人生は終わらない
もう一度世界の大商人に返り咲く

ハイパーインフレーション/住吉九

自分の夢、やりたいことがこの世で最も尊いことだ。
そのためになにかを犠牲にするだとか、悪の道を往くことになっていいだとか。そんなことを考えながら進む人間は美しくない。

真に魂をかけて本物を追いかける人間の往く道には人間の善意も悪意も分け隔てなく敷き詰められている
即ち、私が最も愛する「善悪を超越した存在」そのものの往く道である。

彼らの覇道には善も悪もない。そもそもそういった概念から存在しない。あるのは野心と己が信じる"なにか"のみ。

ここにおいては「カネ稼ぎ」そのもの。

私は出逢ったのだから。あまりにも偉大すぎる男に心を全て奪われた。
善も悪もなく、カネ儲けというただ1点のためだけに生きる「怪人」と。

【ハイパーインフレーション】の偉大なる大商人こと「グレシャム」さんこそ私の生きる道だ。

グレシャムさんは善悪を超越している。倫理観が一切存在していない。そしてなによりも想像を絶するほどに芯がブレない。
カネを稼ぐこと」がグレシャムさんの目的であり手段であり人生の全て。カネを稼ぐためにカネを稼ぐ。作中で言われたようにこれが彼の全てだ。

作中で何度もグレシャムさんには人の温もりを受けたり命の危機にあったりと人格を試されるような場面が訪れる。
その全て、いやそれ以外の全てにおいても彼は「カネのため」を第一に考え行動している。例外はない。行動理念の頂点には常にカネ稼ぎがあり不変不動。あまりにもブレない。

なによりもやはりここが素晴らしい。
本当にブレない。そこが素晴らしい。
カネ以外の全てを容易く踏みにじっているからだ。倫理観も、人の心も、自分の肉体さえも。カネ稼ぎ以外の価値を見出ださない生き方は圧倒的に美しい。
悪を自称する人間より遥かに邪悪だ。なぜならば悪人は善意だとか倫理観を理解できるからだ。それはつまり「人の心がある」ということ。

作中でも明言されているがグレシャムさんに人の心はない。カネ稼ぎ以外の心を持たない。
だから簡単に踏みにじることができる。人の善意も、好意も、人生も。そんなものに価値を見出だしていないのだから。
なので悪人と違い倫理的に踏みとどまるものがない。人の常識と良識では彼を縛ることはできない。しかしグレシャムさんは人が生み出した最大の産物である「カネ」に魂を捧げている。この歪な矛盾がまた彼の怪人感を助長させており美しい。

自分の利益だけのために「世界経済をぶっ壊す」ことに人生を賭けられるのは世間的な良識などないから。他の人間にとっては大きな意味を持つこの破壊行為だが彼にとっては過去と未来、人生を捧げてきた行為となんら変わらない。カネ稼ぎの手段、そのひとつに違いない。

カネとは使うものだ。しかしグレシャムさんは「稼ぐ」ことにのみ執着する。
故に目的はあるが、ない。カネを稼ぐためにカネを稼ぐ。永遠に満たされない際限ない欲望。己の欲望のために暴れまわり周囲の人間をかきみだしその様を1ミリも省みない。大きな赤ちゃんという異名は言い得て妙だ。
カネを稼ぐという目的のために倫理観もなにもなく商売を続けるその姿に涙した。

特に素晴らしく、私が愛している部分。それは人の善意を悪意なく踏みにじるところだ。なぜならば善意とは踏みにじられて初めてその真価を発揮するからだ。

船の上で足を撃たれた際、ルークが「俺のために」とグレシャムさんを抱き締めて涙する。しかしグレシャムさんは即座に「カネのため」と即答する。

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ハイパーインフレーション/住吉九

このやり取りはあまりにも美しすぎて初見の際には止めどなく溢れる涙を止めることが出来なかった。

こんなにも無自覚に、無慈悲に、悪意なく他人の好意を踏みにじられる人間が存在するのかと。しかも曲がりなりにも子供相手に。
詳しくは後述するがグレシャムさんは子供が相手だからといって態度や当たり方を変えない。本質的な平等を持っているから、作品の到達点へ既にこの段階で至っている。
ルークの自分を庇ってくれたという「思い上がり」はグレシャムさんの本質を何一つ捉えることができていない。自分は尽くされる側の人間である、無意識にそう思っている彼の傲慢さが現れた場面でもある。後に野心のため救世主を名乗る男らしい傲慢さともいえる。

対してグレシャムさんはそもそも「誰かのため」になにかをするという概念がない。当然全てはカネのため。だから常に言われているように彼は「カネの味方」であることから一切のブレを見せない。
贋札売りの際の商人相手にもそうだ。
闇商人たちはグレシャムさんのことを「仲間」だと言っていた。
だがグレシャムさんは違う。彼にとって闇商人は「客」に過ぎない。でも「敵」でもない。ただ純然に一切の揺るぎない「客」なのだ。
なぜならば彼はいつだって「カネの味方」だから。

「カネの味方」であるという点も全編通して一切ブレない。いつだって彼は様々な陣営を転々としながら最も儲かる手段と立場に居続ける。
ルークなど何度か敵対した側の者からするとグレシャムさんが「裏切った」ように見えることも多々ある。しかし本人にそのつもりはない。陣営を変えただけだ。
なぜならば、グレシャムさんは常に「誰の味方でもなく、カネの味方」なのだから。故にカネを巡る戦いであるこの作品はグレシャムさんのいる側の陣営が常に優勢を得る。あるいは彼は常にカネにとって有利な側を見極めて立っている。
今までの商売人生で培ったノウハウと強さの賜物だ。常にカネが稼げる側、それはつまり滅びない側であると言える。いつだって負けない側に立ち回り続けるグレシャムさんは失敗こそすれど真に敗北したことは一度もない。

常にカネの味方である、ということは大きな意味を持つ。前述したがグレシャムさんは平等だ。
つまり本作の大きな要因である「人種差別」について最も公平的な観点を持っている男であるということだ。
彼は全ての生物をカネで換算して価値を測る。そこにはガブール人であるかどうかなどもなく、純粋に個人の価値のみを測る。
この怪人は倫理観もなく人の心など持ち合わせていない。だからこそ、人々が悩まされ苦しませられ続ける人種差別問題の渦中にあってただひとり、色眼鏡なく人を評価することができる。

そう、グレシャムさんは「カネ稼ぎ」が全てだが彼の魅力は「カネを稼いでる」ことだけではない
人種差別に関わることがない、という点はひいては本質を見抜く能力に長けていることを意味する。そしてここから繰り出される圧倒的な「カリスマ」もまたグレシャムさんの大いなる魅力だ。

本質を一瞬で見抜くその力、あまりにもカネ儲けに対しての鋭すぎる生き様に涙した。
ルークの贋札を出すという能力に対して「贋札だから意味がない」と目先の欲望に負けた答えを出していない。むしろ贋札を使ったカネ儲けに価値を見出だしている。
「贋札」という単体で捉えるのではなく、それを取り巻く環境と影響、なにをもたらすことができるのか。そこまで考えた上でカネ儲けになると結論を即座に出している。
この自分の道に対する嗅覚の鋭さ、そして圧倒的な頭のキレは彼の大いなる魅力だ。

爆弾を使うシーンにおける「あげりゅ」という言葉も物事の全てに金銭価値を見出だすグレシャムならではの魅力を宿している。
爆弾という資産を相手にくれてやっていること、それはつまりそれほどの損失をしてでももっと大きな利益を見ているということ。
グレシャムさんは本心から「あげる」という意味で爆弾を"渡して"いる。

最後にグレシャムさんの核となる魅力だ。
それは不屈の精神であること。これが彼を偉大なる男として魅せている。なぜならば【ハイパーインフレーション】という作品の本質そのものだからだ。
グレシャムさんは絶対に心が折れない。作中で彼は幾度となくカネを失い立場を失っている。だがその全てで必ず再起してまたカネを稼いでいる。

この圧倒的不屈の精神、何度倒れてもやり直すという心。

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ハイパーインフレーション/住吉九
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ハイパーインフレーション/住吉九

「人生を懸けた計画が失敗するなど普通のこと」
「何度でも立ち上がればよい」

あまりにも偉大すぎるこの言葉。これはグレシャムさんが酸いも甘いも経験した大人であるという証明だ。それはつまりルークは初めての大きな挫折に心折れた子供であることを意味している。
そう、ルークはまだまだ子供だ。だからこの場では甘えられる存在、導いてくれる人が彼にとって最も必要だった。
それがグレシャムさんだったのだ。大いなる挫折に直面してなお前を向くという生き方。窮地にあってなお「面白くなってきた」といえる心の強さ。なによりも自分の目的、自分が最も求めるものがなにでそのためになにができるのかということをルークに思い出させた。

ここでグレシャムさんがそんな意図は一切なかったがルークに微笑んだから彼は立ち上がれた。

ルークは「生殖能力を失った」ことをグレシャムさんに嘆く。が、そもそもが子供も持たず、自分の身ひとつで生きるグレシャムさんに「生殖能力の有無」を引き合いに出すことに意味はない。
彼は何度でも立ち上がり続けること、強くなり続けることを「人生は終わらない」と称しているのだから。
己の生涯のみで野心を燃やし尽くす、その一点においてグレシャムさんとルークは共通点を持っていた。人間という生物としては間違っている。しかし「偽り」に結ばれる2人からすれば必然であり絶対。
人生の先輩としてグレシャムさんがルークに「立ち上がり強くなり歩き続ける」という生き方を教えるこの場面は作中屈指の名シーンだ。絶対に分かり合えないと思われる2人には共通点があり、同じ目線で立ち上がらせることができた。

他の誰の言葉でもダメだ。カネ稼ぎに人生をかけ、自分の人生を戦い続けるグレシャムさんの言葉だからこそルークに届いた。
そしてルークも知っている。グレシャムさんがどんな困難にあい、カネを失っても必ず再起してまたカネを稼ぐということを。事実幾度も彼はルークの元に姿を現してはブレないままでいた。
だからここは陳腐な言葉にならず、グレシャムさんの言葉の深みを我々も魂で感じ取って涙することができるのだ。
マイナスからカネを稼ぐという発想。これもカネ稼ぎが目的のグレシャムさんだからこそ出てくる発想である。同時に「失敗を取り返す」のではなく「何度でも立ち上がる」という視点をルークに見せている。

失ったカネはまた稼げばいい。
失った片足など義足にすればいい。そこに物を隠せるし元の足より利用価値が出る。
失った会社だってまた興せばいい。そうすればまたカネが稼げる。

現実としてカネがなくなっても足が失くなっても死なない限り人生は続いていく。これをネガティブに死ねなかったのに全て失ったと称するは凡人の所作。

「人生は終わらない」のだから。
この言葉こそがグレシャムさんの生き方の美しさであり【ハイパーインフレーション】が宿す美しき本質そのものだ。

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ハイパーインフレーション/住吉九

「人生は終わらない」その真の意味は「命」には無限の可能性があるということ。
命ある限り何度だって強くなって立ち上がれる。真に尊いことが「人生は終わらない」という一言に詰め込まれている。

そう、つまりだからグレシャムさんは最初から【ハイパーインフレーション】という作品の到達点にいたのだ。全編通して本質的な「命」の価値を体現していた。
だからグレシャムさんは絶対にブレないし負けない。作中の誰よりも先に本質的な真理に到達していたのだから。彼を否定することは作品そのものを否定することに等しい。
人生に決められたことなどない。どんな生き方だってできるし人は変われる。自分の人生のためにどんな生き方をすることができるか考えた可能性は現実になりうる。

あるいはダウーが人間になったように。
あるいはガブール人が国家を持ったように。
あるいはフラペコが独り立ちしたように。

グレシャムさんにとって選ばれたその生き方が「悪漢は良貨を駆逐する」という法則に則ったものだっただけのこと。

心の底からかっこよさに震え、涙した。
全編通してグレシャムさんが素敵でない場面などなかった。その全ては芯の通った魂の戦いだ。
「命」を尊ぶこの作品の締め方でその全てには一切のブレなく、本質的に美しく価値のあるものだったということが証明された。

カネを稼ぐためにカネを稼ぐという一歩間違えれば浅ましく薄っぺらい存在になりかねないそんな人物をここまで美しくかっこよく描いたもらえたこと、本当に嬉しい。
私の中で確実に歴史に刻まれるべき確固たる好きの位置にグレシャムさんは座している。

グレシャムさんとの出逢い、そして彼の生き様を眺める戦いはここに終わった。

だが私の人生もまた終わらない。
この出逢いを糧に何度でも立ち上がり、そのたびに強くなろう。
今度はどんな出逢いがあるのだろうか。グレシャムさんの後に沼れるほど業が深く美しい人との出逢いが待っているのだろう。
そしてなによりも私の中のグレシャムさんは今も変わらずにカネを稼いでる。どんな絶望的な状況でも。

そんなグレシャムさんの姿が心の中にある限り、この「命」は煌めき輝く。

面白くなってきたなぁ!!

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